しおみず
はぅる
第1話
私の家の塩水は他の家とはちょっと違う。
「おかぁさ~ん!!しおみずつくって!」
娘がキラキラした眼で私に飛びつき、塩水を作るように言ってきた。
私は娘の眼をきちんと見るために屈んで、
「誰にも言っちゃ行けないって言う約束は守れてる?」
私がそういうと娘はキラキラさせ続けてる眼をより一層キラキラさせながら
「ちゃ〜〜んとまもってるよ!ゆびきりげんまんしたもん!!」
と私に再び抱きつき大きな声を出して言った。
「ちゃんと守れてるんだね。えらいえらい!
よ〜し!お母さんちょっと頑張っちゃうね!」
と二人で台所に向かい少し私は小さいお鍋を出した。すると
「おかあさん!おかあさん!きょうはおっきいのなの!?」
と、興奮したようにジャンプをし始めた。
「危ないからじっとしててね。」
そう私は言って鍋に水を注いだ。その時に少し水面に触れながら。
ふと隣を見ていると待ちきれなかった娘がすでに塩を用意していたようで、
「おかあさん!しお!よおいしといたよ!!」
「ありがとうね。じゃあ行っくよ~!」
私が水に塩を鍋に入れ、かき混ぜた瞬間
「ボコボコボコボコッッ!!!」
大きな音を立てて水が渦を巻き始めた。
娘の興奮は最高潮に達し、私の周りをクルクルと回っていた。
「おかぁさん!!きょうはなにがきてくれるかな!!」
「なんだろうね~」
すると渦が消え、鍋には小さな稚魚が5、6匹ぷかぷかと優雅に美しく泳いでいた。
「わぁ~~!!!
これなんのおさかなさん?」
「なんだろうね~?」
「なんでもいいや!!
おかあさんありがとう!」
娘がキラキラとした眼でそう言い、はしゃいでいた。
そう。
私の家の塩水には魚が現れるのだ。
しおみず はぅる @0ha3u1ru2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます