目の前にぶら下がっているのに
五日前くらいの記事がアニメ「プリキュアシリーズ」についてのネタだったが、それついでにもうひとつお話を。
もともとプリキュアシリーズ自体に関心がなく(筆者が好むのは一世代前の古めのアニメ)、娘が生まれ子ども向けアニメの意味が理解できるようになった頃から付き合いで見だしたのだが、ちょっとだけ面白いと思うようになった。でも、やっぱり自分が見たいわけでなく時間が合えば、という感じで優先順位が低かった。
子どもと一緒に見れるときだけ見ていると、シリーズ中どのプリキュアも「歯抜け」になる。所々見なくても大枠で話はつながり、全体ストーリーの理解に支障はなかった。
だが数ある作品の中で『スイートプリキュア』は、筆者が唯一全話まともに見たプリキュアである。見逃した週の話は(さらに録画も忘れるとか)レンタルでDVD借りてでも見た。なぜ、私はこんなにこの作品にこだわるのか、考えてみた。
ひとつに、個人的に「キャラ造詣がもっとも私の好みにどストライクだった」ということがある。今までたくさんの後継作品が積み重なっても、いまだに「一番好きなプリキュア」の地位は揺らいでいない。
中期以降のプリキュアは基本戦隊ものみたいな感じで、最初の5話くらいで全員が揃ってしまう。序盤一気にではなく徐々に仲間が増えていくものとして「ハートキャッチプリキュア」「ハピネスチャージプリキュア」 がある。しかし、メンバーが増えていくワクワク感としては、こちらが個人的に上。スイートプリキュアはこのパターンに当たり、序盤は二人であとの二人が後々そろい最終的に四人になる。
それ以降のプリキュアは、最初4人はすぐそろい、最後の1人が「お楽しみ」な感じで終盤登場するケースが多い。ドキドキプリキュアのキュアエース、プリンセスプリキュアのキュアスカーレットなど。まぁ、ウンチクはこの程度でいいか……
もうひとつの理由として、子ども番組なので多少ヌルいのは仕方がないとして、謎解きサスペンス要素があった。プリキュアたちがピンチの時に助けに現れる謎の仮面の人物がいて、その正体が終盤で明かされる。
筆者は、本当に誰だか読めてなかった。これに関しては奥さんのほうが上手で「これって登場人物の~じゃない?」と気付いていた。私はそれを聞いてすら「ホンマかいな?」と思っていた。したらば、本当にそうだった。(笑)
私が、この作品に関してものすごく愛着がある最大の理由はこれ。
スイートプリキュアは、次のことを私に実感させてくれたからだ。
●新たな情報を得ることで、それまでの見方がガラッと変わる。
そしてそのヒントは、自分が気付かないだけで常に目の前にぶら下がっている。
望みさえすれば、それを見ることができる。ただあきらめたり、これでいいやと思えば、それは存在はするがカメレオンのように景色になじんで、もう見えなくなる。
私はずっと誤解してまして。
スイートプリキュアのスイートは甘い「Sweet」だと思っていた。
主人公の一人、キュアリズムの実家がケーキ屋さんで、本人も製菓のプロ。全編にわたり美味しそうなスイーツが出てくるので、てっきり。
しかし、これはスイートプリキュアを全話見たさらに後で知ったことなんだが——
●スイートプリキュアのスイートは「Suite」。
つまりは『組曲』という意味。組曲プリキュア、ということである。
ああ、気付くべきだった!
変身する時に、「届け、●人の組曲!」 という決め台詞を言うのである。私は一応は外大出なので、Suite という単語を知ってはいた。ホテルのスイートルームのスイートもこれで、決して甘い部屋、ではない。
ヒントは、毎回見るたびに目の前にぶら下がっていたわけだ。
しかも、全編を通してお菓子よりも「音楽」がコンセプトの中心だったことも見落としていた。キュアメロディーは音楽家志望だった。製作者がテーマは「友情と音楽」だと語っていたことから、タイトルのスイートは単に「甘い」ではなく、(最終的に4人の友情の)組曲だと考えることもできたはず。
なのに、自分の頭の中でスイートと組曲というのが繋がらなかった。
あとあと、ウィキペディアで調べてみて分かり、愕然とした。
だから、この作品は——
人様に本書のような情報を発信をする私自身も、自分の問題として考えないとなぁ、と思わせてくれたものなので、他よりもやたら印象深いのだ。
この世界で生きることの面白さでもあり時として痛みともなるのは、「時間とともに、人生の展開とともに世界観というものはどんどんと変化を見せる」という事実である。
たとえ、「私は悟った!宇宙が分かった!」という瞬間を迎えてさえも、である。
もしかしたら、「そんな後で変わるようなおのは、悟りではないんじゃないですか?」と言う者もいるかもしれない。私も活動初期ならそう言ったかもしれない。
でも、今だから言う。変化するよ。
変わらない、と言い張る人がいたら、ウソをついているか、もしくは気付かないように無意識下に押し込めているかだ。
それだと、顕在意識上は罪悪感なくホンネで「悟りは絶対に変化しない」と言えてしまうと思う。
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