十二月
Sullivan Ravenwing 葵
十二月
甘いにおいがした。
透き通るような、
かつ隠そうとしているような
心の探索を拒む樹海がたたずむ。
十二月、命を消し去ろうとする冬。
街という名の集合体は生物学的な勝ち組を優遇する。
木々はダイオードをまきつけられ、
石油を燃やしては気持ちだけでも天国にあろうとする。
主がつかわした
多くのラヴァーズによって利用される。
寒さを紛らわそうと異性の温もりを求めて、
多くを望み、手に入らず望みを絶つ。
あなたは世界の主人公では無く世界という機関の一つの歯車にすぎないのだから。
「寒いね。」
「うん、そうだね。」
「今度、いつ逢えるの?」
「世界が望めばいつでも。」
握られた手と手、
絡み合った指からの
純なる感情。
二人の
何をしようと二人の勝手。
何をされようとそれは
ただ流れていくだけの冬の小一時間。
枯れゆくその時まで。
十二月 Sullivan Ravenwing 葵 @namonoshiruka
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