全方位型スピリット

 今朝、TVで情報番組を見ていたら興味深い特集があった。

 視覚障害にやさしい靴下、を開発したという話だった。

 私たちは靴下を履く時、無意識にいくつかの行動をしている。



①かかとが下に来るように

②左右逆にはかない(外側に見えるようにプリントされている模様があるなら、左右取り違えるとそれが内側に入り見えなくなる)

③裏返ってたら元に戻す!

④ちぐはぐになるので、別の靴下の片方とペアにしない



 視覚障害のある方は、これらが困難である。しかし、番組で紹介されていた靴下は、これらの悩みを解消する画期的な商品だった。全部さっき挙げた困難をカバーできるのだ。



①かかとがない

②左右逆にならない(どっちをどっちに履いても大丈夫なデザイン)

③表裏の区別がない

④デザインは四種類。色違いだけでデザインは一緒。左右の色が違っても違和感がない(かえってあえてのオシャレな印象を与える)ので、その靴下のシリーズでそろえていればどれを二つつかんで履いても大丈夫



 素材も非常に柔らかく肌に優しいものを採用しており、今まで「家族に靴下の写メを送って左右揃っている? なんて毎朝聞いていた。こんな不便に着目し解消してくれてありがたい!」と大好評だ。



 本書では視点のバリエーションを紹介しており、できる限りの可能性を考えることで認識に奥行きを持たせることの大事さをお伝えしてきた。

 時折、世間の大多数が気持ちよく支持している事柄にケンカを売るかのような記事を書いているのも、逆張りして一定層の人気を得たいからでも、心から反対しているわけでもない。ただ、自分が持っていない逆の視点を採用してみることでの、内的世界の広がりを体験してほしいのだ。

 今回紹介した靴下のような心を、皆には持ってほしいという願いがある。



①かかとがない……こっちがこうでないといけない、という縛りから自由

②左右逆になっても問題ない……柔軟に極と極の可能性の間を行き来できる思考

③表裏の区別がない……自分の正しさを誇るため、他者の目を気にして多数が喜ぶ意見を口にするなどの小細工をするなどして、自分を飾らなくてよい。偽らずただ正直であれる。他者がどう思うかなど気にしない

④どれを履いても大丈夫……自分としての意見はもちろんあるが、たとえ違う意見であってもその立場を思いやり、相手を尊重できる(だが結果その意見に賛成するかどうかは別問題。そこはいくら相手を尊重しようが割り切れる)



 筆者が長く続くこの膨大な記事たちを書き続けている原動力は、ここにある。

 私は、自分が直接世の中や人を変えることができるとは思っていない。でも、私の書いたものが独り歩きし、どこぞの誰かが目にとめ、その人自身の判断と責任と勇気で「そういう見方もあるんだ!」と役に立ててくれるなら、それは私の力ではまったくないが素晴らしいことだ。

 今日も、そういう出会いがないかと想像し期待し、文字を綴る。

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