エピローグ ~ダークサイド~

「開票速報だ。ぶっちぎりで与党が与党のままと決まった」


「これが、国民の意思、ですか?」


「残念ながらな」


「俺たちの仕事のお陰ですかね」


「大方な。それと我らがヒーローのご活躍のたまものだ」


「確かにあれだけ暴れまわったお陰でニュースはあいつ一色でしたものね」


「プロパガンダ―A、正体不明な鋼人ハガネ狂人クルイ、圧倒的な戦闘力と情報索敵能力、隠蔽能力、それに不釣り合いな情緒不安定さ、歴史に残る大悪党、ではなくなったんだっけか?」


「恩赦、正式に決定ですか?」


「決定だ。条件としてはこちらの監視下で正義を執行すること、ぶっちゃけ今まで通りだな。名実ともに我らと同じく公務員のお仲間だ」


「まさか本気であの壊れた機械を、代表が説得して見せたと? それを国民が信じたと?」


「いるにはいるだろうが少数だろう。それも、ほっといても票を入れるようなおめでたい連中さ。大半は、茶番の全部を知ってる」


「政府にとって不都合なもの、邪魔なもの、糾弾するもの、正直なもの、露骨に全部を殺して見せた。逆らえばあぁなる。見せしめは効果絶大だ」


「恐怖政治、そこまで退化してしまったんですね」


「悲しいが、そうだな。ただこのご時世だ。熔解だの宇宙人だのと戦うには、綺麗ごとだけじゃすまないってのもコミでの当選だろうさ」


「それで何人死にました?」


「言うな。正しいとは思ってない。俺たちは命じられて、実行し、やり遂げた。それだけで我慢しろ」


「……減りましたね」


「三分の二が殉職、あるいは離反により抹消、ここまで荒れたのは発足以来初めてだ」


「これなら、始まる前に引退し五十嵐が正解でしたね」


「聞いてないのか。あいつ死んだよ」


「……は?」


「事故死だ。一人で登山に行って崖から落ちたんだとさ」


「何を言ってるんですか! あいつは山恐怖症で! 両足切り落とされて! 内臓やられててでっかい人工透析器につながれてないとすぐ死ぬじゃないですか! それがどうやってそんな」


「それが事実だ。そして俺たちは。あいつは、タイミングが悪かったんだよ」


「…………俺たちに、引退はあるんですか?」


「さぁな。ただ今夜は無礼講だ。飲むぞ。しかし永瀬のやつどこまで行ってんだ」


「最後の処理を詰めてるそうです。あのハゲ、弁護士だったらしくて、それこそ事実を作ってるそうですよ」


「……そうか」


 ぱ~ぱーぱ~ぱーぱ~ぱーぱー♪


「な!」


「おい! 悪い冗談はやめろ!」


 どっかーーーーん!!!


「プロパガンダ―A! 参! 上!」


「な!」


「見つけたぞ! 貴様らが年金を消した手品師どもだな! ゆるさん!!」


「おい嘘だろここは部外秘、構成員以外は上梓さえも場所をしらないはず……ながせぇ!!! うらぎったなぁ!!!」


「よいこの諸君! これを読んだらハートをあげよう! 星も付けよう! コメントには無理くりでも褒めちぎる言葉を並べよう! プロパガンダ―Aとの約束だぞ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『与党戦士』プロパガンダーA 負け犬アベンジャー @myoumu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ