プセマ
トンカントンカン———
薄暗い世界。無心でその音を聞き続ける。
ただ、毎日繰り返す。それだけの生き物。
この生活に、疑問を感じることはない。
私の知識、見聞の全てで出来ている場所だから。
そこに疑問なんて持てるはずもない。
———それなのに、私の世界は崩れ去った。
たった一つの、物語によって。
だから、どうする?
どうにも出来ない。どこにも行けない。
何もない、いや、何もかもがある世界で、ただ時間だけを過ごすのみ。
「何も」
変われるならとっくに変わっている。
逃げ出せるなら今すぐにでも走り出す。
でも、何もない。
この世に生まれた時点で、
安定の代わりに、踏み出す勇気も、自分自身の意思すらも奪われてしまったのだから。
私はまた、繰り返す。
死ぬまで、繰り返す。
生まれ変わっても、繰り返す。
そしてまた、後悔の中で、死んでいく———
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