クリスマス会その後編【特別編03】
クリスマス会は食べて飲んでゲームしてと遊びに遊んだ。クリスマスと言ってもケーキにプレゼント……そんなものじゃないのかな? まあ、いつものメンバー、いつもの場所だし楽しく過ごすことが出来ていた。
そしてふたりきりで過ごすことは出来なかったけれど、それでも葉子と過ごす時間は大切なもので僕にとって大事な人になっていってるんだと実感できたのだった。
けれど楽しい時ほど過ぎ去るのは早いというのは本当のようでそんな時間もあっという間に過ぎていく。そして
「私、そろそろ帰らないといけません」
そう伝えてきたのは葉子。21時も回り幼馴染と違い家の家族も心配するだろうから。だから僕は
「そうだね。送っていこうか」
と葉子にそう伝えるのだが
「なら私も行く」
「俺も行こう」
と翔と柚もついてくると言い出した。いや……勘弁してくれ。送るくらいついてこなくてもいいと困ったように考えていると
「はいはい。あんたたちはお留守番ね」
とそう言いながら台所から母さんがやって来た。
「えー。なんで? 」
「透だけじゃ心配だろう? 」
とふたりは僕の母さんに反論するが
「あんた達が居なくても問題ないよ。あんた達は片付け手伝いな」
と母さんはふたりの言葉を遮った。そして母さんに
「はいはい、白井さんとあんたはさっさと行って。いつまでも抑えとけないよ、このふたりは」
と言われた後、僕たちを追い出すように玄関の方へと追いやられたのだった。
けれどそんな母さんの機転のおかげかとりあえずふたりで葉子の自宅へと向かうことが出来た。そんなふたりの時間が出来たことが嬉しいのか
「ふふふっ一応ふたりきりになれましたね。透さんのお義母さんのおかげで」
と嬉しそうに笑う葉子。けれど僕は
「ごめんね。僕がだらしなくてこんな時間も作ることなかなか出来なくて」
そう葉子に謝ってしまう。それを聞いた葉子は
「そんな事気にしなくて良いんですよ。一緒に居られるだけでも嬉しいんですから。ですがいつかは私が勝ち取りますからね」
そう言って僕に微笑む葉子は月の光を受けていることも関係するのかとてもとても綺麗に見えた。そんな葉子をしばらく見惚れてしまった僕だったけれどあることを思い出し葉子に
「えーと。メリークリスマス。これ、どこで渡そうか迷ってたんだ。でも今、ふたりきりになれたから……クリスマスプレゼント」
そう言って葉子に渡すのは三日月の飾りのついた首飾り。箱にも入っておらず紙袋に入っているだけの安物。それでもセンスの無い僕が一生懸命選んだものだった。
「え? 透さんから? ありがとうございます。嬉しい。開けてもいいですか? 」
「うん、いいよ。安物だしセンスのない僕が選んだものだから気にいるかどうか不安だけど」
僕が葉子にそう伝えている中、袋から首飾りを取り出し
「ありがとうございます、大切にしますね。あっそれとお願いがあるんですけど」
そう言って僕に背中を向けた葉子は
「つけてもらえますか? やっぱり透さんからもらったもの、最初に透さんにつけてもらえると嬉しいですから」
そう僕に尋ねてきた。そんな葉子に近づいて僕は首飾りをつけてあげた。すると葉子は僕の方へ振り向いて
「どうですか? 透さんからのプレゼント。似合ってます? 」
そう言って僕に微笑む笑顔はとてもとても輝いているように見えたのだった。
「うん、似合うね」
「いいなあ……私も透くんに首飾りつけてもらいたいなあ」
そんなやり取りをしていた僕たちに聞こえてほしくない声がなぜか聞こえてきた。だから僕たちふたりは思わず声の方を振り向いた。すると翔と柚が電柱の影に隠れてこっちを見ていた。
「ってなんでいるんだよ。母さんと片付けじゃなかったのかよ」
と僕がふたりに文句を言うと
「そりゃ逃げるだろ」
「ねー」
とふたりは当たり前のように言う。僕は呆れたようにふたりを見た後、葉子を見るが全く不機嫌そうな顔はしておらず、逆に
「翔さん、柚さんありがとうございます。透さんからプレゼントを受け取る時間は邪魔せずに居てくれたんですね。嬉しいです」
とお礼を伝えていた。それを聞いた僕は「え? 」と驚きふたりに振り返ると少し照れた顔で翔は頭をかき、柚はそっぽを向いていた。その様子を見て僕が渡すのをふたりは待っててくれたんだってさすがの僕も気づいてしまう。
そしてそんなふたりを見て僕は嬉しくなった。さすが僕の幼馴染だって。いつも無茶ばかりしてくるけれどちゃんと考えてくれているんだなって。
ふたりを見て僕は思わず笑ってしまい、そして
「はははっ翔、柚ありがとう。やっぱりふたりは僕の幼馴染だよ」
と僕もふたりにお礼を言うと
「はははっ気にすんな」
「今度私にもちょうだいね」
とふたり照れを隠しながらも笑って僕に答えたのだった。
幼馴染よごかんべん。そして張り合う年上の彼女 ここです。 @kokotangpu
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