Q&Aのコーナー第六十二回「ハートを開く、ってどうやるの?」
Q.
ハートを開くことが大事、という話をよく聞くのですが。
コツなど、あるでしょうか。具体的に、どうすればいいでしょうか?
A.
ハートが開くとか閉じるとか、そんな現象はありません。
ないので、開きようがありません。また、閉じることもできません。
あえて言えば、ハートは開きっぱなしです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
身も蓋もない答えで、済まないと思っている!(思ってない)
確かに、色んなスピリチュアル本を読んでいると『ハートを開く』という表現がよく出てくる。筆者流にはそんな現象あり得ないのだが、ありもしないことを好き勝手言えてしまうのは、スピリチュアルならではである。
また、普通の感覚で考えても「ハートを開く」ってイメージしやすいので、いかにもありそうに思えるから余計罪深い。
(ハートを開こう、って発信している人は多分大真面目なのだろうから、寛大な心でゆるそう)
じゃあ聞きますけど、ハートを開くってどうやってやるの? どうやったら閉じるの? 具体的に、皆がきちんと分かるように説明してみ?
船が河を通る時に跳ね上がる橋のように、ゲートのように、心って開閉できるんかい?
本当に、スピリチュアルっていい加減である。「はい、足上げて」 というふうに明快な指示じゃなく「ハートを開きましょう」なんて雲をつかむような指示、受け取り手が困るでしょうよ。どうしても言いたいなら、「寛大な心でそのことに向き合いましょう」って言えばいいものを。
心が開いたり閉じたりする、という宇宙の真実を、あなたは心眼か何かで垣間見たん? 多分、見てないよね。
大体の感覚と、売れている無難なスピリチュアルの受け売りで言っていると思う。
もちろん、私は代案もないのに文句だけを言うほど、礼儀知らずではない。
ちゃんと、このことに対する私なりの見解がある。
●ハートは、ずっと開きっぱなし。
絶えず、そこに何かしらの感情が流れ続けている。
当然、陰陽で言えば陰の気も流れるし、陽の気も流れる。
その陽のケースを「ハートが開いている」と理解し
陰のケースを「ハートが閉じている」と認識したのが世間である。
つまり、自分たちに分かりやすいように「誤解した」のだ。
例えば、ひきこもっている人、こちらが何を言ってもこわばった表情で顔を伏せ、人の話を聞こうとしない人がいる時、その人は「心を閉ざしている」のだと表現することがある。
百歩譲って心を閉ざすということがあるとしたら、石のように一切の反応ができなくなるはずだ。無口になったり(でも表情の変化はある)、お前の話など聞くもんか的な態度が現れるなら、それも立派な感情反応だ。
ハートが閉じてるなんてとんでもない。開いていて、そこにエネルギーが流れまくっているからこそリアクションが出るのだ。
ハートが本当に閉じたら、その人は人形のように動かなくなるし、能面のように感情反応を示さなくなる。
私が学生の頃、教育評論家などのお話で『近ごろの子供は、無感動になっている』とかいう話があった。
三無主義。『無気力・無関心・無責任』という近ごろの若者を評しての言葉。
でも、ここまでの私のお話を聞いた皆さんならお分かりですね?
●無気力、なんて存在しない。
単に、程度の問題。こうあってほしいという基準と、観察される対象の気力との差分がマイナスイメージを生み出し、「気力がない」という無茶苦茶なお話になっている。
無関心なんてない。
すべてはバランスなので、人は生きている以上何かに一定量の関心を注がずには生きられない。つまり、観察する主体が「こういうものに関心を持ってほしい」と願っている対象に関心が注がれていない(あるいは注がれていてもこちらが期待する分に足りない)ことに不満をもって「無関心」と言い大人げなく裁いているだけで、これは大人や社会の押しつけである。
無責任なんてない。
確かに、若者に問題がある場合もある。でも、その若者が自分に良かれと思って選択をした行動の結果が大人から見て「無責任」だと映るなら、そのように育てた社会や周囲の大人がまず反省すべきでは?
「何も感じていない」というのは、正確には——
「何も感じていない、と感じている」 ということなのだ。本当に何も感じていなかったら、何にも感じていないという感想自体持つことができない。
結論を言うと、ハートは開き閉じするものではない、ということ。ハートの外側に障壁などなく、常にビュンビュン何かが行き来している。
ゆえに、その行き来しているものの質を変えればいいのだ。それが、あえて言うなら皆さんの言葉で「ハートを開く」ということに当たる感じだ。
だから、ハートが閉じている、というのは閉じてなどいなくて単にハートを行き来するものの質がネガティブだというだけの話。
趣味の問題ではあるが、ハートが閉じたり開いたりするというイメージは、的外れなのであまり持たないことをオススメする。
ハートは、閉じることも開くこともできない。
できないことは、やめよう。
ただ、その瞬間瞬間を感じ、コントロールを手放そう。
閉じるのが良くなくて、開くのがいいという価値判断から自由になろう。
できもしないことはやめ、ただくつろごう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます