宣伝が不親切

 皆さんは「経口保水液」というものを利用したことはあるだろうか。

 ちなみに私は、ない。

 今朝のニュースで、使い方を誤る人が少なくないため、注意を呼びかける記事があった。経口補水液と名の付く商品は多いが、成分の基準値における厳正な審査に合格したものだけが「特別用途食品」と認定される。ただ、その認定された商品が、たった三社の製品しかないのだ。中身は清涼飲料水なのに「経口補水液」と名の付くものもあるのだ。

 それを受けて、経口補水液と名乗ることに「許可制」を導入。基準を満たさない商品は来年の5月末までに内容の改善もしくは名称の変更をしなければならない。


 

 しかし、たとえ基準に合格した商品であっても、のどが渇いた時にガブガブのむものではないのだ。スポドリなどよりも塩分が多いため、脱水状態とかそういう危ないケースではないのにスポドリ感覚でガブガブ飲むとナトリウムの過剰摂取となり、健康被害を引き起こす恐れがある。

 ここまで書いたことをよく知らない人が、「汗をたくさんかいたから」と、体に水分が足りない感じの時に飲むもの、というアバウトな感じで飲んでしまうことが危惧されているのである。ドラッグストアによっては、ポカリやアクエリやサトエリ(それは違うし古い)と同じ場所に陳列してあったりするので、そりゃナカーマだと思って手に取ってしまう消費者だっているだろう。



 皆さんは「スピリチュアル」と言われるものを利用したり、ハマったりしている状況はあるだろうか。

 そっち側の私が言うのもヘンだが、考え直した方がいい(笑)。

 スピリチュアルと名がつくと、皆さん普通は「幸せになれる教え」「人生の成功や願望実現」「世界を良くする」といったものだと認識するのではないか。

 実は、本当にそんなものはそう多くはない。多くは、清涼飲料水のくせに背伸びして「スピリチュアル」と名乗っているものは多く、それは数少ない本物と並んで陳列されているため、眼力のない者は容易に引っ掛かる。

 確かに、辛い時や世のの常識や考え方ではどうしても乗り切れない問題が心にできた時、頼るものが「スピリチュアル」であったりするのであろう。でも、経口補水液と同じで、飛びついていきなりガブガブするものではない。

 注意を喚起しておきたいが、のめり込む前に客観的にあらゆる角度からそれを吟味するべきである。項目はいくらでも挙げられるが、ためしに一番重要なものをあげてみよう。



●親や家族、親しい友人にそれを紹介ししてみる。5人中3人以上が「それはヤバイ」「ちょっとおかしい」と言ってくるならやめなさい。せめて「私は同意できないけど、あなたがそれがいいと思うならまぁいいんじゃない?」くらい言わせるものにしておきなさい。



 スピリチュアル寄りの陰謀論にハマって、離婚したりついていけない家族と疎遠になったりというトラブルが多いということを聞く。ハマる前にこれをやってほしかったよ!

 一番怖いのは、「英雄感覚」に騙されることである。世の中が反対するのは、見る目がないから。私はこの教え(情報)の価値が分かるので、選ばれた人間なのだ。そんな私には、世に正しいことを示していく使命がある! なんて気にさせられたら一巻の終わりである。経験者である私が言う。

 スピリチュアルと名のつくもので、幸せになるためにやるものなはずなのに、かえって「不幸」な状況を招くものがある。症状が重いとそれを「正しい道を行く者の試練」と勘違いして耐えてしまうバカをやる。判断は簡単でいい。あなたが快か不快か。やった結果、周囲によい影響があって色々うまく回り出しているか。

 やった結果周囲はドン引き&反対、あなた自身もそれを貫き通すのにしんどい思いをするのなら、ちょっと落ち着いて「そもそも何のためにやろうと思ったのか」の初心にかえるべし。

 あれっ、今の状況は何? もしかして経口補水液をまちがってガブガブ飲んじゃった? それとも、本当は清涼飲料水なのに「経口補水液」と書いてあるのに騙されちゃった? と我に返れるだろう。

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