逆張り
スキャンダル報道で、その俳優活動に大打撃を受けた香川照之。
イメージ悪化のせいでCMも全滅かと思いきや、殺虫剤で有名な「キンチョール」「ゴキブリムエンダー」だけは契約を継続することになり、全滅は免れた格好だ。
また、何かとニュースになる「ゆたぼん」(筆者にはなぜ彼の言動をいちいち報道するに値すると考えるのか理解不能)が投げ銭くれ! 旅が続かんと要求した時世間はほとんど「そんなに甘くない」「誰がそんなのにお金を出すのか」と批判的だった。だがそんな中でポーンと百万円を彼に与えた企業が出てきた。
今ふたつほど例を挙げたが、共通することは何かお分かりだろうか。
そう。『逆張り』である。これはもともと投資の世界の用語で、相場の流れに逆らって売買すること。人気が高まっているときに売り、環境が悪く値下がりしたり、人気が離散しているときに買う。つまり、市況の裏を行く投資方法のこと。
これが転じて、一般的な言葉としても定着した。一般論とは逆を主張する人のことを指し、いわば天邪鬼(あまのじゃく)である。世の中で流行っているものをあえて批判したり、悪評の立っている対象を庇ったりする立場をとるような人のことを指す言葉として使われる。
そんなことをして何の得があるのか?
①悪評は無名に勝る。とにかく、広く知られることが大事という狙い。良い悪いなど二の次で、とにかく覚えてもらえれば、そこからが勝負という考え。
アパホテルの社長も、ビジュアル的に露出するメリットのないご尊顔を広告に出すことで「良くも悪くもまずは覚えてもらう」ことを優先する手法をとった。ただし、ホテル自体のクオリティが低ければ意味がないので、そこはきちっとしたうえでのことなのでまだ好感が持てる。
②普通の人が普通に喜ぶようなものはもう研究し尽くされており、おなじようなものを提供していたのでは大きな存在がもう王座にいてちょっとやそっとでは並ぶことは不可能。ならば同じ土俵での勝負は避け、あえて少数派だけが反応しそうなニッチな部分で勝負する。称賛する人が圧倒的な中あえて悪く言うようなことがその一例。
世の中にはいろんな人がいるため、少しは皆が褒めるようなものでも反感を持っていたりキライな人はいる。そういう人たちをターゲットにするのである。その戦法を取る時は、あえてその世界の王者になることは捨てている。何とか余裕のある暮らしができる程度儲かればいいのだ。多くはなくとも、熱狂的に支持してくれる一定数がいたらやっていけるのだ。
キンチョーのCMもゆたぼんへの100万円提供も、逆張りである。①のケースに当たる。どのCM会社も香川照之から手を引いたら、残したその1社はとにかく目立つ。皆の頭に残る。これは考えすぎかもしれないが、もし将来香川照之がなんとか世間の批判に耐えて再び活躍できる日々がかえってきた時、香川は思うではないか。
『あのしんどい時期、キンチョーさんだけが味方してくれた』
ならば、その覚えめでたいキンチョーが香川に一目置かれることになり、そのメリットは計り知れない。そこまで考えてのことなら策士だ。
ゆたぼんへの資金提供者もそうで、その企業だって普通の頭があるから世間の反応は分かっている。分かっていてあえてやったのは計算だと筆者は推測している。もちろんゆたぼんの活動や理念に本当に賛成している部分もあるのだろうが、それが一番の理由なら会社を発展させる使命のある経営者としての社長なら無能である。明らかにこれは下心があって、別の効果を狙っているとしか考えられない。
筆者がここで書く記事も、「逆張りかよ」と言われることがある。
確かに、表面的にはそう見えるかもしれない。でも、世間の逆張りと私の言ってることとは根本的に違う。
●世間の「逆張り」は、得たい利益が先にあって、それを得るために意図的にするものなのである。言ったら「戦略」である。
筆者は、本当に心から言いたいことを言っていて、そこに計算とかこうなろうとかいう意図はゼロ。ただ、そうして出てきた文章が結果として、読んだ人には「逆張りではないか」と思われてしまうというだけである。
天に誓って言うが、筆者は「逆張りでウケよう」と思ったことはない。
ただ、日々何者かが頭に与えてくるインスピレーションをもとに文章を書くだけだ。皆さん、この文章量をほぼ毎日更新しているんですよ? これ、日々頭使って狙って書くには長文すぎると思いませんか? 考えて書いてたら絶対大変ですよ。
何も考えずザーッと打って、あとは誤字脱字を直すだけ。ほんの一時間も要らない。誤字以外内容は見直さないし推敲もしないから、こんな長文が毎日アップできる。逆張りを狙ってるんではなく、ホンネで言っていることが結果的に世間一般の平均とは違ったり、主流スピリチュアルと真っ向対立するような内容になっているだけのこと。
願わくば、何かの利益のために意図して「逆張り」をするのはあまり手段として多用しないでほしい。少しはいいが、使いすぎると(あるいはロシアンルーレットのようにたった一発でもたまたま当たることがある)トラブルのもととなる。下手をしたら、あなたがしあわせに暮らすことの障害として立ちはだかる可能性もある。
できることなら、ホンネそのものがただ結果的に「逆張り」であったということが望ましい。旧統一教会への擁護的な発言で悪い意味で話題になった太田光は、果たして意図的な「逆張り」だったのだろうか。私としては、ホンネで言ったことがたまたま世間にしたら「逆張り」に見えただけだろうと思いたいところだ。
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