クリスマス予定立てます編【特別編01】
もうすぐクリスマスが近いというある日、昼休み4人で昼食を食べていた。
「そういえばもうすぐクリスマスだね。今年もいつもどおりのクリスマスでいいかな? 」
そう柚がみんなに尋ねていた。けれど一緒にクリスマスを過ごすことが初めてな葉子は
「えっと毎年なにか皆さんでされているんですか? 」
疑問を持ったそんな顔で僕たちに尋ねてくる。
「毎年、透の家に集まってクリスマス会だな」
そんな葉子に翔が答える。すると
「残念でした。白井先輩に透くんを独り占めになんてさせませんよーだ」
と柚はなぜか張り合うような口調で葉子に告げた。
「なんで邪魔をするんですか? 私と透さんは……こ、恋人同士なんですからふたりきりになったって良いじゃないですか? 」
そんな柚に負けじと葉子は言い返す。けれど柚は
「そんなの甘い! 幼馴染には勝てませんよ」
と理由わからないことを言って葉子に応戦。というかなんで恋人が幼馴染に負けるんだよ。
「はぁ……やっぱり駄目ですか。このふたりを欺くにはどうしたら良いんでしょうねえ」
なんてことをいいながら僕の顔をチラチラと見てくる葉子。この視線は透さんもなにか言ってよという視線。うーん、今更僕が何を言っても聞かないんだよ、このふたりは。葉子、諦めてくれ。
葉子のチラチラにビクつきながら僕はそんなことを思っていると
「なら決まりね、3人でクリスマス会ね! 」
柚が元気よくそう告げた。あれ?
「いやいや4人だろ? 」
思わず僕がそう伝えると
「え? 白井先輩も来るの? ふたりきりになれないって膨れていたから来ないかと思ってたよ」
と柚は平気な顔してそんなことを宣ってくれた。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さいよ。行きますよ、私も。ほんと怖いですわね。ちょっとした隙に私をのけ者にしようとするんですから」
と葉子もまさか仲間はずれにされそうになるとは思って無く、慌ててそうみんなに告げた。
「そう? 来なくても良かったんですよ? 3人で楽しみますからねー。翔、透くん」
とまだ意地悪をする柚に僕は
「柚、もう止めよう? 僕の彼女なんだから一緒に過ごすんだよ」
流石に見てられないともうやめるように促した。それを聞いた柚も
「白井先輩、透くんごめんなさい。やりすぎたわ。ほんとごめんなさい」
言い過ぎたと思ったようできちんと謝ってくれた。柚はすぐ調子に乗るから困ったものだ。
「いえ、大丈夫ですよ。これくらいなんてことないです。透さんと居るためならば」
その言葉に対して気にしないと言ってくれる葉子。
「ごめんな。僕がなさけないばっかりに迷惑ばっかり掛けて」
そんな葉子に僕は一言謝っていた。どうしても幼馴染と離れられない情けない僕だなと思いながら。
「ううん。気にしないでください。透さんは優しいから突き放すことがなかなか出来ないって前から見ていて分かっていますから。私は負けませんよ」
そう言って微笑んでくれる葉子。そんな中
「はいはい、もう不毛な争いはやめよう。みんなで透と過ごすってことでいいだろ? さてと何をするか考えないとだな」
と翔は言い争いを終わらそうと話を切ってくれたのだが……うーん。なんなんだろ、この違和感。大体柚と翔は恋人同士なんだから別に一緒じゃなくていいだろ?
「なあ。柚と翔は恋人同士なんだからふたりで過ごしたいとか思わないのか? 」
と僕がふたりにそう尋ねると
「ふたりより3人だろ? 幼馴染だしな」
「そうよそうよ。あっ違う、今年から3人プラス1だね。よろしくね、白井先輩」
といつものようなそんな返しが返ってきた。ほんとこのふたりは……
そんな中僕は葉子の顔をちらっと見て思う。僕もいつかは葉子とふたりで過ごせるようになりたいなあとは思っている。それがいつになるかは……わからない。情けない話なんだけどね。ほんとどうやって逃げたらいいんだろうか。
そのきっかけが掴めるのは、さていつになるんだろうね。
僕がそんなことを考えているその横で葉子は僕の方を見てニコっと笑った。そして
「今は4人ですけれどいつかはふたりきりでクリスマスを過ごしたいですね。頑張ってくださいよ、透さん」
葉子にそんなことを僕は言われてしまうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます