こんな世界にした以上受け入れろ
ジャニーズ事務所に対し、大手企業がCM起用を見送る方針を次々と打ち出している風潮に対し、GACKT始め少なくない有名人が批判的なコメントをしている。
「アーティスト個人が何かやらかしてCMを打ち切られるというのは分かる。しかし、今回のことは一人ひとりは関係なく、むしろ被害者。その彼らとの契約を切るのはおかしいし不気味でしかない」
昔の戦(いくさ)のことを考えてみよう。
歩兵(足軽とも呼ばれた)は、大名に雇われて戦っている。
敵は、その歩兵を個人とは見ない。敵側である以上、誰であっても「敵側の人間」と見なして容赦なく殺す。生きていくためにどこかの陣営について戦う、というのはそういうことである。相手を見て「お前はあそこの殿様とは直接関係がないよなぁ。雇われてしょうがなく戦わされてるだけだよなぁ。生きるため仕方なく、だよね?」と見逃してくれたりなどするだろうか? そんなことをしていたら勝てない。
この世界の前提は、資本主義社会。別名を自由競争社会である。
その本質は「利益の追求」にある。大前提としてそれがあるので、何よりも儲けを出すことが大事なのである。ただし、それに傾き過ぎたら非人道的な事件も起きるため、法というものが整備され儲けるための目に余る悪事は摘発される。
各企業体は、抱えている社員を安定して養っていかなくては立ち行かない。一定の給料を必ず払い続ける必要があり、なおかつ成長を目指すため、当然最大限に利益を上げる方法を考える。
そのために、企業にマイナスイメージがつていはいけない。最大限自分の会社にとってよい選択をするのは当たり前である。
●大企業の対応は、何ら問題のあるものではなく、この世界ではむしろ当然すぎる選択。
あるタレントは、「決定的な映像(性交している現場)とか画像も一切ないのに、話だけでしょ? それで決めつけるのはどうかな? 僕はそういう、もう言い逃れできないってレベルの証拠が出てきた時にしか信じない」と言っている。
でもそれは、思いっきり話の論点を外している。企業にとっては、正しいかどうかなんて関係ないのだ。悪いうわさが広まった時点で、企業イメージを大事にして相手を切るのだ。真実かどうかにこだわるのは警察や司法だけで、CM起用側は正しいかどうかなんてどうでもいい。それが資本主義だ。
この件で、個人のジャニタレは関係ない(むしろ被害者)から変わらずCMにでも役にでも使ってやれ、というのは論理的に物事を考えない感情論である。
私は、冷たいことを言っているのではない。みなさんが作り上げ納得の上暮らしているこの世界の流儀だと、確かそれでよかったはずでしょ? 何を今さらガタガタ格好つけたこと言ってんの? と思う。
今の世界の中で、この件に文句を言う人は「筋違い」をしている。例えば、ある学校で納得できない校則があるなら、文句を言うだけでは変わらないし解決にならないでしょ? 校則自体を変える、という動きをしないと文句だけ言っても無意味。
ならば、今の自由競争社会・利益追求型(右肩上がり成長型でないと怠け者と思われる)社会自体を変えていかなきゃならんでしょ。
大企業がジャニタレを簡単に切れない世の中にしようとするのが筋で、それもせずに「かわいそう」「関係ないじゃん」と言ってもそれは子どもの文句と同じ。
気に入らないなら、ピンポイントで文句を垂れず世界自体を変えようとしなさい。
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