第二話 出会い

歩くこと、体感で一時間ぐらい。

いくら歩いても変わることのない景色の中、全く動くことのないアレだけを目印に辿り着く。


「お〜い、生きてる?」


呼びかけてみるが、反応は無い。予想通り、死んでいるのかな。

しかし、酷い有り様だな。注意深く、その体を確認する。


服の役目を果たしていない、ボロボロの布切れに身を包んだその体は痩せ細り、汚れている。

手入れされていない髪も伸び放題になっており、性別すらわからない。

そして何より、左腕と左足が無い。

肘から先が無く、膝から下は棒のようなものが接着されているようだ。

こんな辺境にこんな姿で、何をしにきたのだろう。

いや、それより、どうしよう。

このまま放っておいてもいいけど、こんな目につく場所で腐っても困るだけだ。

あと、臭いし。


……連れて行くか。

生死の判断はつかない様子だが、とりあえず連れて帰ろう。死んでいたらそのまま燃やして、そうだな、もしも生きていたら話し相手になってもらおう。

ああ、僅かな希望ながら、そう考えるとどんどん楽しくなってきた。

善は急げ、だ。


「よいしょっと」


横たわるものを肩に抱える。

超軽いな、うちの家畜より軽いぞ。

よっし、帰りは走っていこう。

僅かな可能性が消える前に。



早速、家に連れ帰ってたものをベットに寝かせる。

汚れてしまうのは正直嫌だが、ごたごた言っている場合じゃ無いだろう。

そして、邪魔な布切れを剥ぎ取る。


「うへぇ」


声に出してしまうくらい、生々しい傷だらけの身体。

特に、左足だ。

左足に、直接義足にも満たない木製の棒が接着されている。

そして、その接続部分は赤黒く変色し蛆が湧いている。

ああ、気持ち悪い。こんな雑な作りの義足なら着けないほうがまだマシだっただろうに。

これはもう切断するしかない。

痛かったらごめんね。


その後、生き物の身体には詳しくないので、適当に、消毒と縫合程度の治療を行なった。

あとは、どうしても臭いが気になったため身体を濡れた布巾で洗い、ボサボサの長い青髪も短くしておいた。

ここまでやってようやく、その痩せこけてはいるが端整な顔を拝むことができた。

生きるか死ぬか、後は神に祈るのみ。

ベットのシーツを数枚ダメにした分と、私の努力を無駄にしないで欲しいものだ。

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