そこで遊んでおきなさい
あるところに、病気のため余命いくばくもないおばあさんがいた。
医師は、あと三か月の命だと家族に告げた。
皆の一致した意見は、「真実は隠そう」だった。なぜなら、普段からおばあさんは心の弱い、折れやすい人だったから。
本当のことを言ったら、残りの時間をふさぎ込んだ気分で過ごさせることになる。言わなければ、死ぬにしてもそれまでの時間を普段通り過ごせる。
おばあさんが聞く。
「私、何かの病気なのかしらね? お医者様は、何て言ってた?」
「ああ、ちょっと体調を崩しただけだって。じき、良くなるわよ」
結果、おばあさんは3か月に2か月プラスした5か月生きた。
死の前まで、おばあさんは普段通りだった。
世を去る時は、「あれ、今お迎えが来たの?」くらいの感じで、おだやかに逝った。家族は、死を悲しみながらも、そこに一抹の慰めを感じるのだった。
「ああ、ああ言っておいて(本当のことを言わないで)良かった——」
このお話から学べるのは、「ウソも方便」ということ。
正しい、正しくない。正直がいい、ウソは良くない。そういう真面目な観点を貫けば、それは正しいかもしれないが、血が通っていない。
当人が納得できて幸せなら、それでいいのである。その真偽を議論するのは、ヤボというものである。
筆者に、今までの話をひっくり返すようなインスピレーションが来た。
今まで言ってきたことを翻すことになるような内容なので、自分を正しく見せる上ではデメリットだが、でも言った方がいいように思う。以下の話は、先ほどのおばあさんのたとえ話のように「正しくはない情報だが信じることで生きている間幸せだった」ということでいいので、聞き入れたくないならまったく無視してくれていい。
平均的なスピリチュアルの教えで満足している、という人は以下の話は読む必要なし。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
スピリチュアル、特に悟り系の話で当たり前のように言われてきたこと。
●まず、ワンネス(神意識。つまりこの世界を創造し開始さえた原因者)ありき。
その神は、完全・絶対・永遠だった。完全だから何もする必要がなく、完全なるひとつでしかないので何も起こらない。
そんな神は退屈で、不自由だった。だから、大いなるひとつ(ワンネス)はこの二元性世界……変化と冒険の世界を創造した。
この幻想世界の成り立ちを、だいたいの覚者はそう説明するだろう。
でも、今回私に来たメッセージは——
●それすら疑え。
誰が決めた? 誰が見聞きして来た?
一般的にそうだと言われているからか? お前が尊敬するだれだれという覚者が、有名人が言っているからか?
冷静に考えてみろ。そんなのがなぜ根拠になり得る?
覚者が言ってた、だって? 要は「また聞き」だな?
お前の実感じゃ、ないんだな? なら、どうでもいいことだ。
お前にとって本当に大事なのは、宇宙の成り立ちが本当のところどうかよりも今晩の夕ご飯のオカズだ。週末に待っている彼女とのデートだ。明日の試験だ。
今、どんな気持ちかだ。
この次元を超えたお話は、お前が今どうであるかに関して何の足しにもならない。
ぶっちゃけた話、世界の成り立ちなんて分からない。
画面の中のマリオに、画面の外のことなど分かるはずがない。想像できたって、まず当たっちゃいない。
皆が「そうだそうだ」とたまたま思いが一致する内容が支持を受けただけだ。そもそも、証拠がないし証明できないんだもの! 言ったもん勝ち、人気が出たもん勝ちになりやすいのが精神世界のリーダーの世界だ。
だから、この世界で売れる覚者は、正しいから売れるのではなくエンターテイナーなだけ。
「……今日のご主人様は、なぜこんなに荒いコントローラーさばきなんだろう? 学校でイヤなことでもあったのかいな?」
マリオがいくら画面の外のご主人様のことを考えても、絶対に当たらない。当たらないのだけど、自分の今のモヤモヤを解消するため、何か情報が欲しい。自分が安心してコントローラー(プレイヤー)の指示に従えるように、何か心のよりどころが欲しい。
ここで重要なのは、「真実かどうかはさほど重要ではない」ということ。(てか、絶対に当たらないんだけど)
心が楽になるなら、どんな理屈でもいい。要は、信じ込むことがさほど難しくない、そこそこ説得力のある内容ならいい、ということ。あまりにもバカバカしいと、騙されてあげるのが難しいから。(笑)
では、悟り系のお話でよく言われる、ワンネス(
この世界では、時間性という幻想がある。
始め→終わり、原因→結果。こうするからああなる。というふうに「順番」というものが展開する。
これが、この二元性幻想世界の特権。ここでしか買えない季節限定商品。
しかしあちら(ワンネス)の世界では、そんなものはない。聖書の言葉を借りると神は自らをこう表現する。「私はアルファであり、オメガである。はじまりであり、終わりである」
つまり、時間軸がない。こうだからああなる、という現象自体がない。
私たちが、こうだから(出発点・原因)ああなる(帰結点・結果)と認識する時、どんなにその間が短くとも、0.001秒くらいはある。逆の言い方をすれば、ある原因の結果を認識するのに、絶対に時間というものがかかる、ということだ。
そう考えるとー
●神が、まず最初に退屈だった?
んで、何かしたくなった?
結果として、この世界をこさえた?
思いっきり、こっち(二元性世界)の基準やん!
それを、測ることのできない一元性世界に勝手に当てはめてるだけやん!
土台、無茶苦茶なことをしているのだ。
神には、時間がない。こうだからこうした、こうしたからああなったというのはあり得ない。
認識しようとしてもどうにもならないこの次元を超えた神のことを、二元性の住人である人間が納得して安心を得たいがために、無理やりこちらの尺度に合った話をこさえたのだ。
とは言え、この世界の成り立ちを言う人間に悪気はない。マジで神からのメッセージだと思い込めているから。そりゃ、堂々としたもんだよ。
だから、皆錯覚に陥る。「どうも、この人は本当のことを言ってるようだ。このオーラが物語っている!」(実はこれもその人の主観に過ぎない。それを証拠に、Aさんがすごいと感じるある人物の前にBさんが立っても、何も感じないケースもあるではないか)
ハートが、直感がビビッときた、と言う人もいるだろう。そりゃそうだろう。そういう宇宙のシナリオなのだ。その人の人生脚本に、そこでビビッと来る、感動すると書いてある。
ドラマの展開上、そこでそういう内容に出会い、受け入れるというドラマの筋書きになっていたのだ。
もちろん、今日の記事の主旨は「皆さん!神(ワンネス)がこの世界をつくった話はウソですよ!」というところにはない。
まったくのウソだとは言わない。ただ、絶対ではないと言いたいだけだ。
もっと言うと、画面の中のマリオであるあなたには、そこか実際にどうだろうが関係ないことだ。そこが言いたいのである。
そんな内容は知的興味の一時的満足のためだけで、あなたの幸せには何ら足しにならない、と。知的興味があるんです、とか知りたいんです、と真顔で言う人がいるが、あなたたちは要するにヒマ人なのだ。
筆者は、今を感じても感じ足りないほどに充実しているので、こんなスピリチュアルメッセージを伝える立場にありながら、多分誰よりも普段スピリチュアル的なことを考えていない。多分、皆さんのほうが私より深く考えているんじゃないか?
スピリチュアル界では、悟りとか、空とか、宇宙人とか、高次元とか、霊とか、前世とか……一般人から見たら地に足のついていないような、そういう話に詳しい人が「スゲー」と思われる傾向にある。
そういうのが分かった気になると、なんだか自分がすごくなったような気がする。だから、確認しようもないあちら世界のからくりを、「私は見ました!聞いてきました!」としたり顔でやられると、その人にカリスマ性があったり、ビジュアル的にカッコよかったりしたら、イチコロである。
こういうスピリチュアルメッセージを伝えるのを仕事にしておいて何だが、筆者の言うことにさほど意味はない。言いたいことを言いたいように言っているだけだ。
それを自覚している分、私はエライ。(笑)
今回、ワンネス(神)の話の欺瞞性を指摘したのは、信じるなと言うためではなく、もっと目を向けるべき大事なことがあるんじゃない? という語りかけをしたかったから。
目の前の好ましくない状況を、この世は幻想だとか本来は私たちは神で……とかそんな風に今とまったく切り離れることで、乗り越えようとしていませんか?
成長段階のある時期においては、それもいいでしょう。今本当に苦しいなら、応急処置として(一時しのぎとして)必要でしょう。
でもやっぱり、どこかではひとり立ちしないといけない。自分の魂ではない、何かの「スピリチュアル的意識操作ツール」に頼らず、今を味わう時を迎えてほしい。
カンニングをせず、自らの力で試験で満点を取ってほしい。
とりあえず、筆者にとってはこの後子どもと遊ぶことが、宇宙一大事である。
で、空き時間で自分の好きなゲームをすることが最大の関心事である。
ああ~ホントこの世界の最初とかワンネスなんてどうでもいい。
あなたは今、現世という名のデイズニーランドにいるのだ。今あなたは思いっきり、時間の限りアトラクションを楽しむべきだ。
休み明けの仕事の事(来世とか一元性に還るとか)は、その時考えろ。
ましてやUSJのことなんて、ほっとけ。
そこで遊んでおきなさい。
それこそが、あなたの最大の仕事です。
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