世界は必ず応える

 これは、アメリカでの実話。

 ある女性が、税金を納めるために、小切手を切り税務署へ送ろうとした。

 今までのその人なら、「国に不当にお金を巻き上げられる」とイメージが税金に対してあったので、「庶民を泣かす金泥棒め!」くらいの勢いで、イヤイヤ支払っている部分があった。

 しかし、この時は違った。

 少々スピリチュアル的なことにも関心が行きだした頃で、今までと同じことをしていたのでは進歩がない、と思った。

 よく考えてみると、誰にも罪はないのだ。

 お金がないと、国だって立ち行かないのは分かる。そりゃ、見知らぬところでどう使われているか、などと疑心暗鬼になることもある。でも、自分がコントロールできない範囲のことを思い煩っても、楽しくないし喜びもない。

 だからそんなことしてイヤな気分になるくらいなら、心が喜ぶことをしよう!

 そう考えた彼女は、ちょっと変わったことを始めた。



 小切手の裏に、『備考欄』なるものがある。支払い相手に対して、業務上の連絡などをひとこと書き込めるようなスペースがある。

 税務署に税金を払うのに、こちら側で書き込むことなんか、特にない。

 だから、ずーっとそんなところ空欄で送るのが当たり前になっていた。

 でも、彼女は考えてみた。励ましや愛情を必要としていない人なんて、いない。この小切手を受け取る税務署の職員さんだって、社会のために頑張っている。

 だったら、私は税務署に対して悪態をつくのではなく、むしろ感謝するべきだ。

 この瞬間、そのように腑に落ちたので、彼女はペンを取って小切手の備考欄にこう書き込んだ。


 

『あなたに、大きな祝福がありますように!』



 皆さんの周囲を見渡して、税金を取る役所を祝福する人なんて、いますか?

 まぁ、聞いたことがない。

 でも、この時の彼女は、心からそれをしたのだ。



 さて、数週間が経過して。

 普通は、税金を納めたら、それで終わり。

 後で、事務的な明細の紙切れが来ることはあるだろうが、それだけのこと。

 しかし。この時は、差出人の名前にまったく覚えがない人物から手紙が届いた。

 何と、読んでみると税務署の事務職員だという。

 文面は、以下の通り。



『私の仕事は、税金の出納を管理する事務職です。

 本当に機械的に処理するだけで、それ以外のことは何もありません。

 それどころか、私は多少敏感なので、「ああ払うのが嫌だ」というようなネガティブエネルギーを、書類から感じるたりもします。ああ、仕事で私が関わっている内容って、みんなには好かれてないのね、って思うと、とっても悲しくなります。

 でも、先日。あなたがお出しになった小切手の裏の備考欄に気付いたんです。

 普段なら、誰もそこに何も書かないから、見落す可能性の方が高いんです。

 でも、この時は分かりました。出会うべくして出会った、みたいな。

「あなたに、大きな祝福がありますように!」

 この言葉に、私は心を打たれました。そして、感激しました。

 力が、湧いてきました。

 ああ、私も実は人のためになる仕事をしているんだなぁ、って。

 だから、私にもこうお返事させてください。

 あなたにも、大きな祝福がありますように!』  

 


 私たちが、「世界とはこんなもの」と思っているそのことが、現実を形作る。

 私たちが今まで誤解してきたことは——



●かっちりとした世界が先にあって、そこに置かれた自分が仕方なくそれに従うのだ


 

 そんな思い込みである。

 先ほどの話でいうと、国民から必要以上に税金を巻き上げるけしからん役所があって、しゃーなしにカネを払わにゃならん、ああうっとおしい、という前提である。

 そういう、確固たる現実があるわけではない。



●あなたの解釈が、あなたが見る世界の大枠での骨組みをつくっている。



 弥栄イヤサカではない意識 (豊かでない私が、お金を相手からむしりとられる)は、種である。その種は成長して、当然それなりの花を咲かせる。

 ああ損した、また次も払うのか、というショボい花を。

 でもあなたが 「私も栄え、あなたも栄える」という豊かさの意識から、税金を払う相手さえも祝福できたら? 

 その良き種は、豊かさと喜びのエネルギー交換を促し、より増幅し——

 美しい花と、そして最後には豊かな実を実らせるようになる。



 皆さん。

 こういう現実があるから、次はこうしかない、という発想とサヨナラしてください。要は、意識です。


 

●喜びとワクワクの意識から、自分はどうしたいのか?



 大事なのは、それだけ。

 現実の条件がそろわないと動けないのが私たちだ。

 そんなもの待っていたら、動くのは一体いつになりますか?

 今日、例にあげた女性は、世界が自分を納得させてくれるのを待たなかった。

 税務署が頭を下げ、どうか皆さんお願いします、とへりくだるのを待たなかった。

 自分から先に、喜びを動機としてアクションを起こした。その豊饒なエネルギーは、税務署の職員を感動させるという「キセキ」を起こした。

 

 

●あなたが変わるから、世界が変わるのである。



 皆さん、言います。

「宝くじでも当たったら、幸せになれるのに」

「夫が昇進して、お給料でも増えたら幸せになれるのに」

 この、~なら~なのに、という発想は、宇宙の主人公としての主体性を放棄した態度です。自分主体ではなく、外部 (それさえもあなたが生み出した) の出来事に、自分の幸不幸を左右される。

 これは、本当にもったいない生き方です。

 周囲の状況が整って初めて、あなたが幸せなんかになるんじゃない!

 そんなもの、待ってないでください。

 いつになるか、分かったものではありませんよ。


 

●今、幸せになる!

 今、喜ぶ!



 まずはじめに、意識ありきなのです。現実ありき、ではありません。

 でも、この世界ではまだまだ、現実ベースですべてを思考して、自分を決めることが多い。私がしている活動も、目的はそこを変えることにあります。

 皆さんが、自分の意識でまずどうなりたいかを決める世界。

 そして、その意識が反映した現実を後で手に入れる世界。(注:ただしゲーム世界でもあるため、この記事のとおりにしても失敗する可能性があることは本書を読み続けてきた方なら、ご了承いただけると思う)


 

 神意識が仕掛けた三次元ゲームのコンセプトは、まさにそれ。

 どうか皆さん。

 神意識としての自分を取り戻されますよう。

 人生の主人の座を「現実」というやつから取り戻して、決して終わることのない無限の喜びのループを、お楽しみください。




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【編集後記】


 筆者のずいぶん初期の記事で、今ではこういうことは言いません。どちらかというともうちょっと冷めたメッセージをするのが常となりました。(笑)

 この記事は、夢なんてどうせ……というふうに人生あきらめがちで、前向きになれない人のためのメッセージです。ゆえに少々極端に励ましてます。

 まるで「意識がすべてを決める!」みたいな勢いで書いてますが、現実そんなことはありません。ただ、今元気が出ない人は「それくらい思って頑張ってちょうど」みたいなところがあるため、あえて確信犯的に書きましたことをご了承ください。

 

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