おま犬。

??????たちの会話。

 全く、今回もとんだ苦労をさせられた。

 だが、結果として、『意識体』を倒すことに成功した。やはり、あの犬好きを導いたわたしの判断に、間違いはなかったようだ。

 ユーリという人間は、確かに強かった。だからわたしは、わたしと、わたしたちの目的のために、ユーリという人間を導いたのだが、わたしの予想よりも、『意識体』は強かった。

 ユーリが『意識体』に取り込まれると、すぐさまその右腕と呼ばれる男を導くことに変えたのは、ユーリと同等の強さがあることも然ることながら、とんでもない犬好きだったからだ。ユーリは犬が苦手だった。その分、確かに導き難さは感じていた。


かしら。」


 わたしを呼ぶ声がする。振り返ると、十程度の我が同胞と、それらを従えた、艶のある黒い毛並みが見えた。わたしは労いの言葉をかける。


「今回もご苦労だったな。」

「いえ。それよりセティという男、なかなかなものですね。相当の犬好きです。」

「やはり、わたしの目に狂いはなかったな。」

「はい。あの男の力ならば、順調に行けば、取り戻せるはずです。」


 黒い毛並みが言う。わかっている。その通りだ。我々は、『世界獣』から取り戻さなければならない。


「子どもたちは、無事でしょうか。」

「『世界獣』はかすみんで生きるようなやつだ。殺されはしないさ。」


『世界獣』が圧倒的に巨大な存在であるがゆえに起きた、不幸な事故。我々の子どもたちもまた、ユーリという男と同じく『世界獣』に取り込まれたのだった。それが『世界獣』であるとは知らずに、その背でキャッキャ遊んでいた子どもたちは、移動を始めた『世界獣』と共に姿を消したのだ。

 そこに至ってわたしは、わたしたちは、決意した。まずは子どもたちを取り戻す。それと同時に、この機に乗じてわたしたちは『世界獣』を従え、


「我々は、必ず目的を達成する。その為に、我々は……いいな、皆。」


 黒い毛並みが頷き、その背後の同胞たちからも同意の気配があった。

 わたしは前に向き直ると、次の一歩目を踏み出す。三匹目の『意識体』の匂いを探して鼻を上げる。それが、『世界獣』本体へと至る、唯一の道。


「さあ、行こう。旅はまだ、始まったばかりだ。」




『ポメラニアン オン ザ ビースト』to be continued.....?

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ポメラニアン オン ザ ビースト せてぃ @sethy

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