ゾンビと人間の違いは
皆さんは、『ゾンビもの』好きですか?
映画に限らずTVドラマ・マンガ・果てはTVゲームまで。この世はゾンビ関係のものがあふれている。ジョージ・A・ロメロ監督の有名な「ゾンビ」のような、のろく歩くゾンビはもう流行らないようで、だいたい全力でダッシュしてくるようなのが主流になってしまった。ウォーキング・デッドはまだなんとかノロノロゾンビで頑張ったが、もう速く走らないゾンビは若者に受けないのかもしれない。
先日観た映画で『ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のこと』というのがある。確かNetflix映画だった。
赤楚衛二主演で、この手の映画には珍しくホラーではなく(怖がらせる内容じゃなく)コメディである。主人公はブラック企業で鬼上司にこき使われ、走行中の電車を見ると「いっそ飛び込んで死んだら楽だろうなぁ」とまで考える。
しかしある日。突然ゾンビが現れ(そのあたりの説明ゼロ)、日本が終わりかの様相を呈する。破壊される街、次々にゾンビ化する人々。そんな中、このノーテンキ主人公は叫ぶ。
「もしかしてこれって、会社行かなくていいんじゃね? やった~♪」
そのあとも、危険だらけの世界で「自分のやりたいこと」をどんどん実現し、生き生きしていく主人公。だが、旅の果てに行き着いたのは、かつてのブラック企業の鬼上司が仕切る、生き残りのコミュニティーだった……
この記事をあえて映画評論カテゴリーにしなかったのは「そうするほどでもないから」(笑)。途中の「ドンキホーテ」での戦いまではまぁ面白く見れたが、そこから先の展開がダレ気味で、クライマックスシーンはCGとアイデアの陳腐さに撃沈。最後まで見ないと作品を語る資格はない、と頑張りました。
とにもかくにも、この作品から私が思ったことは二つ。
●乗り越えない試練は、死ぬまで形を変えて降りかかる。
●今生きている人とゾンビと、そう変わらない部分がある。
もしゾンビ映画のような世界が現実に訪れたら、私たちはゾンビになるなんてゴメンなので、噛まれないように逃げ惑うでしょう。
でも、朝から晩までやることが決まっていて。それが押し付けられたもの、やらなきゃいけないことで。そして自分のやりたいことが出来ず、他人にも自分の意見を自由に言えない。もしそんな毎日を繰り返しているのなら、ゾンビとあなたとどう違うのだ、というメッセージをこの作品は含んでいる。
確かに、ゾンビじゃなきゃうまいもの食ってうまい!と思えるし、ゲームしたり映画見たら「楽しい!」って思えるだろう。でも、その刹那的感覚的な感想にどれほどの価値があるのか、って話。自分で考え主体的に動かないなら、別に人間としての自意識がある価値なんてあるの? 生きてたってどうせろくなことしないでしょう。
アンタなんて生きてたってろくなことしないし、いたっていなくたって変わりゃしない、なんて言われないように。たたひとつでいいし、そのひとつはそこまでたいそうなすごいことでなくていい。何か、家族や友人や社会の誰かやに届く「ありがとう」と言われるに値する何かを、今日も一つ成し遂げよう。
ただただ時間が流れるだけの人生にしないために。
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