対象年齢を明記の事!

 保育所年中の息子のクリスマスプレゼントは、仮面ライダーの変身ベルトだった。

 商品の取り扱い説明書やTVコマーシャルの画面の片隅などに、あえてこう書かれてある。



『変身はできません』 



 そんなことを、親切すぎるくらいに書いてある。サンタを信じる子どものように、ベルトを付ければ変身できるんだ、と思ってしまう子への対策か。

 大人でも、少々常識のない変わった方のツッコミ(変身できませんけど!? なんてお客様相談センターに電話してくる)を回避する意味合いも、あるのであろうか。

 とかく、おもちゃは親切すぎるくらいに『対象年齢』を明記していたり、アニメや特撮ものの作品の世界のように「実際に変身できたり巨大化できたり、魔法を使えたりしない」ことをいちいち書いてある。



 ここで、スピリチュアルの世界を考えていただきたい。

 スピリチュアルの世界には、色々な教えがあふれている。

 こういう時、こうすればよい的な方法論も、星の数ほどある。

 しかし。



●対象年齢が、明記されていない。



 スピリチュアルの先生方も、少々無責任に言い放ち過ぎな部分があると思う。

 確かに、おっしゃることはそうかもしれない。真実かもしれない。

 しかし、幼児から老人まで幅広い年齢層の人間がいるのと同じように、魂の旅の進み具合に関しても、人によって幼児だったり、小学生・中学生・高校生……と、その段階も様々なのだ。

 そこのところを見落として、高い所からものを言い放ってしまい、受け止めきれない方が出ることまでは配慮しない。



 例えば、あるスピリチュアルの先生が言ったことが、「大学生の教科書」レベルの事だったとする。でも、それが「大学生向き」だということをいちいち言わない。

 なので、その先生を尊敬するある人が、その言葉を聞いて、その方は「中学生」レベルなので、もちろんその言葉を腑に落とすのが少々きつい。

 そんな時に、自分を責めてしまうことがある。中学生が大学生の問題を理解できなくても何ら問題はないのに、そんなことには思い至らず、とりあえずその教えを無視するという融通が利かない。



 私としては、教えにいちいちどういう人向け、と書かないでも問題なしと思わないでもない。ここで私が言っていることは、過保護すぎるかもしれない。

 変身ベルトの箱に、「変身できません」と書くくらいに、配慮し過ぎかもしれない。でも、現に苦しんでいる人が多いから。

 私が相談を受ける方の中に、頭では正しいと思えるスピリチュアルの内容を、どうしても受け入れられない、という方がいる。そして、そんな自分がダメなのだと思っていらっしゃる。

 そんな方を多く見るにつけ、スピリチュアルの内容に対しておもちゃ並みに「対象年齢」を考える必要があると思ったのだ。



 例えば、『喜びにフォーカスしなさい。問題にフォーカスするのはやめなさい』 というのがある。

 もちろん、そう聞いて『ああ、納得です』と言って、そのごとくできる人もいる。しかし一方で、『そうは言われても……やっぱり怖いし。問題は放っておけないし』 という方もいる。

 つまり、この教えは前者のためにあるのであって、後者のためではない。後者の方の教科書としては、まだ早すぎるのだ。

「恐れは良くない」 といくら知識として分かっても、恐れに勝てない時期だってある。その時に「でも恐れに従うのは良くない、って聞いたから」と、無理にやせ我慢して恐れを手放す行為をしても、まずうまくいかない。

 否定できないものとして恐れがあるのに、それとケンカしても無意味だ。



 今は、自分が恐れを感じる段階にいるんだ、と認め、受け入れる。

 つまり、恐れる自分がまだまだダメなのではなくて、恐れることを自然な段階として、抵抗せず許す。

 保険に入っておかないと怖いのなら、入ればいい。家にカギをかけないと怖いのなら、しっかりかけたらいいし、セコムでもアルソックでも入ればいい。

 いくらスピリチュアルで『宇宙を信じて無防備になること』が薦められていたとしても、今の自分が受け入れるのに適当な「対象年齢」かどうかを考えて、その考えを採用するかどうか決めるのだ。



●どんなに偉いスピリチュアルの先生の言葉であっても——

 それを受け入れることで自分が苦しいなら、捨てなさい。



 無理をしていいことなど、ひとつもない。

 苦しいなら、時期ではないと保留しなさい。

 そして、今自分が一番心が休まり、楽になるメッセージを選び、耳を傾けなさい。

 小学生は、小学生の教科書をやるのが自然なのだ。

 高校や大学のお兄ちゃんお姉ちゃんのやる勉強が分からなくて、当然なのだ。

 今、その年齢で楽しめることというのは、あるでしょう?

 変身ベルトで悦に入ることは、小さい時期にだけ楽しめる「特権」である。

 大人になると、もうそうはいかない。(人による?)



 スピリチュアルの発信者に、対象年齢を明記せよというのは、ちょっと現実的ではないので、受け取る側のみなさんに言っておく。



●何でもかんでもいっしょくたに、消化しようとすると胃に負担がかかりますよ。

 あなたの消化能力の範囲内で、食べてください。

 お腹の調子が悪くなるようなら、それはしばらく食べないほうがいいですね。



 世に溢れるスピリチュアル情報に関して、そういう気楽さでチョイスしてください。ええとこ取り、でいいんですよ。

 真面目な方も多いので、この先生を全面的に信頼しているから、ここは疑問だけどでも頑張って受け入れよう、とかついつい考えてしまいがち。

 もし、ある知識(理屈)が、あなたを苦しめるなら、たとえ筆者の言うことでも捨ててください。聞かないでOKです。



 宇宙の王として、あなたが「今ここ」を気持ちよく生きられる内容を、選択してくださればいいのです。

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