それでもこの世界で生きる
『シャボン玉』 野口雨情作詞・中山晋平作曲
シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた
シャボン玉消えた
飛ばずに消えた
産まれてすぐに
こわれて消えた
風、風、吹くな
シャボン玉飛ばそ
※著作権が失効していることを確認の上掲載
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知らない人はいないだろう、と思うくらいに有名な、シャボン玉の歌。
うちの娘も、小さい頃無邪気に口ずさんでいた。
小さい子は知らなくていいことだが。
この歌詞の意味は、実は本来子どもたちが歌うような、陽気なものではない。
一説によると——
作詞者の雨情は、授かった赤ん坊を、生後間もなく失っている。
夫婦はその後何人も子どもを産み、一生懸命育てた。
(その後も、子どもをひとり亡くしている。)
その最初の娘の死を、雨情は後々まで悔やんでいたという。
ある日、村の小さな女の子がシャボン玉を飛ばして遊んでいるのを見て——
●ああ、あの子も生きていたらちょうどこの子くらいかな。
どこかで、元気にしているのだろうか。
そんな思いから生まれた歌であるとも言われているが、定かではない。
シャボン玉が、屋根まで飛んだが、壊れて消えた。
せっかく、屋根まで頑張ったのにね。
壊れて消えたら、かわいそうだよね。
それまでのシャボン玉の頑張りは、何だったの?
シャボン玉を一生懸命育ててくれた存在の努力は、何だったの?
シャボン玉に関わった人たちの思いやエネルギーは、無駄だったの?
シャボン玉は、飛ぶことすらなく消えた。
生まれてすぐに、壊れて消えた。
寿命をまっとうして、人としての「幸せ」というものを一通り味わうことこそが最良の人生だとしたら、このすぐに消えるシャボン玉の存在意義は?
生まれない方がよかったのではないか。
筆者は、生まれてすぐに壊れて消えたシャボン玉を、尊敬する。
ありがとう、って思う。
神意識が仕掛けたこの壮大なゲーム世界の究極目的は——
●すべての可能性を体験し、味わうこと。
だから、「生まれてすぐに壊れて消えた」体験も宇宙に必要なのだ。
その可能性も、コレクションされることになる。
誰かが、担当せねばならない。
誰かがその役をやらなければ、劇が成立しない。
その、大変な役を任されるのは、「偉大な魂」。
「この子は、ダメだな」と思えば、任せない。
●この子は、きっとこの体験をクリアして、帰ってくる。
きっと、大丈夫。
そしてそ大役を果たした魂を、多くの魂が感謝する。
ありがとう。あなたがその役をやってくれたので、この世界ゲームがまた一歩、進んだよ。おかげで、私はこの役をすることができたよ——。
この歌の作詞家、雨情のような親もそう。
生まれてすぐに、壊れて消えるシャボン玉が生まれてきた両親。
彼らも、「選ばれた」 。
誰に?
そのシャボン玉に。
●……父さん母さん、ごめんね。
僕はね、この役を演じるために、生まれるんだ。
そっちの感覚で言えば「ごめんね」なんだけど。
それでも、宇宙はこうあるべくしてあるから。行くね。
でも、いつか分かる時が来るよ。
実は、生まれてすぐに赤ちゃんを亡くした、運のないかわいそうな親、じゃなくて。その体験を受け止め、それでも生きてその体験をまっとうできる魂、と認められたんだ。
お父さん、お母さんだったら大丈夫。
そう信じて、生まれていくよ。
もちろん、結果なんて求めない。
でも、信じたんだ。この事実が、重要なんだよ。
もちろん、私が今言った感覚は、一般的になじまないかもしれない。
突飛な考え方、と思われるかもしれない。
置かれた状況によっては、反発を感じるかもしれない人がいるのを承知の上で、それでもこの言葉が必要な少数の方のために言う。
壊れて消えるシャボン玉は、不運なのでも不幸なのでもない。
ただ、そういう役を演じに来た。
そして、そのシャボン玉に関わった人も、不運だったのではない。
むしろ、その体験を味わい回収し得る魂として、信頼され選ばれたのだ。
生まれてすぐ、お子さんを亡くされた親御さんもいるだろう。
目を離したすきに、お子さんに事故に遭われたという方もいるだろう。
あるいは、宿った命を中絶した、という経験をされた方もいるだろう。
その中には、悔やんでいる方も多いだろう。
すまない。ゴメンね。ゆるしてね……
そういう思いの無間地獄に苛まれている方もいるかもしれない。
罪悪感の渦に生きている方もいるかもしれない。
でも、お子さんはこう言っていますよ。
その魂は、あなたを責めてなどいませんよ。
●ごめんね。
あなたを選ばさせてもらったよ。
僕が僕の役をやりきるためにね。
だから、むしろこっちが 「ごめんね」 なんだよ。
あなたは失敗したんじゃない。ましてや罪を犯した、などとんでもない。
本当に、ありがとう。ただ、それだけ。
よくやってくれたね——。
この三次元宇宙ゲーム世界では、あらゆることが起こる。
人間エゴで見ると、理不尽なことも悲しいことも起こる。
でも、宇宙はただあるがままにあり、進むべくして時代は進んでいる。
こんなに辛いことの多いゲーム、うんざりしてもおかしくない。
もうやめたくなっても、おかしくない。
でも、魂の本質は「それでも進む」ことなんだ。
より大きなエネルギーの流れの中で、さらにドラマを紡いでいくこと。そしてそこで、感情を味わい尽くすこと。
登山家が「そこに山があるからだ」と言って山に登るように、我々の魂も、あくなき好奇心と探求心をもって、これからも生きることを続けていくだろう。
だから、何度シャボン玉がつぶれようとも。
生まれてすぐに壊れて消えるシャボン玉があっても。
それでも、こう歌いながら。願いながら何度でも飛ばすのだ。
♪風、風、吹くな
シャボン玉飛ばそ
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