クリスマス会開始編【特別編02】
冬休みに入り今日はクリスマス。僕の家でクリスマス会をすることになっている。葉子と幼馴染ふたりはもう揃っていてそろそろ開始しようとしていた。ちなみにケーキや料理は僕の母さんが毎年作ってくれている。面倒くさいと言われそうなのだが毎年のことなので母さんも準備に関しては諦めていた。「はいはい、今年も私が作るのね」と。
母さんがテーブルの上に料理を用意して戻っていくかと思っていると、なぜか座り込んで幼馴染をじーっと見ていた。そんな母さんに
「透の母さん……なんで俺たちふたりをそんなに睨んでるの? 」
「うんうん、なんか怖いよ? 」
と翔と柚はいつもと違い不自然な僕の母さんを見ながらそう言った。すると
「あのさ、なんであんたたちふたりがいるのよ? せっかくのクリスマスなのになんでふたりきりにしてあげないのよ」
とどうも幼馴染ふたりが居ることが不服らしかった。そんな母さんにふたりは
「ふたりより4人のほうが楽しいのに何言ってんの」
「透くん独り占めとかさせるわけないじゃないでしょ? 」
と僕の母さんに言い返していた。このやり取りはほんといつもどおりだなと思っていると
「はぁほんとこのふたりは。にしても透、あんたこのままでいいのかい? 」
と今度は僕にターゲットになってしまったようだ。そりゃこのままじゃ駄目だって分かってるけどさ……なんて考えていると
「お義母さん、大丈夫ですよ。今年は駄目でしたけれど来年は頑張りますから。とりあえずは今年は4人で楽しみます」
と葉子が僕をフォローしてくれていた。それを聞いた母さんは
「透、あんたいつか捨てられるかもよ? 」
と怖いことを言って僕を脅してくる。いや確かに僕がだらしないせいで葉子を困らせていることは分かっている。分かっているんだ。でも今まで離れられなかった僕がすんなり出来るかと言うと……今の僕じゃ無理だなとしか思えなかった。そんな考え込んでしまった僕をかばってか
「いえ私が捨てられることがあったとしても、私から透くんを捨てたりなんてしませんよ」
葉子は僕の母さんにそう宣言していた。真剣な顔で。それを見た母さんは
「はあ……あんたこれだけ良い娘と居るんだからもっと頑張りなさいよ。はぁ今日はもう黙るよ、白井さんに免じてね」
と言った後立ち上がり
「何かあったら呼んでよ。出来ることはするから。白井さん、こんな馬鹿な息子だけどよろしくね」
と母さんは最後に言い残し台所へと消えていったのだった。
俺にターゲットが移ったからか幼馴染は黙って様子を見ていたようで、それが終わったのを見るや
「やっぱ透の母さんつえーな」
「透くんの母さん、ほんとパワフルだよね」
とふたり僕たちふたりにそう話をかけてくる。僕はそんなふたりを睨みながら
「翔に柚……上手く逃げやがって。はぁ……まあ始めようか。せっかくのクリスマスだし。ならみんな持って」
とみんなに伝えクラッカーをもたせる。
するとまずは翔が「メリークリスマス! 」と言いながらクラッカーを鳴らし次に柚も同じように告げた後クラッカーを鳴らす。葉子はよく分かっていなかったので僕は
「葉子、「メリークリスマス! 」と言った後にクラッカーを引っ張って鳴らして」
と耳元でそう伝えると葉子も「メリークリスマス! 」と言いクラッカーを鳴らすことが出来た。そして
「みんなしっかりと楽しもうね、メリークリスマス! 」
そう言って僕が最後にクラッカーを鳴らしてクリスマス会が開始されたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます