ハンバーガーショップ

 嘉門達夫の歌ネタで『ハンバーガーショップ』というのがある。

 マニュアル通りの張り付いたような作り笑顔の店員の対応を笑いにしたものであるが、これはあくまでも娯楽として大目に見るべきで、実際働かれている方は頑張っているし、敬意を払うに値するのが実際である。



店員:「今季節限定の~がおすすめですが、この機会にいかがですか?」

客 :「いらん! 欲しかったら初めから言う」



 今のも、ファーストフードあるあるである。

 素直な性格の人は、へぇそんなのあるんだ。教えてくれてありがと~! ってなもんで注文しちゃったりするのかもしれないが、筆者のようにひねくれた人種はやはり「時間の無駄だし、余計なおせっかい」だと思ってしまうのはある。注文するのにメニューを熟読してしまうタイプだから、人様から選ばなかったものを勧められる筋合はないのである。



 先日、筆者のもとにあるコメントが寄せられた。

「今、安倍元首相銃撃事件のからみで、統一教会の問題が世間で騒がれています。元信者という立場のテラさんは、今回の騒動に何か言うことはありますか?」

 私は、この質問を無視した。あまりにも失礼で配慮がないからである。この質問ができてしまうのは人としてどうなのか、と思うレベルのひどさだ。

 よくマスコミが大きな事件の被害者の親や親類、学校の生徒といった関係者にマイクを向けて「今のお気持ちを一言!」とか迫ったりする。あれ見て、いい気分がしない人も多いんじゃないか。

 なぜ? 被害者家族や関係者の気持ちを配慮できていない、と思えてしまうからである。そっとしておいてあげたい、と思うのが人情である。警察の捜査のために、つらい記憶も掘り起こして伝えないといけないような場合はある。でもなぜ、マスメディアの利益や一般大衆のゴシップ好きを満足させるために傷口をえぐられにゃならんのだ? そんな義務はなかろう。



 筆者だって、今回の件で色々考えたよ。

 過去数日の記事を読んでいただければ分かるが、私なりに人から言われるまでもなくそういうことは記事にしてたよ。そんな手間もかけないアンタに、なぜ言われなきゃいけない?

 マスコミはまだマシだよ。それが仕事だし、メシの種だから頑張って被害者家族にいやなことも聞くのである。そこへいくと、今回このコメントを私にぶつけてきたアホウは、お金がもらえるわけでもなく仕方なくでもなく、聞いてきたのだ。義務や仕事でなく、無報酬で好きでこんなことを聞けるなんてスゲー!(皮肉です一応)

 皆さんも覚えがあるだろうが、学校の宿題をやろう! (お母さん、褒めてくれるかな?)と頑張っているところへ、知らずにお母さんが離れた場所から「宿題早くやってしまいなさいよ! あんたいつでも遅いんだからね」と言ってきたらどう思うだろう? 一気にやる気が失せないだろうか? チクショウなんだよ! って握っていたペンを床に投げつけたくなるような気持にもなる。



 よほどの人格障害でもなければ、過去の大きな過ちは悔いるものである。悔いてなお、機会があるなら世間に「償い」はしたいと思うものである。だからまず、筆者の記事を一週間ほどは遡って読むくらいはしてほしかった。それで関連記事が見つからないなら、まだましな質問だった。

 特にこの手のお話(元信者の告白)みたいなものは、周囲から「さぁ言え!」と言われてはいそうですかと言う性質のものじゃない。多分にデリケートなカテゴリーに属することなのである。聞く時には、かなり色々配慮してやっと聞くものだ。今回の私への質問の言葉には、そうしてひと手間もふた手間もかけた形跡がなかった。

 ハンバーガーショップじゃないが、「言いたいことはあなたから言われなくても言うわい!」元信者だからといって、何かコメントするかしないかも自由にさせてほしいし、言うならそのタイミングも自分の好きに決めさせてほしい。

 なぜ、興味本位か冷やかし程度のノリのアンタの言うことを聞かなきゃいけないんだ! 激おこプンプン。 

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