偽プリキュアに注意せよ
ある国営の海浜公園で、女児向けアニメ(ぶっちゃけたらプリキュア)の覆面コスプレをした人物が、子どもと接触し非公式なグリーティング(※触れ合ったり記念撮影をしたりすること)を行うことが横行している事実を受け、公園側がルールを厳しくする方針を打ち出した。
筆者も、USJでクルーとして働いていた時、セサミストリートのエルモとかバートとかの付き人をした。着ぐるみを着たスタッフからは数メートル離れて、困ったことがありそうな時や、お客様が撮影してくれる人を探している時にだけ近づいて助け舟を出す。監視役が常にべったりだと、お客様も興ざめだと思うので、何もない時には距離を取って気取られないようにしていた。
まさか、パーク内で歩いているキャラクターの着ぐるみが「USJの許可なしにやっている」なんて、誰も思わないだろう。皆の頭の中では無条件に「きっとパークの運営としてやっている」と信じて疑わないはずだ。
問題の海浜公園でも、子どもが「プリキュアだー!」と喜んで寄って行っても、親御さんだって普通「公園側が企画としてやっている」と発想してしまい、問題に思えないどころか歓迎してしまうだろう。
まさか、幼い女児に性的興味のある者が、接触を目的にプリキュアの格好をして「堂々と女児と触れ合える」機会を狙ってきている、なんて思わないだろう。ただのコスプレなら顔で男と分かるが、顔もアニメキャラの覆面をしているのだから、子どもは警戒心を抱きにくい。
実際、ネットの書き込みでその目論見が成功し「いい体験ができた」と喜びの声をアップしていた女児狙いコスプレイヤーがいたのだ。
まぁでも、このニュースが流れたことで今後、レジャー施設や大きな公園に子どもを連れていくときには「コイツ本当に許可取ってやってんのか?」とまず疑う知恵が大勢の親についたはずだ。
翻って、スピリチュアルという世界のことで考えてみよう。私たちがその手の情報に触れる時、特に何も考えてなければ、愚かにも「見誤る」ということが起きてしまうのだ。公園に子どもを連れてきた親子が、実は変質者のプリキュアを「公園側が善意で雇った」ものだと信じてしまうのと構造は同じだ。
●スピリチュアル的発信は、基本「善意」によるものという前提で受け取る。
●その言説に証拠も何も示せず、正しいなんて分からないのだが、伝え手の口のうまさとその伝わってくる強いまでの「自信」にやられ、とりこになってしまう。
正しいかどうかより、その人が「これなら信じたい」という内容であることに注意。結局、自分が信じたいことを言ってくれることに飛びつくのだ。
●本を出し名声をいったん得た人物が、後に何か言ってもその実績と信頼のもと「あの人が言うことだから」と、大した吟味もなく受け入れられてしまう。そうなったら、もうある種の「宗教」である。
ツイッターにもフェイスブックにも、スピリチュアルな発信をするアカウントは山ほどあって、目を通してみても7割強がゴミ情報を発信している。
私は、大勢の者がこんなものを読んで喜んでいるのかと思うと、哀れを感じる。
少なくない数のスピリチュアル発信が、見た目かわいいプリキュアに見えて実は女児狙いの男どもというのと同じで、一見立派なことを言っているが自身の名声や儲けのことしか考えてないと透けて見えるメッセージになっている。
どうか警戒して、見る目を養ってほしい。少しお金をつぎ込む程度なら、高い勉強代だったなぁと頭を掻いて済むが、膨大な時間とお金をつぎ込んで入れ込んでしまったら、それは単純な後悔では済まない。
人生は、限られた時間しかないのだ。その時間をよりよいものにするためにも、自分が信じ共感するに足ると思える何かに対しては、厳しい目で吟味するべきだ。自身のトラウマや人生で得られなかった欠けのせいで、本能的に反射的に飛びつくというのだけはやめてほしい。
自身の傷を癒やす、慰める、自分を正当化することばかりを主眼としてスピリチュアルに相対していると、かなりの確率で偽プリキュアに騙される。
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