現状を認めることは自己否定ではない
前回の記事『成功哲学のキライな点』で紹介した某成功者であるが、その人物の他の文章を色々読めば、その中には筆者も「なるほど」と納得できる記事もあった。
今回は、昨日の批判の埋め合わせ(?)で、共感した内容を紹介しよう。
この人物は、『貧乏なあなたが貧乏から脱出できない8つの原因』という記事を書いている。筆者は、この8つのうちの特に一つ目が気に入った。(今日はそこしか紹介しないが……)
●あなたは自分が貧乏だと認めていない
この成功者は言うには、すべての過ちの原因は無自覚からやってくるらしい。
悪事を働く者は、悪いことをしている自覚が無いから悪いことをする。(これに関して筆者は全面的には賛成できないが、まぁ一理はあるので今日はこれ以上突っ込まないでおく)
浮気をする人は、それが悪いことであるという自覚が無いから浮気する。貧乏な人は自分が貧乏であるという自覚が無いから貧乏になる。
もしあなたが、いつも空っぽのお財布を見て悲しい気分になってるなら、やっぱりあなたは貧乏なのだ。
成長への第一歩目は現状を認めること。素直に認めよう。あなたは貧乏だ。それを自覚した時、あなたのマイレボリューションは始まる。
……というのが、彼の論理だ。
この「現状認識」って、大事だと思う。
この世の流儀では、当たり前。試験でも、問題文をちゃんと全部理解してこそ、正しい答えを書き込めるというもの。問題文から目を逸らしたり、認識しようとしないで解いてみたらいい。まず無理だから。
でも、ここにスピリチュアルでよく言われていることとの間に、ズレが生じる。
●思考(意識)は現実化する
自分が「そうだ」と思っていること、強く信じ込んでいることが、良くも悪くも「現実化する」という考え方だ。意識にあることが、現実に投影され、反映されるという。そういう発想でいくと、どうなる?
●自分が貧乏だと思っている = 自分が貧乏であるという現実を生む
貧乏だ、と認めているから。認識しているから、そういう現実を目の当たりにするのだ。これは、さっき紹介した成功者の教えとは、真っ向から対立する。
さて、「自分は貧乏だ」と認めることが解決の第一歩なのか? それとも、「自分は金持ちだ。豊かだ」という意識でいるために、自分は貧乏だと認めず、すでにお金持ちになっているイメージを持ち続けるのか?
そうして現実をできるだけ見ないで、意識通りの豊かさを引き寄せるその日まで生きるのか?
筆者の結論から言うと、『貧乏だと認める方がいい』。
ただ、ここでひとつ補足説明が必要だ。
●貧乏だと認めるというのは、今現在自分が「そのような状態である」ことを確認するだけに過ぎない。
やってはいけないのは、『貧乏な自分=ダメな自分』という、価値付けである。
多くの人はこれをやるので、「貧乏と認めるとそういう現実を生む」と恐れる。だが現状を認識するだけなら、何らそれが悪いことを招くことはない。
お金が少ない状態だと把握するだけで、そこにおける自己イメージまで損なわれないからだ。
貧乏なこと=良くないこと、そういう状態になる自分は価値がない人間。
ここを壊せばいい。
皆、一生懸命その人なりに生きている。その結果が、あなたの今である。
比較やこの世的価値判断に照らせば、確かにあなたは人と比べての優劣や良い悪いの判断ができる。しかし、それとあなたの命本来の価値には、何の関係もない。
貧乏=あなたの今の一面の状態、であってもあなたはいつだってそのままのあなた。ただあなたの外面的状況に過ぎないことで、あなたの真の価値の判定にまで口出しさせるのが、間違いのもと。
思考は現実化するという考えを根拠に、貧乏と認めることを恐れなくていい。
今日紹介した成功者が言う通り、「貧乏なら貧乏だと潔く認めてしまいなさい」。
でも、あなたがその現実を、自己肯定感に忍び込ませない賢さを持てるならば、いくら「私は貧乏」と連呼しても、それは何の悪さもあなたに働かない。
(言霊、などという怪しいものは恐れさえ持たなければ働かない)
だって、あなたが経済状態に関係のない自分の価値をちゃんと認めていたら、貧乏と言っても「口先だけ」になる効果を得ているのと同じなのだ。そこからゆっくり、じゃあどうやったら豊かになるのかを、ある程度は心の導きに従って、時には自分でもちゃんと考えながら、人生を進めていけばいい。
【おさらい】
思考が現実化する=貧乏と認めてしまってはその通りになる
皆これを皆恐れているが、これは間違い。
貧乏だと認識するだけでは、その思考は何の悪さもしない。真の黒幕は、認識したその後で生じる「それがいい事か悪いことか」という評価である。
その評価(価値判断)によって、自分はダメだ、情けないなどの感情が生じる。そしてそれは、自分に価値がないのではないかという「恐れ」となる。それこそが、悪さをする。
従って、貧乏だと分析する・そう考えるところでストップするなら大丈夫。
そこからの、あなたの「豊かさへの旅路」が、良きものとなりますように。
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