飛ぶ

私は今、人間が積み上げたものの上に立っている。

人間に想いを馳せ、世界に夢を託し、くだらないことで泣き、感情に従い笑う。

そうやって積み上げられた、人間による人間のための場所。

本当に大事なものは、横に広がっているのに。


私はまだ、人間になりきれない不完全な存在。人間でありながら人間になりきれない欠陥品。でも、だからこそ、なんにでもなれる。道端に投げ捨てられた出来損ないだからこそ、どこにだって進んでもいい。


止まない雨だってある。明けない夜だってある。どれだけ努力しても報われない奴がいる。

成功した人みたいにやりたいことを続けるなんてできない。前を進む人のように転んでも立ち上がれない。

碌でもない奴らみたいに、全てを30cmの定規で測って分かりきった気にもならない。

確かなことがない世界。それでも、私だけは確かにここにいる。


だから、私は落ちる。

つらさや痛みを誇ることはない。自らの外に出してはならない。例えそれで死んだとしても、胸に刻んで進み続よう。


今こそ、飛び立つ時。

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