四節 続、コータロ・ヴァイオレットの取材ノート

 戦後再建されたものではある。しかし、ゴルゴダ酒場宿はユリア=タラリオンに数ある観光名所のひとつになった。

 戦前この伝説的な酒場宿に集っていたのは、カントレイアの歴史に名を刻むであろう英雄たちだが、そのなかでも特別な有名人がいる。カントレイア世界各国を双子の黒不死鳥と共に遍歴し、苦心惨憺の戦いを続け、遂には暴虐の魔帝エンネアデスを討ち果たし、魔帝国へ凱旋帰国した魔賢帝の第八子ローランド――ローランド・ヨイッチ=ウィンである。戦後はローランド正統魔帝国の長――魔帝の座についたこの彼の物語は、魔賢帝デスチェイン叙事詩サーガの続編として、すでに緑の妖精旅楽団の人気演目になっている。カントレイア世界各国の作家も英雄ローランドにまつわる物語の執筆に忙しい。

 このゴルゴダ酒場宿へ、タラリオン共和国内はもちろん、南方からも有閑階級のひとびとが観光目的で訪れる。その観光客の相手をするのもユキ氏の仕事になっているようだ。ユキ氏も大戦中は北大陸市民解放軍――グリフォニア大陸における魔帝国への抵抗運動に協力していたと聞く。今、私の前にいる銀髪の麗人もまた王都奪還に尽力した英傑の一人だ。

 昼どきに入店した客が引けて空席のほうが目立つ時間帯。

 私はホールの丸テーブルの一席で紅茶をごちそうになりながら、ユキ氏へ何度目かになる取材を行っていた。このユキ氏の手の空く時間を見計って取材をするのもゴルゴダ酒場宿に宿泊している理由のひとつである。ゴルゴダ酒場宿二階にある宿泊施設は、そう豪華な設備を揃えたものでもないのだが、観光客を相手する宿なので宿泊費はかなり高額だ。なので、私は毎週ここに宿泊して仕事をするわけにもいかない――。

「――となると、グリーン・オーク共和国陸軍総大将のエイダ氏、エルフォネシア連邦外務宰相のミュカレ氏、ドワーフ公国陸軍大元帥のセイジ氏、この三名が共同出資をして戦後にこの宿――ゴルゴダ酒場宿の再建したということでいいんですか?」

 私はメモ帳から顔を上げた。

 ユキ氏は紅茶をひとくち飲んで、

「いえ、コータロさん、他にも多くのひとがこのお店を再建するために出資してくれて――一番多くの資金を提供してくれたのは、トニー&ジョナタン・ワールド・リカー・カンパニーなの。トニーの会社が王都に支店を作った時期と、ゴルゴダ酒場宿の再建話が持ち上がった時期が、ちょうど重なったのよね。『自分の会社から資金を提供するから、ユリア=タラリオンの酒市場へ進出する足がかりに再建したゴルゴダ酒場宿へウチの商品を置いて宣伝をして欲しい』と、再建を計画していた私へ、トニーのほうから申し出てくれた」

 私はメモ帳へ万年筆を走らせながら、

「へえ、なるほど、なるほど――このゴルゴダ酒場宿の再建にはトニー氏が深く関わって――彼との書簡のやり取りではなかった話ですね――ああ、トニー氏の支店といえば――私も、チコ・アントニオ支店長のところへ――トニー氏の会社の、ユリア=タラリオン支店へ足を向けたのですよ。ただ、チコ氏はクジョー・ツクシ氏については、あまり知らない様子で――」

 微笑んで頷いたユキ氏が、

「それはそうでしょうね。あの頃のチコはまだ小さかったから。ツクシが南都にいたのは王都を脱出してから、ほんの少しの間だった。南大陸の戦乱を収拾するため王国から――今は共和国よね。タラリオン共和国の上層部から密命を受けたツクシは、ほとんどの時間、大いなる将軍グラン・ジェネラルゲッコや剣聖サンタ・セイバーオニャンゴ(※ゲッコの妹。超強い)と一緒に、転戦していたの。それが終わった直後、西大陸――ウェスタリアまで無理に飛ばされて――だから、南都の――ポート・タラリオンにあったホテル・ニュー・ゴルゴダへツクシが帰ってくるのは稀だったわ。特にウェスタリア大陸遠征後は、年に一度、便りがあるかないか――」

 言葉の最後になると、ユキ氏はその印象的な琥珀色の瞳を伏せた。長く美しい銀髪に、先端だけが黒毛になった銀色の猫耳を持つユキ氏は、たいへんな美貌で有名なゴルゴダ酒場宿の名物女将だ。年齢はもう四十に近いそうだが、とてもそう見えない。以前、恐る恐る正確な年齢を尋ねたとき、「猫は自分の年齢を数えないの」と、そんな言葉でユキ氏は私の追求をはぐらかした。気の持ちようで若さも保てるものなのだろうか――。

 ともあれ、私は落ち着かない気分になって、

「あの、ユキさん。自分の力不足で申し訳ありません」

「――力不足? コータロさん、急にどうしたの?」

 美貌へ微笑みを戻したユキ氏である。

 私は万年筆をもった右手を頭にやって、

「いえ、そのですね、ユキさん――これまで散々、取材に協力してもらいましたが結局、失踪したツクシ氏の足取りはまだ掴めて――」

「――ちょっと、ツクシ!」

 ユキ氏が牙を剥いた。

 驚いた私はしばらくパクパクと口を動かした。

「――お、おう?」

 硬い返事をしたのは丸テーブル席の椅子に座った私のうしろを、そろりそろりと歩いていた学生服姿の青年だ。この猫耳の彼はクジョー・ツクシ君。タラリオン共和国立第三西方学会の中等部に通う学生である。

「やあ、ツクシ君」

 私が軽い挨拶をすると、

「うっす、コータロさん――」

 ツクシ君は気恥ずかしそうに目を逸らして挨拶を返してくれた。彼の父親は、くだんのクジョー・ツクシ氏であり、彼の母親は私の目の前にいるクジョー・ユキ氏である。ユキ氏は自分の息子に父親と同じ名前をつけたらしい。ツクシ君は目元が切れるように厳しいものの、全般的には母親のほうに似たのか、なかなかの美少年だ。

「ツクシ、マンマに見せるものがある筈よね?」

 その母親が美少年の息子へ唸った。眉尻と眼尻を高々と吊り上げて猫の牙を見せ、怒気で銀髪を浮かせたユキ氏はかなり怖かった。

「あー、あったかな、マンマ――ないと思う。うん、いくら考えても、そんなものないよな、ないない――」

 ツクシ君は裏口へ滑るような歩みで逃げていった。戦前、この宿の裏手にはゴルゴダ銭湯があった。しかし、近年は各家庭の住居に風呂がつくのが当たり前になったので、銭湯の再建は諦めたらしい。元はゴルゴダ銭湯のあった場所はユキ氏とツクシ君の暮らす住居になっている。

「ツクシ、誤魔化しても無駄だから。貴方の前期の成績の写しが――見るに耐えない成績表が学会から自宅のほうへ届いてる。担当教官が、ツクシ、貴方にだけ特別に三者面接をやりたいから、保護者の方は、ご足労をお願いしますって、そんな手紙と一緒に――!」

 グルグルと唸り声を上げながら、逃げてゆく息子さんの背へ尖った視線を突き立てていたユキ氏が、

「あっ、ヤマさ――あら、ごめんなさい。コータロさん、よね?」

 私に顔を向けてニッコリ微笑んだ。

「あっ、ああ、いえいえ。私にはお構いなく――」

 私はたぶん引きつった笑顔であったと思う。

「本当にごめんなさいね、お客様なのに――」

 ユキ氏が苦笑いになった。

「いや、こちらも毎回、取材の十分なお礼もできなくて――」

 私のほうも苦笑いである。

「それは、いいのよ。貴方の書く本、楽しみにしておりますから」

 ニッコリ笑顔のユキ氏が卓上にあったお盆を手に立ち上がった。

 私も堅い笑顔を返して、

「あ、はい。献本が届いたら、まず一番に、ユキさんの手元へお送りしま――」

「ツクシ、ちょっと待ちなさい。マンマの声が聞こえないのッ!」

 お盆を片手に裏口へズカズカと突撃していったユキ氏には、どうも聞こえなかったようだった。

 風船のように膨らんだユキ氏の猫のしっぽを見やりながら、

「そうか、学生は今日から夏休みか――」

 私は冷めた紅茶を一息に飲み干した。

 

 貸し部屋に戻って、原稿の推敲を続けようか――。

 そうも考えたのだが、ユキ氏から話を聞いているうちに、どうも引っかかる部分が多くなった私は、宿の表を散策しながら考えをまとめることにした。住宅が多い衛星都市へ続く主要道路――ゴルゴダ酒場宿前の交差点は二十四時間蒸気自動車がひっきりなしに行き交って騒々しい。歩道を歩くひとも多かった。戦前は売春婦や露天商、大道芸人と酔っぱらいと浮浪者、それに荒々しい冒険者たちがこの大通りを埋めていたと聞くが、今忙しく道を行き交うのは、そのたいていが小型の導式通信機を片手にしたビジネスマンだ。

 迷いが私の足を目的もなく進ませる。

 推敲中の原稿に組み入れるべきか否か迷っている情報が多々あった。例えば先ほどのツクシ君である。クジョーの姓を名乗っているが、ユキ氏はクジョー・ツクシと正式に婚約をしたわけでは――入籍したわけではないらしい。ツクシ君はあくまでユキ氏の私生児だ。

「宿屋の経営者として便宜上、クジョー姓を名乗っているの」

 ユキ氏はそう語った。

 私はゴシップ紙の記者ではないので、それ以上のことを訊いていないのだが――。

 ここが問題なのである。

 私が調べた限りでも、クジョー・ツクシの子孫は六人もいた。母親が違う子供だ。そのうちの一人がユキ氏の息子のツクシ君である。あとは、クジョー・チョコラ教授のお子さんである四人姉妹。このチョコラ教授は南都にあるポート・タラリオン女子学会の大学部で教鞭を取る法学政治学者だ。また、チョコラ教授は種族・女性差別撤廃運動のアイドル的な存在(こちらの活動のほうが有名かも知れない)で、その主張はかなり勇ましい。戦前は考えられなかったことである。タラリオン共和国で階級制度が撤廃されて市民・人種平等法が制定されてから、ヒト族以外の種族の学者が共和国の学会に所属することも珍しくなくなった。

 私はこのチョコラ教授とも書簡のやり取りをした。急進的ウーマン・リブ運動の活動家にしては女性らしい――花柄と花の香りがついたお姫様趣味の便箋で届いたチョコラ氏の書簡には、「わたくし『が』ツクシ様の正妻です。わたくしの四人の子供はまちがいなく、ツクシ様の子供です」そう確かに書いてあった。

 ここまでで、クジョー・ツクシの子孫は五人になる。

 あと一名だ。これはトニー氏との書簡のやり取りのなかで、本の内容に記さないことを大前提に得た情報である。ジョナタン氏の一人娘であるテト・メンドゥーサの第一子は、クジョー・ツクシとの間に生まれた子供らしい。もっとも、私生児をもうけたあとのテト・メンドゥーサはトニー&ジョナタン・ワールド・リカー・カンパニーの重役シチリーノ・リバデネイラ氏と結婚(再婚?)し、今は連れ子さん共々幸せな家庭を築いているとのことだった。この一件で、ジョナタン氏はクジョー・ツクシに対して強い感情のしこりが残ったようである。事実、クジョー・ツクシの取材を依頼をした私の手元に、トニー氏からの書簡が届くことがあっても、ジョナタン氏からの書簡が届いたことは一度もない。

 端的にいうと、クジョー・ツクシという男は生涯通して女性にだらしなく、そのだらしない部分の責任を取るような行動を(私が調べた限り)一切していない。

 クズである。

 おそらく重点的に調べれば醜聞だの子孫だのがまだ出てくるのだろう。

 私はこのような彼のだらしない女性関係――ゴシップ記事のような内容を一応は正式の歴史記録としたい自作『流離いのサムライ・ナイト』へ記載すべきか否か、迷っているわけで――。

 思い悩みすぎて、私の歩く足が止まった。

 私はペクトクラシュ河南大橋の西口にいる。橋の西口には王都が陥落した際、ネストへ向かう避難民を最後まで守り抜いて死んだ英雄の銅像が建立されている。元は三ツ首鷲の騎士団の団長であったバルカ・デ・ダークブルームの石像だ。ネストを王都からの脱出経路に設定していた当時のタラリオン王国軍は十三番区ゴルゴダに前もって対空砲陣地を集中的に配置し、エネアデス魔帝軍の空爆にしばらく耐えた。業を煮やした魔帝軍は精鋭陸戦部隊をペクトクラシュ河南大橋周辺へ投入して強引な進撃を開始。ペクトクラシュ河南大橋の西口――十三番区ゴルゴダは王都に残存した勢力と魔帝軍が正面衝突をする激戦区になった。

 この戦いで王国軍兵士、冒険者義勇軍への参加者、市民義勇軍に協力していた市民に多くの犠牲者が出た。勇敢に戦いを続けた彼らを指揮し自身もここで命を散らした老騎士バルカ・デ・ダークブルームの像は犠牲になった勇者たちを代表して、戦後に作られたものである。

 導式サーベルを杖代わりにして佇む老騎士の石像は、かつてエネアデス魔帝軍が押し寄せてきた東の空へ悠然と視線を送っている。私は短い時間、老騎士の瞳に二度と戦火が映らぬよう胸の内で祈った。

 この場所で戦い、命を散らした彼らのお陰で生き延びたものが二十余年のあと、タラリオン王都をユリア=タラリオンと名を変えて再建した。私の著作のため、ほぼ無償の取材に快く協力してくれたひとびとも再建に尽力したひとの列に加わっている。例えばゴルゴダ酒場宿の経営者であるクジョー・ユキ氏。そのユキ氏と市民解放軍に協力をしたマコト・ブラウニング氏やモグワード・ランペール氏。それに再建前のゴルゴダ酒場宿で働いていたアリバ・ナタナエル氏やシャル・キンナリー氏にも取材をしたかった。しかし、ウェルザー海運商会に務める商船乗りとして年中海の上にいるアリバ氏や、タラリオン共和国国立歌劇団を率いて全世界を渡り歩いている作曲家のシャル氏とは書簡でも連絡を取るのが難しく、彼らを通しての取材は諦めざるを得なかった。

 他にもクジョー・ツクシと関係しながら生き残っているものは数多い。

 南都ポート・タラリオンでは前述のトニー氏とジョナタン氏、テト夫人、チョコラ教授に加えて、ポート・タラリオン総督府の総督である元三ツ首鷲の騎士ギルベルト・フォン・シュトライプ提督と、その妻であるオリガ夫人(※旧姓ではオリガ・デ・ダークブルーム)。コテラ・ティモトゥレ首長国連邦にある諸島を地下で結ぶ国際的な事業――海底トンネル掘削作業の指揮をしているラット・ヒューマナ王国の生活圏防衛軍大元帥メルモ・パパイア・ビスケッツ(♀)氏。これは、チョコラ教授との書簡のやり取りで触れられていた。娼館メルロース(戦後に行われた風営法の改正で店は解体された)に勤めていたサラ氏とルナルナ氏は、南都の飲食店をいくつか共同経営する実業家として、なかなか成功しているらしい。

 むろん、戦後の足取りが掴めていない人物も多い。

 なかでも、元三ツ首鷲の騎士で冒険者のアルフォート・フォン・バトロース(※アルバトロス曲馬団の団長アルバトロス)、私の実父同様、ニホンから迷い込んだとされる不死者ノスフェラトゥの八多羅悠里、それに不可解な邪神のアヤカである。この三名は王都陥落時に行方不明となったあと、まったく消息が掴めなかった。

 以下はカントレイア戦史に拠る。

 タラリオン王都攻防戦が始まって三日後、白鯨宮殿モヴィ・ディック・パレスから降り立った魔帝エネアデスは、聖なる嵐の騎士団エリス・ヴォロチ宮廷魔導団メイガス・テンプラーに加え、異形種機関兵ヴァリアント・モーターの数体率いて戦闘を直接指揮し、王都に残存していた王国勢力を一掃した。

 こんな記録が残っている。しかし、その戦闘に参加したのは、ほとんどが大戦を生き抜けなかったひとびとだ。記録としての正確性には欠けると考えたほうがいい。ペクトクラシュ河が流れる血で赤く染まったとされる王都攻防戦の犠牲者の数も名も未だに定かではないのだ。

 自作『流離いのサムライ・ナイト』を著すにあたって、最も重要な人物の足取りも大戦後を境に掴めなくなった。皮肉なことに、それが、私が何年も追いかけているクジョー・ツクシなのである。

 第二次魔帝大戦終結直後だ。

 グリフォニア大陸の中央に雲を突き破るほど高くそびえ立つ謎の遺跡塔――漆黒のジグラッドが突如として異形の領域を拡大、戦後の混乱に上書きされる形で、カントレイア世界は大混乱に陥った。その対応のため、タラリオン共和国軍、ローランド正統魔帝軍、屍鬼軍(これには吸血鬼も混在していたとの記録が残っている)、ラット・ヒューマナ王国の生活圏防衛軍、それらに加えて南大陸三国同盟軍(※グリーン・オーク共和国、エルフォネシア連邦、リザードマン戦士国の連合軍)が漆黒のジグラッドを包囲。異形の領域内部で活動を始めた超級異形種ウーバー・ヴァリアントの迎撃・封印作戦を開始した。どうも、この大戦終結直後に始まった漆黒のジグラッドの目覚め――カントレイア世界全体の危機へ対応した連合軍のなかにクジョー・ツクシの姿もあった、ようなのである。

 最終的に連合軍は漆黒のジグラッドの活動を停止することに成功した。おそらくは漆黒のジグラッドの最上階にあった転生石が誰かしらの手で破壊されたのであろう。それと同時にクジョー・ツクシの足取りは途絶えた。そのあと、クジョー・ツクシの姿を見たものは探しても探しても見つかっていない。

 私は溜息と一緒に東の空へ目を向けた。

 首都が王都であった時分には天気がよく晴れた日に限って、この場所から漆黒のジグラッドが見えたらしい。しかし、ペクトクラシュ河の向こう岸にまで高い建物が並ぶようになった今現在では、ここからその塔はもう見えなくなった。

 流離いの剣士。

 流離いのサムライ・ナイト。

 戦乱が終わった途端、何もいい残さずにカントレイアから消えた異界の英雄。

 君は今どこにいて、何をしているのか。

 あの様子だと、今もユキ氏は君の息子と一緒に、ゴルゴダ酒場宿で君の帰りを待っている。

 きっと、カントレイア世界の各地にいる君の友人も同じだろう。

 それに、この私も――。

 しかし、空は私に答えなかったし、私の霊感インスピレーションが働くこともなかった。

 夕暮れが空を赤紫色にしている。

 私はゴルゴダ酒場宿に戻って原稿の推敲を再開することに決めた。

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