本当の友達とは砂金のようなものかもしれない
筆者は、賢者テラとしての活動の初期からアメーバブログをつかっている。
今はないが、その昔アメブロには「ペタ」というシステムがあった。ペタとは足跡という程度の意味で、あなたのブログを訪問しましたよ! という履歴を残すことである。足跡をぺたっと残す、という言葉からの連想でついた名前かと思う。
今現在はフェイスブックみたく「いいね!」を残すことに置き換わっている。
最初のころ、ある程度そのペタをつけてくれた人にペタを付け返していたと思う。一定の労力は必要になるが、そのペタを通じて友達になったり、交流が始まる場合もあるからだ。ブログを通して自分がある程度の知名度を得ることを目的としている方は、心からというよりその目的のために必死に「ペタ返し」なるものをしていたのではないか。もしかすると、自分の力を入れている情報発信に関連するジャンルのブログを見つけたら手当たり次第に「ペタをつける」ことをしているのではないか? 読みもしないくせに!
裏では、ブログのアクセス数を増やしたり検索で上位に表示されるためのアプリが有料で提供されているらしく、それは自分が勝手に吸い上げたブログすべてに機械が自動的に巡回し「ペタ(今ならいいね!になる)」を付けて回る、というのだ。放っておいてもクリックひとつで何千という他人のブログにいいねを付けられるのだ。
筆者の書くアメブロでの記事にも、いいね!をいただくことがある。
今はひっそりやっている感じなので、くれる方は昔ほど多くはない。でも、そのいいね!をくれた方を一人一人、興味をもって辿ってみると——
●本当に筆者のブログを読んだうえで、本当にいいねと思って付けたのか?
そこがどうしても疑問なものが少なくないのだ。
例えば、開運金運上昇とか引き寄せとかをくさした、批判した記事なのにそういう関連のスピリチュアル(占い)ブログからいいね!が付いているので理解に苦しむ。
一番ずっこけたのは、「奇跡のコース」というのはやらないほうがいいよ、と書いた記事にその奇跡のコースを推進するようなブログからいいね!がついたことだ。
もちろん、批判ではあるがあえて筆者の記事を読んで「勉強になりました! 賛同ばかりでなく、こういう切り口で言っていただけると私たちも気が引き締まりますわ。気付きにもなります」という気持ちでいいねしてくれた可能性はなくはない。なくはないが、そんなのそうしょっちゅう起きることではない。
●邪推すると、そういういいね!は私のブログの内容を読まずに押したものだろう。
集客・ブログアクセスアップ(人脈拡大)対策の一環であり、こちらを利用しようとするだけで、私のことなど何とも思っていない。
っていうか、裏アプリでたとえば「スピリチュアル」って単語で検索すれば、それをタイトルや本文に含むブログが検索される。その何千と検索されたブログに「巡回コマンド」を出せば、自動的に訪問履歴の出来上がり! いいね!をくれた人が筆者に接触したことすら知らない場合もあるはずだ。機械が自動的にやるんだからして。
そう考えると、ある程度私に付く「いいね!」は、昔の名残で読者数が多い私のブログを人気ブログと勘違いしていいね!を付けたものかもしれない。
芥川龍之介の短編小説に「杜子春」がある。主人公の少年は、貧乏だったがお金がたくさん埋まっている場所を仙人から教えてもらい、金持ちになることを三度繰り返す。すっからかんになったら波が引くようにさぁっと友達がいなくなることも三度繰り返す。
筆者は、この芥川という作者って相当さみしかった人なんだろうなぁ、と思う。
普通の感覚だと、金持ちの時にいちおう杜子春におごってもらったり、良くしてもらったりして恩恵にあずかった人が無数にいたわけでしょ? だったら、杜子春にカネがなくなったときに、例えば五百人のうちひとりかふたりくらいは「以前よくしてもらったから」ということで手を差し伸べる人がいるんではないか、と普通なら考えないか? そこをゼロとして小説が描ける芥川は、人間という生き物に関しては相当厳しい視点を持っていたのではないかと思う。
芥川のように「ゼロ」とはさすがに思わないが、人というものは精神ステージが幼いと「相手に、自分にとって付き合うメリットがなくなると躊躇なく関係を切れる」傾向にはある。もちろん、イヤイヤ付き合うことに意味はないし、あなたの精神ステージが変化すればそれに伴い「一緒にいたいと思う人種」も変化するから仕方のない部分はある。それでもやはり、目を背けずに見つめれば友人関係を問答無用でこちらから切るときは、その人物の心が「エゴ・自己防衛機制に支配されている」ことが発見できるものである。
●筆者は、本当の友達とは「砂金」のようなものだと思う。
今たまたま「ゴールデンカムイ」というマンガ原作のアニメを見ていて、これにも物語の重要要素として「金」が絡んでくる。砂金をザルでさらう作業をする場面も描かれる。たくさんの要らない土や泥、石の中からキラッと光る金だけを狙うのだ。それはそう簡単には探し出せない。
筆者のブログにつくいいね!を見たらどう見てもこれは人脈づくりの一環だろう、と悲しくなるものが多い中で、まれにキラッと光るものもある。
あ、これ以前私にコメントくれた人のブログだ! これは以前お会いしたことのある人のブログだ! お元気だろうか、などとうれしくなるものもある。
筆者の周囲はひっそりとしたものだが、時として風の便りに昔懇意にしていた方の元気なことを耳にしたり、全盛期ではない私の今のブログに昔の読者が立ち寄ってくれたりなど、そういう数少ない「砂金」のような友達が、私の無聊を慰めてくれる。
ああ、なんとありがたいことか。
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