二節 故郷の味

 ウルズ組はネスト地下二階層の下りエレベーター・キャンプに到達した。道中、チムールの弓矢が処理した屍鬼以外にも脇道から三体の屍鬼が出現して、輸送隊列中央が襲撃を受けた。これらは隊列中央に位置するボルドウ輸送警備小隊が排除した。

 積荷を降ろすと昼の休憩時間である。食い物の匂いと雑談がエレベーター・キャンプ内にに満ちた。ウルズ組、ボルドウ輸送警備小隊、それにエレベーター・キャンプに常駐するエレベーター衛兵小隊をすべて加算すると、この場にいる総数は三百名以上に達する。

 ツクシたちも昼食をとった。チムールとヤーコフは食べているのは、先日と同じ干し肉に堅い黒パンだ。その横で、トニーが自分の背嚢を解いた。男やもめのゴロウは弁当がない。ゴロウはネスト行商の前にできた列に並んで昼食を調達している。ツクシがゴザに腰を下ろすと、その両サイドをユキとモグラがスッと固めた。この二人はツクシの弁当が目的のようだ。

 昼の休憩時間は伸縮扉状のバリケードを閉じていない。

 のんびりしたものだが、これで大丈夫なものか――。

 ツクシは気になった。大坑道内の岩盤が向き出しになった壁際に、ツクシは視線を走らせた。これまで見てきたところ、屍鬼は脇道から出現することが多い。エレベーター・キャンプ周辺の脇道はすべて金網と有刺鉄線で厳重に封印されている。

 怪訝な顔になったツクシが、

「おい、ニーナ。輸送隊列が使う輸送路の脇道をああやって全部閉じてしまえば、作業も安全に手早くできる筈だろ。何故、軍の連中はそれをしないんだ?」

 ニーナが背嚢をごそごそやりながら、

「そうしてもねー。端から封印を壊されるのがオチよ。屍鬼もファングも数が揃うと厄介だから」

「ツクシよ、王国軍が立案したネスト制圧作戦の見通しが甘かったのだ。ネストは探索済みの階層ですら、王国軍が掌握できているとはいいきれん。いや、王国軍は違うな。タラリオン元老院の不断が、この事態を招いておる。最近の貴族は堕落しておるのだ。階級社会における強者の存在には社会的な意義があるのだ。この自覚が、まったく、なっとらん!」

 リカルドがカイゼル髭を上へ下へと小刻みに動かしつつ文句を並べた。ユキとモグラがその髭の動きを興味深そうに見つめている。ツクシが目を向けると、リカルドの髭の動きに合わせて、ユキの猫耳がピコピコと動いていた。

「お父様、そのくらいにして、お昼にしましょ。怒ると身体に障るわ――ツクシ。仕方がない部分もあるのよ。ネスト制圧作戦が始まった当初、元老院も王国軍もこんな広い空間が地下九階層分もあると考えていなかったの」

 ニーナは背嚢からランチ・ボックスを取り出した。

「地下九階層といったな? 現状で探索が終わっているのはネストの地下八階層までじゃないのか。以前、俺はそこに王国軍の最前線キャンプがあると聞いたが――」

 ツクシも背嚢を解いて自分の弁当を取り出した。

「半年前、地下九階層にあった軍の前線キャンプは、地下八階層まで押し戻されたのよ。そのとき、八階層で働いていたネスト・ポーターは――」

 ニーナがムッと何かをいいかけたリカルドへ手に持ったランチ・ボックスを突き出した。ランチ・ボックスの中身は色とりどりのサンドイッチだ。なかなか旨そうである。

「ニーナ、導式エレベーターを地上から最下層まで繋げない理由はネストの構造上の問題だけか?」

 ツクシがニーナを見つめた。

「ネストの構造だけの問題じゃないわ。本当の理由はネストに出現するっていう敵――異形種が導式エレベーターを使えない、という確証がないからだと思う。ネスト内部のエレベーターは繋げないんじゃないわ。繋がないのよ。下の階層を突破された場合、一つ上の階層で必ず異形種を食い止める必要があるから。ツクシ、ネストの真上は王都よ。異形種の軍勢が地上へ一直線に攻めてきたら、王都が灰になるわ」

 ニーナはそう言いながら、リカルドが手にもった高級そうなゴブレットへ、革水筒からワインを注いでいた。導式鎧の手甲を外したニーナの指は白く細い。

 こんな場所で何を悠長なことをやっているんだこの親子――。

 ツクシはワインの杯を優雅に傾けるリカルドとお酌するニーナを、しばらく凝視していた。いくら見つめてもリカルド父娘の反応はない。

 諦めたツクシが、

「――あ、ああ、なるほど。ネスト内部の不便なエレベーター構造は防衛が目的なんだな。下を抜かれた場合、俺たちが移動している道が最前線――戦場になると。ところで、ニーナは異形種ってやつを見たことがあるのか?」

「私は軍にいたからその知人から噂話だけね。実際に異形種をこの目で見たことはないわ。見たいとも思わないけれど――」

 ニーナはサンドイッチを口に運んだ。

 ツクシはうつむいて考え込んだ――。


 ――最下層から上がってくる屎尿や兵士の死体、下る補給物資の総量を見ると、ネストの最下層では恐らく一個師団以上――兵員にして一万かそれ以上の戦力が戦闘を継続しているのは間違いない。ネスト・ポーターの作業階層が頻繁に変わることはないので、最下層で王国軍が展開している兵力は、敵戦力をネストの下層へ押し返してはいないのだろう。しかし、それでも異形種を目撃したネスト・ポーターはほとんどいない。考慮すると、ネストの戦局は王国軍が一方的に押されているともいえない。王国軍がネストの深層へ異形を封じ込めることには、一応のところ、成功はしている。今得られる情報から判断すると、タラリオン王国軍と異形の戦いは膠着状態。お互いの戦力は、ほぼ互角だ。

 最下層で、どのような戦闘が行われているのか。

 ツクシは想像力を働かせる。いくら巨大な通路があると云っても、ネスト内部の道幅が限定されている以上、飛び道具を使って攻撃が可能な兵員数は限られる。ネスト内部では、常に一定数の火力しか効果を発揮しない。王国側が一気に大戦力を投入しないのは、ネストという地形を考えると、数の暴力が効果的ではないからだろう。それゆえに、ネストの最下層で行われている戦闘の形態は王国軍の兵員と異形種、これらの戦力が同程度相対した白兵戦に近いと想定できる。しかし、異形種が王国軍の兵員一人と同等の戦力を持っているとは断定ができない。単体の異形種が王国軍側兵員の数倍の戦闘能力を持っている可能性は十分にある。異形種とはカントレイア世界の地上生物とは比較にならない存在、これが、ここまで得られた情報で共通している認識だ。

 野砲の存在とネストの地形から異形種の戦闘能力を推定する。

 ネストには天井があり、その通路は頻繁に右へ左へ折れている。野砲を持ち込んだところで曲射射撃を利用した遠隔攻撃は不可能だ。王国軍がネストの最下層に持ち込んでいる野砲は平行射撃で強引に使用されていると考えるのが妥当だろう。

 恐らく対戦車砲のような使用法――。

「こいつは面白れェ。異形種とやらは撃破に戦車砲の直撃が必要な相手なのか?」

 ツクシの口角が歪んだ。戦車と聞くと、それが機動しているのを間近で見たことがない、搭乗したことがない人間は軽く考えがちだ。だが、現実に戦車と名称がつく機動兵器は歩兵にとって純然たる怪物である。砲を使わなくてもその体を当てるだけで、生身の人間を一瞬で挽肉にできる装甲と重量、それに馬力を持っている。

 ツクシはここまで考えて顔をしかめた。

 ネストの最下層でタラリオン王国軍が異形種を相手に戦争をやっているのは間違いない。しかし、異形種と呼ばれる何かは、どこから兵力を「補給」をしているのか。ネストの出入口は現状、たったひとつだけだ。ネスト内部で封じ込まれている異形種の軍勢に補給路はない。異形の軍勢は常に補給路が断たれた袋小路に追い詰められていることになる。王国軍の攻撃を受け続ければ異形種はいずれ押し負ける筈。

 だが、実際は、ネストの最前線フロント・ライン――王国軍と異形種の主戦場は動いていない。異形種が王国軍よりも遥かに強力な局地戦闘能力を保持しているなら、前線を突破した異形種がタラリオン王都を攻撃している筈だ。消耗し続けている筈の敵軍勢は、一体どこから武器弾薬や食料、それに『異形種の兵員』の補給を行っているのか。やはり、ネストの最下層に『ここではない世界へ繋がる扉』があると考えていいのか。

 それとも他に可能性があるのか――。


「――ツクシ。色々と王国軍も考えてはいるんだぜ。たいていは失敗に終っているがなァ。ところで、ユキ、モグラよォ、ちゃんと自分の金でメシを買えやい」

 行商から昼食を調達してきたゴロウがユキとモグラへ困り顔を見せた。

 ゴロウは手に木皿を三つ持っている。

「ネスト行商が売るものは高すぎるんだよう。買ったらオイラのもらう金が全部すっとんじゃうよう!」

 モグラは声を荒げた。「んっ」とユキは目を細めて顔を傾けた。これはユキが美幼女になったあと使用するようになった表情である。「かわいいは絶対正義」といわんばかりの、あざとく計算し尽された笑顔だ。

 しばらくの間、ユキの作られた笑顔を眺めていたゴロウが、

「おい、ツクシ。ユキのメシ代はおめェが負担をしろ。ユキはおめェの荷物持ちだろうが。少銀貨八枚と銅貨が六枚だ。すぐ払え、このゴボウ野郎」

 舌打ちをしたユキはゴロウの手から木皿をひったくって、それを食べ始めた。モグラも呑み込むようにして木皿の料理を食っている。木皿の料理は肉多めのトマト・ソース・パスタだった。

 不機嫌な顔をゆらりと上げたツクシが、

「俺は今、手持ちがねェんだよ。この赤髭野郎。昨夜の話だから忘れたとはいわせねェぜ。どこぞのアホどもに俺の有り金は全部ムシりとられてな、もう完全にオケラだ。めでたく宿に借金ツケまでできたぜ。アホどもってのはな、ゴロウ、チムール、ヤーコフ、手前らのことだ。おい、目を逸らすな、殺されてェのか、こっちを向け。おい、よく聞けよ、昨日の会計はな――」

 ツクシがゴロウ、チムール、ヤーコフの顔へ、平等に鋭い視線をぶっ刺して殺気を放出し始めた。実際、こいつら今から殺してやろうかな、ツクシはそう考え始めてもいる。チムールは横を向き、ヤーコフはうつむいた顔を決して上げようとしない。

 ニタァと満足気な薄笑いを見せたゴロウが、

「トニーも弁当を嫁に作ってもらったのか。この野郎、見せつけやがってよォ!」

「ああ、お蔭様でアナーシャの身体はぴんぴん動くぜ。金はえらくかかったけどな――」

 トニーはゴロウを恨みがましく見やりながら嫁お手製のハム・サンドに噛みついた。

「ネスト行商のメシ、結構いけるっすよ」

 頬を膨らませたヤマダも車座に加わっている。

 ゴロウがそのヤマダの隣に腰を下ろして

「ほう、今日のメシは当たりかァ、ネスト行商のメシは当たり外れが――」

「――クッ!」

 この呻き声は怒りに震えながら自分の弁当を開いたツクシである。

「どうしたんすか、ツクシさ――!」

 ヤマダもツクシの弁当箱を覗き込んで絶句した。ツクシのランチ・ボックスには大きな握り飯が五つ入っていた。海苔は巻かれていないが、その代わり、表面に焼き目がついている。焼きおにぎりである。

「ツクシ、何だァ、お前の弁当――」

 ゴロウは不審気な顔だ。

「白い麦か。俺、今までそんなの見たことないな――」

 トニーはおにぎりを見て顔をしかめた。

「ツクシ、それって食べ物なのかよう?」

 食いしん坊のモグラですらおにぎりに興味を示していない。

「うわ、ウジの塊みたい――」

 ユキはおにぎりを食べ物として認定しなかった。

「ツクシ、何だよそれよ、蜂の子かよ、俺は嫌いじゃないよ」

 チムールは一応、おにぎりを食べ物だと判断している様子だった。

「チムール、は、蜂の子よりも小さいみたいだ――」

 ヤーコフは注意深くおにぎりを観察している。

「もういいよ、お前らは。ヤマさん、ひとつどうだ?」

 故郷の味を散々いわれて、ツクシは不機嫌な顔だった。

「い、いいんすか、ツクシさん。じゃあ、一個だけもらうっす」

 ヤマダが震える手でおにぎりを手にとった。

 ツクシがおにぎりに噛みついて、「なかの具はピクルスか。ま、贅沢はいえん――」そう呟いたが、それでも口角は米のめしの味にゆるんでいた。

「僕のおにぎりの具はソーセージっすね。あっ、このソーセージ、甘辛い味がつけてある。一年振りかな、米のめしを食うの。旨いなあ、超旨いっす――」

 おにぎりを噛み締めるヤマダの眼鏡が曇っている。

「フム、ツクシの昼食はライスかね」

 カイゼル髭の下でサンドイッチをはむはむしていたリカルドである。

 一個目のおにぎりを丸呑みするようにして食い終わったツクシが、

「リカルドさんは米を知っているのか?」

「ウム、我輩はコメを食したことがあるぞ」

 そういったものの、リカルドはおにぎりにさして興味がなさそうだった。

「ツクシ、凄いね。なかなか手に入らない食材よ」

 ニーナはゴザに横ッ座りでサンドイッチをぽくぽく食べていた。火薬入りの木箱を無造作に放り投げるわりに、ニーナの仕草は逐一女の子をしている。

「――米がか?」

 ツクシが首を捻りながら二つめのおにぎりに食いついた。そのおにぎりの具は、タラの塩漬けを焼いたものだった。

「うん、タラリオン王国で米の栽培は行われていないから、高級輸入食材だよねー」

 ニーナがおにぎりをもりもり頬張るツクシを見つめた。そこでツクシはミュカレに「米はあるか?」そう訊いたことを思い出した。どうやら、セイジが気を使って米を調達してくれたらしい。

 あとでセイジさんにお礼をしておかないとな――。

 そう考えながらツクシは三個目のおにぎりに食った。惜しむらくは、革水筒に入っている飲料がりんご酒シードルである点だった。

 飲み物が麦茶か緑茶ならもっといいんだが――。

 故郷の味を噛みしめるツクシの口角が苦く歪む。

 昼の休憩を終えると帰りの荷を積み込んだウルズ組の移動が始まった。


 §


 脇道の闇にチムールが放った矢がびょうと飛ぶ。

 闇がひとの形に切り取られた。

 額に矢を突き立てられた屍鬼が脇道の奥で倒れた。

 赤土の地面へチムールの吐いた唾が飛ぶ。

「チムールは目がいいな」

 ツクシがいった。

「あ、ああ、チムールは夜目が利くんだ」

 荷車を引くヤーコフがチムールに代わって答えた。

「屍鬼が多すぎるよ、どうなっているんだよ。今日はこれで七体も仕留めているよ――」

 チムールはぶつぶつといいながら脇道へ消えた。その奥から、ファングの唸り声らしきものが重なって聞こえてくる。

「チムール、大丈夫?」

「チムール、怖くないのかよう!」

 ユキとモグラが声をかけた。

「――発情サカってる熊に比べりゃあよ、犬なんてなんともねえよ、ガキどもよ」

 脇道から戻ってきたチムールが唇の端を反らした。

 その手には自ら放った矢を持っている。

「へえ、矢は再利用するのか?」

 四輪荷車の脇を歩くツクシである。

「屍鬼もファングも病気を持ってるからよ、本当は捨てたいんだけどよ。だけどよ、この調子で捨てておいたらよ、とても矢が足りねえよ。とりあえず、矢柄やがら(※矢の柄の部分)が曲がってなきゃあ、いいんだけどよ――」

 チムールは矢に歪みがないか片目を瞑って確認していた。

「ゴロウ、その面子まとめて登記したら下の階層に当たる組の連中から恨まれるナ」

 近くにいた中年男性がゴロウに話しかけた。頭のてっぺんが禿げ上がった黒髪の中年男である。年齢は四十代後半。その男は中肉中背の落ち武者のような見た目だ。この落ち武者氏は手に長槍を携えていた。

「チムールとヤーコフ、それにリカルドさん親子も、ゴロウと同じ班だものねえ――」

 落ち武者氏の横で中年女性がいった。こちらは三角巾をつけたおばちゃんだ。どうやら三角巾の中年女性は落ち武者氏の細君のようである。

「ま、同じ組の俺たちは助かるけどナ」

 落ち武者氏がいった。

「今回は新人いたからなァ、まァ、それでも戦力過多だわなァ」

「暇よね。チムールが屍鬼を全部片付けちゃうし――」

 ゴロウはニーナがボヤいた。

「うむ、これでは我輩の大斧槍グレート・ハルベルトが活躍する機会がないではないか。初顔のツクシやヤマダへ我輩の槍術を披露したいところなのだが――」

 リカルドも不服そうだ。

「生きて帰れるのはありがたいけどさ、この面子ならもっと深いところで働いてもよかったかもな。深い階層に当たれば危険でも金になる。俺は金が必要だしさ。もう、アナーシャをネストに連れてきたくはないしな。ああ、生活が苦しくてたまらないなあ!」

 荷車を押すトニーがゴロウへ聞こえるようにいった。

 ゴロウは聞こえていないフリである。

「おや、そっちの眼鏡のひとは新入り?」

 落ち武者氏の細君がヤマダへ顔を向けた。

「しかし、新入りにしては随分と堂々としているナ。屍鬼を初めて見る奴は、たいてい、腰を抜かすけどナ」

 落ち武者氏もヤマダへ顔を向けた。

「屍鬼ならいやってほど見てきましたから――」

 ヤマダは苦笑いだ。

「屍鬼を見慣れてる――あんたは屍鬼動乱の生き残り組かい?」

 落ち武者氏の細君がヤマダに訊いた。

「ええ、何とか逃げきったっす」

 ヤマダが頷いて見せた。

「そうか、そうか。見かけによらず根性があるんだナ」

 落ち武者氏がヤマダの顔をまじまじと見つめた。男衆が多いネスト・ポーターのなかでお喋りに飢えていたのだろうか。

 落ち武者氏の細君が堰を切ったように、

「そりゃ、あんたも大変だったね。屍鬼動乱ではさ、うちの妹がやられて、死体も残らなかったよ。野菜を仕入れにいった途中でさ、うちの店のだよ。横のひとと私は八百屋をやってたんだ。屍鬼動乱のときに店も焼けちゃったけどねえ。うちの近所の奥さんと旦那さんもさ、ゴルゴダ墓場のあたりで商売をやっていたのだけどねえ――」

 落ち武者氏の細君の話にヤマダは苦笑いで相槌を打った。

 落ち武者氏も苦い笑顔で自分の細君を眺めている。

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