ちゃんとお金を払いましょう
何かとトラブル続きで、順調とは言えないマイナカード関連の整備。
誤った情報の紐付けが少なくない数あることも分かったりして、政府はとにかく誤登録、すなわち入力ミスや点検ミスをいかになくすかが大事、という見解を述べた。
今朝のニュースで、政府は9月中に登録事務に関するガイドラインを策定し、マイナンバー照会方法の改善、登録事務のデジタル化を進めると発表。極めつけは11月末には「個別のデータの総点検を終えたい」としている。
いつの時代でも、そういうことを言うのは「自分ではやらない人たち」だ。大仏をつくるぞーと言い出したのも天皇で、どうまちがっても自分で現場に行き、率先して木や錫を運んだりはしない。やるのはいつだってそんな重労働でもしないと生きていけない弱者だ。万博だってそうだろう。
それを聞いてモヤモヤしたのは、現場の自治体である。いわば「指示を出すだけのお上の命令を受けて実際に動く現場」。京都市のマイナンバーカードセンターの企画推進課長はインタビューされて「人員確保(人手を増やす)ことは想定していません。というかそれ以前に、国からまだ何の方針も示されていません(ので勝手に動きようがありません)。だからまずは国からやり方をお示しいただきたい」という趣旨のことを述べた。
自分たちは手を汚さないだけでもサイテーなのに、動くのに必要な方針や具体策も現場に下していないとは、もはや使えない。
人為的ミスが起きる原因は色々に考えられるが、まず大きいのは人員配置だろう。トップというか経営者サイドの頭の中は「儲け」しかない。さて、より儲けるには「最低限の投資で最大限の利益を上げること」である。事業を成すためにかかるお金を最小限にすればするほど、投資額と純利益の差額が大きくなって儲かる。
要するに、単純には「人件費をいかに抑えられるか」である。できるだけミスが起きないように、職員が精神的にも安定して取り組めるだけの「余裕のある人員配置」をしたら、お金が余計にかかるという発想なんだろう。だから、できるだけ少ない人数で回せ、と暗に匂わす。
現場は、少ない人数でお上が勝手に定めた目標を死守すべくひたすら回転する。一人当たりの労働も増え、ノルマがありしかもミスは厳禁なんてプレッシャーがあったら、そりゃミスも誘発されるでしょう。
皆さんは、スーパーやデパートに買い物に行ったら、値札通りの金額を払いませんか? 払わない、という人がいたら教えてください。
大阪のおばちゃんみたいな人種は「これ、もうちょっとまからん?」とか言ったりしますが。それだって最後は店側が納得した値段を払うのですから、合意の上なので泥棒ではありません。
でも、店側の同意なしに「この値段しか払わん」は通りません。店側は絶対にその客に商品は渡さないはず。
であるならば、政府が地方の現場に「これこれのことを〇月までに終わらせなさい。その際ミスは起きてはいけない」と要求するなら、その要求に見合うだけの対価を支払う義務がある。これすなわち、役場で働く者たちが心にゆとりを持って事務作業ができる十分な体制を敷くこと。そのためのお金を惜しんだりしないこと。
●欲しいものがあるのに、それにふさわしい対価を払うことをしないで得ようとするのは泥棒である。
少なくとも私は、そんな当たり前のこともできない人間にはなりたくないと思っている。で、そんな私はそれができていない政府の人間よりもはるかに少ないギリギリの収入でこの社会を生きている。
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