ニューラライザー
『MIB(メン・イン・ブラック)』という映画をご覧になったことはあるだろうか。
この映画の世界では、宇宙人がいて、かなりの数が地球に来ているのは当たり前。地球上には1500ものエイリアンが人間に姿を変えて生活している。
そのエイリアン達が犯罪や侵略行為に出ないよう監視し彼らの存在を世間から隠すこと。それを目的とする極秘組織が、MIBだ。
宇宙人が問題を起こし、その姿を地球の一般市民に見られたらMIBが出動し、騒ぎを鎮静化した後目撃者を集めて、ニューラライザー(記憶消滅装置)を使う。
「ハイ。皆さんこっち見て~」
ボールペン状の機械の先端から光がフラッシュされると、民間人たちは皆宇宙人を見た記憶を失う。これで、世間が宇宙人のことを騒ぐのを防ぐのだ。
スピリチュアルで、「新時代はスゲーんだぜ」という論調のメッセージがある。アセンションという言葉の流行とともに、今の時代がスピリチュアル的にどれだけ恩恵のある時代か、が語られる。
かつて私もリップサービスで、そのような話をしている。まるっきりウソでもないし皆喜ぶし、「まぁいっか」的なノリで話した。
でも実は、時代の流れは「逆流」である。
ちょっと、切り口を変えて発想してみよう。
そもそも、神意識というものがこの世界を作った。どんな気持ちでとか、その動機に関して二元性世界の住人風情には本当のところは分からない。
TV画面の中のマリオが、プレイヤーは今どんな気持ちでプレイしているのか? を逆立ちしても分からないのと同じである。ゆえにそれが「分かる」と言う人には、関わらないことをオススメする。
気持ちは分からなくとも、ともかくこの世界が「存在する」と感じられる以上、必要だからあるのだ。宇宙には、必要でないもの、あっちゃいけないものは存在できないのだから。
宇宙を創造した神意識にはこちらと違い「はじめと終わり」という概念がない。有限という概念がない。では、そのような存在がこの世界を作ったということは、何を意味するか?
●この世界を(ゲームを)終わらせる気はない。
幻想上ははじめと終わりがあるが、それを作り出した張本人は、はじめも終わりもない永遠の存在なので、この「有限ゲーム」を「永遠に」続けるつもりである。
日本語的に、ちょっと表現が難しいね。
例えていうと、スーパーマリオのワンプレイはものの数十分だろう。それを、永遠に繰り返し続けるということである。
有限を、無限に繰り返す。
無限で永遠な存在が何かを作ったら、それが「永遠」「無限」という属性を持たないわけがない。ゆえに、我々が「この世界は有限」だと思っているのは、ちょいと視点をズラされている。本当に着目するべきは「その有限が無限に繰り返される」というところ。
もちろん、向こうはワンプレイがどんな結果になってもゲームをやめない気なので、プレイ内容自体は大して気にしない。というか結局、何度(というか無限に)ゲームをしてでもすべてのプレイパターンを試す気なので、本当に気にしていないのはその内容より「順番」のみである。
でも、ワンプレイをできるだけ引き延ばせたら、余計に楽しめる。ゲームは、できるだけ長く楽しみたいではないか。すぐ終わってはもったいない。
たとえ「クリア」でも、簡単にクリアしちゃったら味気ない。
見えないある力は、我々のエゴから見たらこの世界を「応援していない」。
それはこの世界が宗教的・スピリチュアル的に 「完全」になるのを歓迎しない。だから、精神文明がある程度開けてきたら世界をわざと「曇らせて」、ゲームが長続きするように仕向ける。
二千年前、イエス・キリストという覚者が現れた。彼は、今悟り系スピリチュアルの話で我々が言っているようなことは、すでに言っていた。
だが自分も神、皆も神など当時のカタい頭の人々には刺激が強すぎた。イエスは反発をくらい、処刑された。そこには、彼の死だけでなくさらにとどめがさされた。
イエスの教えはゆがめられ、イエスだけが唯一の神の子で救世主であり、彼を信じることで罪深き人(イエス以外のすべて)が救われるという、イエス本来の教えとはかけ離れた「キリスト教」という別物が誕生した。しかもである。この宗教は世界中から受け入れられ、地球上で支配的にすらなった。
何でも正しいから、真実だから広まるものなのでない、という一例である。
キリスト以前には、ブッダ(釈迦)がやはり覚醒の道を説いた。でも、彼の死後仏教は色々な考えの弟子によって独り歩きし、無数に分派した。
仏教には「末法思想」というものがある。文字通り法のすえ、という意味で、釈迦が死んでかなりの時が経てば、その教えは軽んじられ効力を失う時期が来る、という考えである。
皆さん、ちょっと不思議じゃないですか?
●真実がひとたび覚者の口から語れ、世に出たなら、少しずつ世界が良くなることはあっても、なぜ退化することがあるの?
それは、MIBのニューラライザー(記憶消滅装置)のようなものが使われるからである。
イエスやブッダの登場した時期など、地球歴史ゲームで言えばまだ序盤だ。ちょっとクリアに向かって収束するには早いぞい! ここは、ちょっと皆さんにはお忘れいただいて……
だから、イエスやブッダの言葉は、後世の人間よって誤解されて伝わったり薄められたりした。その後来たのが、世界的には「中世暗黒時代」である。キリスト教(政治権力としての)の支配が絶対で、その範囲から全体として突き出られなかった。
これで、ちょっと人類歴史ゲームの進捗状況が「遅め」になった。
しかし、である。
どんなにゲームを長引かせたくとも、やはり一定の落としどころはいる。
ニューラライザーを使いまくったが、それでも色々と隠し切れなくなってきた。それが、今の時代である。
例えていうと、MIBが宇宙人を目撃した人を片っ端からニューラライザーで黙らせて「宇宙人がいないという常識の世界」を守ってきたが、あまりにもその目撃者の数が増えすぎてMIBでは対処しきれなくなり、ついに「宇宙人はいる!」というのが世間にバレる、というのと似ている。
つまり、ゲームを長引かせようとする力に、人間全体が覚醒に近くなるエネルギーが勝ってきたのだ。 川の流れに逆らって泳いでも流されるだけだが、強力なエンジンを積んだボートなら、流れに逆らってなお進むことができる。今の人類は、ゲームを長引かせようとする力を凌駕して時代を進んでいるのだ。
だから、一般的なスピリチュアルが今はすごい時代だ、いい時代と言うのは結果としてその通りなのだが、正確には——
●追い風なのではない。
逆風をものともしない推進力を我々が得ただけのこと。
それを、時代が後押ししていると錯覚して見えた。
だから「ありがたい時代だ」という感想よりも、「オレらスゲー!ついにこのゲーム、こちら主導で動かしてるよ!」と、そんなふうにゲームキャラとしてとしての自分たちを褒めてやってほしい。
今、時代が素敵になっているのだとすれば、それはゲームキャラ側の勝利。でも、どんでん返しのオチの映画のような、ドキッとする一言を言ってみようか?
●キリストやブッダがリアルタイムで言ったことが、ニューラライザーで後世の人間にボカされたように、今の時代のスピリチュアルの気付きも、ニューラライズされたりしてさ。これまでと似たり寄ったりの人類歴史が、またかなり長く続くかもよ?
だからさ、力んで世界を良くしよう、変えようと思うよりもさ。今の条件、枠組みの中で今幸せになることをまず考える方がいいと思うよ。
もちろん、これは筆者のマイワールドの意見。何でも選んでいい。
全ては、あなた次第。そのすべての選択は、最終的に正解になる。
今後、ニューラライザーで元に戻されるのか、我らが押し切るのかは——
フタを開けてのお楽しみ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます