人は死なない、の正味の意味合い

 人が死ぬ、という時。死んだら終わり、と考える時。

 それは、思考する軸がこの世界で生きる「自分」に置かれている場合であり、一事が万事そこからしか物事を考えない。だから、これが自分だと思っている(思い込んでいる)体の機能が停止したら、それが死であり終点であると考える。



 私たちは、夜夢を見る。

 夢を見るというのは正確ではない。あれはあなたの大元意識が演じている人生を見ているのだ。いや、見ているというのではなく実際にそこで生きて、体験している。



●夢を見ている、というがあれは夢ではない。どこかの別次元で実際に起きたことである。というか、フィルムではなくあなたは実際にどこかでそれを生きたのだ。



 夢が支離滅裂なのは、その次元段階では「因果律(こうならば次はこうでないと科学的・論理的整合性が取れない)」から自由であり、順序とか起承転結などの縛りがないからである。朝起きた時に夢を全部きちんと覚えていられないのも、人間は筋の通ったもの(ストーリー付けられているもの)なら覚えやすいという性質が影響している。支離滅裂で前後のつながりがほぼないものは、よほど強烈な内容の夢しか覚醒した脳のメモリーには残っていない。この次元の脳スペックでは、夢で起きたちょっとしたことまで記憶にとどめておけない。

 夢を見ない、という人もいる。でもそれは見ていないのではなく、見ていると自覚する機能がマヒしているだけである。睡眠中は必ず別次元で別の人生の自分(まったく他人の場合もある)を生きている。



 おそらく、あなたの魂(プレイヤー意識)は、あなただけでなく億千万の人生を生きている。この次元でその体をやっているあなたには、あなたの人生しか分からないだろうが。寝ている間は、別次元の別人(あるいはあなたの人生の別の可能性)をやっている。あなたにとっては一晩だが、時間の基準がまったくちがうため、一晩で短ければ数週間、長ければ数年を実は寝ている間に生きている。起きた時にそう思えないのは、こちらの世界軸の思考に戻った時に、こちらの尺度でのものの考え方で理解をはみ出る部分が急速に頭から薄れるからである。だから、一晩で見る夢は一晩の時間の長さと同じ内容、だと勘違いもする。



 ということはだ。

 実は、あなたの意識のもとは同時に無数の人生を同時並行で生きている。

 起きているあなたは、その無数の中のひとつにすぎない。

 だから死という現象は、その無数の中のひとつがひとつの区切りを得て「おしまい」になることである。でも、それは大きな視点からは「死」ではない。

 あなたが夢で他の人生を見るということは、あなたの人生も他(それも実はあなた)から見られているということであり、そのバリエーションから一瞬消えるというだけのことである。あなたの大元意識が起こすドラマは、のこりの99.9999……%の者たちによって続いており、あなたは実は死んでいない。なぜなら、あなたの分身である「夢で見る別次元」は依然として存在し、続いているのだから。

 筆者は、痛いのはイヤだが基本的に「死」が怖くない。上記のことを理解したからだ。もちろん、人情的に愛する人たちにこの慣れ親しんだ次元で会えなくなるのは寂しいが、結局別世界で、何らかの形でまた関り、半永久的にドラマを紡ぐ続けるのだ。永遠(とわ)の別れなど、存在できないのだ。



●夜夢を見て、その夢から戻ってこないというだけの現象が「死」なのである。

 夢のほうが残っているので、あなたは大きな視点からは死んでいない。ただ、無数の「営業中」のあなたの可能性の中から、たったひとつが「一時休業」になっただけである。



 それだけではない。

 彼岸の世界は、過去・現在・未来といった時間の制約を飛び越える。

 人が「死んで、もう世にいない」というのは、この次元の時間軸だけしか見ないから言えること。もし、時間というものを超えた世界から個人の死を見たらどうなる?



●あなたは生きていても、実は死んでいることもある。(別世界では)

●あなたはこの世界では死んだが、並行世界であなたの別の可能性が生きている。

●あなたが死ぬと同時に、あなたが誕生もしている。(時間の制約がない世界では、すべてが常に起こり続ける)


 

 これらを悟れば、この世界で死を恐れることが馬鹿らしくなる。ただ、個人的に痛いのとかしんどいのとかがイヤだなという感情だけが私にはあるだけ。

 もちろん、それは元気な今だから心配してしまうだけで、その時が来たら意識も体も総協力体制で苦痛を軽減する方向にもっていくのだろうな……

 とにかく、死は「最悪なこと」ではないのは保証する。一見悲しい別れには見えるが、あなたはめぐる因果の果てまで、近しい人と永遠に無限パターンのドラマを演じ続けるのである。死したらまた生まれて。いや、夢の中のどこかでもうその新しい歩みが始まっていて、それをあなたが夢ですでに見ている可能性すらある。

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