どうしてJUNEは消えそうなの?
小説に純文学(芸術)と大衆文学(娯楽)があるように、私はJUNEを純文学、BLを大衆文学と考えている。
現在の作品群は明らかに大衆文学、つまり、読者を楽しませる娯楽小説が多くを占めている。
時代によって好まれる文学は違う。戦争のある時代とない時代では、そりゃ好まれるものも違うだろう。
もしかしたら、現代の人たちは小説に「芸術性」を求めていないのかもしれない。現在はアニメ絵が人気で、現代アートや、昔っぽいいかにもな絵画に興味を示すのは、ごく一部のマニアだけになっている。
同性愛をテーマにした作品は、既に次の時代に移り始めた。
「同性だからこその面白さ」の定義が根底から変わったと感じる。
同性同士の恋愛の禁断感に萌えを感じる人は既に少数派になった。いかに彼らの恋愛が成就するか(もっと端的に言えば、どんな過程でセックスまでたどり着くのか)が気になる展開を書く人が多くなった。
「いや、私も禁断感は好きだよ」と言われると、どの程度の禁断感なのか少し考える必要が出てくる。
少なくとも現代の禁断はヤクザとか、同級生や同僚にバレちゃいけないとか、野外でとか…あげるとキリがないけれど。
ただ、少なくとも「命が無くなる」ほどの禁断感は、現代作品には少ない。
昔の同性愛の禁断の意味は、「見つかれば社会的な信用を完全に失う(もしくは命を落とす)」だった。ドラッグ、売春、近親相姦、こういうものが非常に重く描かれていた。
だから、最近の世の中はきっと、昔に比べれば相当平和になったんだと感じる。
「どうしてJUNEは消えそうなの?」と聞かれると、多分世の中の求めるBL像がまるっと変わってしまったから…としか言いようがないのである。
由野がBL語るだけだってばよ。【エッセイ】 由野 瑠璃絵 @Hukunokahori
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