「西洋中世」について
前回からまた間があいてしまいました。久々の更新となりますが、カクヨムっぽくない話題なのでスルー推奨です。
先日オンライン上で開かれた某学会で、「西洋中世」が一般の人によく知られてないとのお話がありました。ここに書いていいのかな。怒られたら削除しますね。中世と聞いて頭に思い浮かぶものが中世ではなく、むしろ近代のものだったり、明らかに17世紀以降の建物の画像なのに「中世の街並み」のキャプションがつけられる……といった指摘がなされ、うなずきすぎて首がもげました。
少し昔のヨーロッパの、なんとなくきびらやかでロマンティックな世界観が中世だと思われている問題は以前からありますね。「中世ヨーロッパ 服装」で検索するとロココ調のドレスがでてきたり。
設定用の資料をさがしていて「中世ヨーロッパ風ドレス」とかの見出しでイラスト等が出てきたら、騙されてはいけません。多分それ中世じゃないです。
調査によると、だいたいナポレオンとかヴェルサイユ宮殿あたりも中世だというのが、研究者以外でかつ歴史に興味がない一般の人の認識だそうです。でも西洋史では中世はふつう15世紀中頃まで、その後は「近世」です。
私はカクヨムで「西洋中世の日常生活」というエッセイを連載しています。
枝葉末節にこだわる〈西洋中世の日常生活〉https://kakuyomu.jp/works/1177354054886087056
扱う時代が中世からはずれる場合があることは紹介文に入れてあるんですが、最近はとくに17世紀のペストの話を書いてるし、全然中世じゃないですね。タイトルを〈西洋近世の~〉にしてもよかったんですが、カクヨムという場所でより多くの人に読んでもらうにあたり、「近世」はとっつきにくいのではないかという心配がありました。
じゃあ中世にしようと。ぎりぎりかすってるし。
中世がよく知られていない問題を逆に利用したような形です。
これ、片棒を担いでるみたいでずっとジレンマだったんですよ。やっぱりタイトル変えちゃう? でも、そもそも「近世」って一般にほとんど浸透してないですよね。本文でも近世の語はあまり使わないようにしています。何かキャッチーなタイトルありますかね。
しかし、しかしですよ。
観光ガイドブック等で「中世の街並み」が乱用されるということは、「中世」ワードに集客力があるとみなされているのかもしれません(発表では、記事を書く側も認識が曖昧なままである可能性が指摘されていましたが……)。ならば、西洋中世をひろく一般に知ってもらうための鍵もそこにあるかもしれないわけで。
身近でリサーチとかは考えていないのですが、発表を聞いて思いあたることがありました。
イタリアでも本屋さんの棚は日本の書店と同様、ジャンルごとに陳列されています。何て言うんですかね、本と本の間にささってるあれ。インデックス? 歴史系だと、時代区分でまず「古代」のインデックスがあってギリシャ・ローマ時代関連の本が並んでいます。次に「中世」。そうきたら次は「近世」の本がくると思うでしょ。でも「現代史」の棚になっちゃうんです。
中世は「十字軍」や「テンプル騎士団」等、さらに細かく分かれているのに、近世は独立した棚さえないですからね。これは私がよく行く本屋に限った例ですが、大手の書店がこうなので他も似たような感じではないかと思っています。
近世って
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