探求しがいのある世界
映画『アナと雪の女王』 の中の一場面。
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クリストフ: 『じゃあ、初めて会った男と、その日の内に結婚を決めた、ってのか?』
アナ: 『そうよ』
クリストフ: 『本当にその男のことを知っているのか?名前は?好きな食べ物は?』
(中略。アナ、得意げに全部の質問に答える)
クリストフ: 『もしかしたら、鼻くそをほじるやつかもしれないぞ?』
アナ: 『……まさか』
クリストフ: 『でもって、それを食べたりとか』
アナ: 『……あり得ないわ』
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正確な引用ではない。でも、内容はだいたいこの通りのはず。
アナは、ハンス王子(最初好印象で結婚してもいいと思うほどだが、あとで性悪な本性が出る)をものすごく好意的なレンズを通して見ていた。
まぁ彼女の場合はお城に隔離され余計な虫が付く隙もなかったので、男性全般のイメージ自体が限定的だったかもしれないが。
鼻くそをほじる、というのは殿方を白馬の王子のように慕う乙女には酷な想像だ。
(何の皮肉かハンスは実際に王子だが)
ましてやそれを食べるなど、ホラー映画級の恐ろしさと衝撃であろう。
でも、現実はどうだったか。
こともあろうに、ハンスはアナを愛してなどいなかった。
末っ子の彼が王になりたければ、他国の姫の婿になるしかなかった。だから打算をもってアナに近づいた。純真すぎ愛に飢えていたアナを騙すのは、そう難しくはなかった。
アナはオレオレ詐欺に引っかかったようなものである。
現実は、あまりに残酷だった。 まだハンスが鼻くそをほじったり食べたり、という事実の方がマシだった。そのレベルだったら「愛」で何とかなる。(ホンマカイナ?)
でも、現実はアナが「そんなのあり得ない」と思うそのこと(鼻クソを食べる)以上にひどかった。
で、ある日の筆者自身のこと。
奥さんに指摘された。
「あ、今鼻くそほってたでしょう!」
「……え?」
「でさ、今それ食べたりしてなかった?」
「ううっ、そんなことした!?」
でも、安心したまえ。
筆者は鼻をほるかもしれないし、もしかしたらそれを食べたかもしれないが、ハンスのように愛してなかったなんて残酷なオチはないから。愛があるから!
鼻をほるくらいなら、男としてかわいいレベルではないか。 ←完全に言い訳
この、アナ雪の例からも分かるように——
●現実は自分が思っているより、もっとひどい場合がある。
現実は自分が思っているより、もっと素敵な場合がある。
この世界は、変化のバリエーションを味わう世界。
あらゆる可能性のかけらが、いたるところにちりばめられている。
この世は、ばかでかいスクラッチカードにも似ている。
あるいは、伏せられた大量のパネルのようなもの。裏にはある絵柄が隠されていて、数枚ひっくり返したくらいでは絵の全体像は分からず、ある程度ひっくり返さないと絵を当てられない。
スクラッチをどこまで削って明らかにするか。もう、これ以上削るのはよそうとどこかで思うか。それは、あなた次第である。
絵の全体を知ろうとし、そのことを目標として生きるもよし。そんなことは自然に分かったらでいい、として今目の前のことを取り組む、味わうというのも手だ。
どこまでの理解にするかは、あなたに任されている。
ある事実を深く知らなくても、生きてはいける。
でもその場合は、あなたが知り得たそのレベルが、あなたの「真実」となる。
夫が浮気をうまく隠し通したなら、その妻は生涯夫のことを「自分だけを最後まで愛してくれた良き夫」という認識でいることになる。妻の中ではそれこそが真実で、墓場まで持っていく。
探求すれば、さらに奥に色んなことが隠されていることがある。しかし、一歩探求の仕方を間違えば、思い込みや先入観によって「隠されていたことを見つけたつもりで、実は誤解に過ぎなかった」ということにもなりかねない。
探求とは、実にリスキーなことである。でも、だからこそやりがいがある。うまくすれば楽しいし、生きている、って感じがする。
この世界でリスクの伴わないことなど、大した価値はない。
この世界は、陰陽の変化の世界。
あらゆることが正解となり得る。あらゆることが間違いともなり得る。
してみれば、人間キャラはものすごい大冒険に乗り出したものだ。
あなたが楽観するよりも、現実はもっと残酷か。
あなたが悲観するよりも、現実はそんなに悪くはないか。
どちらにしても、胸躍る冒険であることには間違いない。
だから、その冒険であなたがくじけないように。
疲れたり、立ち止まったりした時のために。
スピリチュアル・メッセージというものはあるのである。
それは、「発信者がきちんとできている」ことを証明するものではない。こちらも、あなたや他とそう変わらない。ただ、仲介役(シャーマン)をしているだけ。
だって、鼻くそをほるんだからね!
(食べたかどうかまでは……どうだろう?)
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