ヤングマン(Y.M.C.A.)

 西城秀樹の代表曲に、『ヤングマン』という曲があった。

 正確には「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」(ヤングマン ワイ・エム・シー・エー) となる。

 これは秀樹のオリジナルではなく、当時のアメリカで流行っていたヴィレッジ・ピープルというグループの曲「Y.M.C.A.」をアレンジしたものになる。

 あちらでのY.M.C.A.は何の略かというと——



●Young Men's Christian Association (キリスト教青年会)



 つまりは、そういう団体の運営する宿泊施設(ドミトリー)のことであるが、当時のアメリカではゲイの巣窟のようなものであり、Y.M.C.A.とはゲイを指す俗語(スラング)である、

 ヴィレッジ・ピープルの曲も、そこを分かって歌にしているので「ゲイソングと分かるようなキーワードが沢山散りばめられている」曲となっている。

 当初、西城がこの歌をカヴァーしたいと発表すると、先の理由から周囲からは猛反対を受けたらしい。でも、最終的に曲は大ヒットして「終わりよければすべてよし」「結果オーライ」みたいな感じになった。

 ちなみに、西城秀樹バージョンでは、Y.M.C.A.の意味が違っている。

 こちらでは何の略になっているかと言うと——



●Young Man Can do Anything (若者は何だってできる)



 上記の文章で、大文字の部分を集めるとY.M.C.A.となる。

 さて。英語の発音上の話になるが、「ヤ・ン・グ・マ・ン」と和製発音で、一音一音滑舌をハッキリさせてしまうと、歌としては下手に聞こえる。英語っぽくかっこよく歌うためには、ヤングの「グ」はほとんど発音せず、「ヤンメン」と聞こえるような発音になる。

 似たような例を挙げると、卓球を意味する『ping-pong』。まさか、これを「ピング・ポング」と発音する人はいないだろうね? やっぱり「ピンポン」でしょ?

 まぁ、たしかに表記には「~ing」とはあるけど、実際の発音上はほぼ無視される。オナラの残り香みたいに、申し訳程度に「グ」の口の形を一瞬残す程度で、ほとんど聞き取れない。

 間違っても、「~いんぐ」とは発音しないだろう。恥ずかしすぎる。「まいっちんぐマチコ先生」だったら例外的に『まいっちんぐ~』と言っていいが!



 非二元の教えは、確かに本当ではある。

 でもそれは、ヤングマンの「G」みたいなもんなのだよ。

 確かにそのとおりだけど(表記にはあるけど)、実生活上は使わない(発音しない)。必要ない。

 あっても、言、わ、な、い。幻想世界を満喫しきるには、ノセられる(分離だとだまされてあげる)ほうがいいから。

 まぁ、恵まれた人は時として人生ヒマだし、余計なことも考えたくなるのも分かる。非二元の話で盛り上がるのも、まぁ仕方がない。それはそれでよかろう。

 ただ、実感のない人間には「ヒマつぶし」にしか(いや、ヒマつぶしにすら)ならないということは、分かっておいた方がいい。

 それが何か(益なもの)になるなんて、面白すぎる。(筆者の立場からは)

 長い人生の退屈しのぎとして聞くにはいいものだが、そこから本気で何かを得ようとか、オススメできない。分かっちゃう人は、人智を超えた理由とタイミングで分かっちゃうので、そういうのは放っておいていい。



 この世界には、分離を味わいに確信犯的に遊びに来ている。

 だから、非二元の話は本当でも、発音しない(あえて言わない)でさ。

 ヤボなこと言わないで、人間関係ゲームをどっぷり楽しもう。



●Y (ヤボな非二元の話に)

 M (待ったをかけて)

 C (こんな世の中でも)

 A (遊んでやろうじゃないか)



 ……これが、筆者流のY.M.C.A.の意味である。

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