エナジー・バンパイア
スピリチュアル界では前から話題になっていたのだろうが、疎い(というか基本スピ関係の本もブログも見ない)筆者は、実はつい最近まで記事タイトルにあるこの言葉を知らなかった。
これから、その内容に関して一番読まれているであろうスピリチュアルブログの記事の文句も言うことにする。どことは名指ししないし、ここでは文章もそのままの引用はせず筆者なりの要約で言い換えて扱う。
さて、エナジ-・バンパイアの定義だが。
●当人が意識するしないに関わらず、他者からエネルギーを吸い取り盗んでいく人の事を指す。
某スピリチュアルブログ内で指導者(発信者)は次のように言う。
「エナジーバンパイアとは、他者から生命力や精気、霊的活力、運気などのエネルギーを吸い取り、自分のエネルギーレベルを向上させているエネルギー泥棒です。非常に迷惑な存在です」 。何だか、えらい言われようである。
指導者さん、多分アンタもだよ!
この指導者は、エナジーヴァンパイアになるのはこういう人! みたいに「特徴」を事細かくあげつらい、その撃退法まで細かく説明している。
その話には一理あるが、普遍的なスピリチュアル的指針(教訓)にするほどの価値はない、と筆者は考える。それどころか、読者に大きな誤解を与えかねない話だとさえ思った。
●この世界に、エナジー・バンパイアなどいない。
どうしても「いる」と言い張るのなら、ひとつ条件がある。
『すべての人間が、当てはまる』
この事実を認めること。
私は違う。あの人はそう——。
この話の恐ろしいところは、上記の思考パターンである。
魔女狩り裁判じゃないが、エナジー・バンパイアとそうでない人が、明確に分類できるという前提が大間違いである。恐らくだが、この記事を書いている指導者や、スピリチュアルを熱心にやっているような人なら「私は違います。みなさんお気をつけあそばせ!」と思っているだろう。
自分はそんな低級な人間ではない、と自負しているだろう。でも安心したまえ。すべての人が、エバジー・バンパイアだから!
ただ、筆者の言う「エナジー・バンパイア」の定義を説明する必要があるな。
●すべての人は、ある特定の誰かにとってだけ、限定的にエナジー・バンパイアになる。
言い換えると、あなたはある誰かにとってエナジー・バンパイアになるが、他の人間にとってはならないことがある、ということ。
ある人が全世界の人にとって、普遍的にエナジー・バンパイアになるのではない。
恐らく、あなたはあなたにとって「付き合ってめっちゃ疲れる」ちょっとウザい誰かさんを、エナジー・バンパイアだと決めるだろう。
でも、その人には本当に親しそうな友達が一人もいないか? 仮にその人物が成人男性だったとして、彼には奥さんがいたり、子どもがいたりするかもしれない。
奥さんは、その人と一生一緒にいたいと思ったから結婚したはずだ。子どもも「パパ大好き」かもしれない。
あなたに嫌われるくらいだから友達は少ないかもしれないが、でもその人物にも1人や2人はつるんでしゃべるような友人もいたりする。その人たちにとって彼はエナジー・バンパイアなどではなく、「気の合う友人」であることがあるのだ。
いや、逆にその人と好んで一緒にいたい、付き合いたいと思う人もいて、彼らはエナジーを奪われたと感じるどころか、与えられているとすら感じるかもしれない。
このように、ある人物があなたにとってエナジー・バンパイアでも、他人にとってはそうではないこともあることを認めなければならない。
その理屈で行くと、あなたの聞きたくないことを言う必要が出てくる。
あなたは自分が上等な人間だとどこかで思っていて、自分はそんなのではないと自信を持っているかもしれない。あなたから見て明らかにエナジー・バンパイアな人を見て、「ああ、あんな人間でなくてよかった」「あんなのにエネルギー吸われないように、気を付けないと」なんて思っているかもしれない。
あなたが気付かないだけで、間違いなくあなたは世界の誰かにとってエナジー・バンパイアである。これを書いている筆者も、誰かにとってはそうである。
エナジー・バンパイアは、誰にとってもウザく見える人じゃなくてもなり得る!
そのことを、あるスピリチュアル関係者が見事に表現されていた。
以下のような話である。
●結婚したくても良縁がなく悩んでいる人がいて。
その真横で、幸せいっぱいのオーラを輝かせる新婚カップルが仲良くしていたとする。良縁がない人にとっては、その新婚カップルは、立派なエネルギーバンパイヤになるかもしれない。
これは、見事なたとえである。
特定の個人が「あの人エナジー・バンパイアよね~」というレベルの幼稚な話ではなく、「誰もが状況によってそうなる可能性」を示唆したことは、私も感嘆した。
その人が立派だとか、人格が優れているとか、いい人だとかいうことは関係ないのだ。何も悪くないのに、特定の事情のある人にはエナジー・バンパイア扱いされてしまうことがあり、世間では『逆恨み』というのがそれに当たる。
売れない芸能人が売れている芸能人を勝手に嫌悪したり。小公女セーラのラビニアなどもこの例に当たる。
●エネルギーバンパイアとは、他人が勝手にあなたをそう決めつけるだけである。
あなたが何も悪くなくても、向こうの事情で勝手にその役割を押しつけてくる。
これに関して、自衛はほぼ無理。
どんなに気を付けようが、仕方がない。
ひどい時は、あなたが幸せってだけで、人生うまくいってるというだけで勝手に嫌ってくる。
ホント、そんなの一体どうしろって言うのよ! な話。でもこの世界ではどうしようもないんだな……
だから、立派なスピリチュアル指導者が素敵なことを言っても、腹の虫の居所の悪い人が聞けばまた歪んで取るかもしれないし、何だか自分のことを悪く言われたような気になって、勝手に落ち込む人もいるだろう。
だから、ただ有名人というだけで、本人がどうかに関わらず数百名、いや知名度によっては数万人の人がその有名人を陰で「エナジー・バンパイア」にしているかもしれない。
あなたがどんなに気を付けて立派に振る舞っても、世界のどこかの誰かは「あなたの言動がいちいち癇に障る」人がいると見てまず間違いない。
だって、皆内的世界が違うから。色んな見方があるから。
あなたが進んでイヤなやつになるなら別だが、普通にしていても嫌われる分は「不可抗力」と思うといい。
さっき意見が見事だと紹介した方は、こうも書かれていた。
●「在るがまま」 に振る舞っていると、エネルギーを奪われたと感じた人が出てくると思う。
よく言えば、素直に感情表現をする人。飾らない人。
悪く言えば、自分が素直に振る舞えるのが気分良すぎて、配慮できない人。KY。
もちろん、先ほどのアツアツ新婚カップルの例で言えば、二人はたまたま近くにいた人が結婚できない悩みを抱えた人だなんて知らないだろうし、見せつけて自慢してやろうなんて思ってもいないはずだ。
ただ、特殊な事情を抱えた人にしたら、そう捉えられても仕方がない。
そこの視点を見逃していると、あの人はエナジー・バンパイアかどうか、自分は該当するかそんな人種ではないかという、実に一面的な話になってしまう。
スピリチュアルの世界でも、あるアニメ映画のせいで「ありのまま」という言葉が浅い意味で流行ってしまった。そのおかげで、人間関係上の力学から来る「配慮」を、何か不自由な枷と勘違いし、開放する人が出てきた。有名人にでもなればそれでも美点と勘違いしてもらえるが、一般の方がやると高確率で空回りする。
多分いるでしょう、こんな人。スピリチュアルで「こう生きましょう」みたいな教えがあって、その通りにやってみた結果、余計に浮いたとか、問題がこじれたとか。
スピリチュアルの教えには、むっちゃ効果に個人差があります。向く向かないがあります。ドモホルンリンクルではないが、『効果には個人差があります。もしお肌に異常を感じたら、ご使用をおやめください』。
●やっぱり必要だよね。
「抑えた演技」。
KY(空気読めない)という言葉が一時期流行り、一部スピリチュアルや自己啓発が「空気読まなくていい」と反撃した。でもやっぱり落ち着くところは——
ケースバイケース。これなんだ。
空気を無理に読むことがマイナスに働く場面もあれば、ちょっとは空気読んだ方がいい、という場面もあって、実に色々。読むべき読まぬべき、という単純な白黒で言っていいものではない。いつ何時でも通用するスピリチュアル法則などない。
ありのまま、素直な自分がいいと言っても限度があるし、他人への適度な配慮というものがある。配慮が行き過ぎると忖度となるが、そこさえ気を付ければ配慮は本来良いものなのだ。
他人からエナジー・バンパイアにされることを防ぐ完全予防策は存在しないが、最大限できる努力があるとすれば、気持ちの出し方、発言にできるだけ配慮することだ。特に、大勢の人がいる場所や機会。(部屋にあなた一人ならどうぞご自由に)
最近は自分を好きになれとか肯定しろとか、「自分スゲー」というスピリチュルが主流になってきたが、実践者は一歩間違うと反感を買ったり、誰かにとってのエナジー・バンパイアにめでたく認定される、という場合があるからご注意。
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