男なのに乙女ゲームのヒロインに転生した俺の味方は、悪役令嬢だけのようです ~ぐいぐい来すぎるイケメン達にフラグより先に俺の心が折れそうなんだが~
337 こんなに気品に満ちあふれるギャルソンがいてたまるかっ!
337 こんなに気品に満ちあふれるギャルソンがいてたまるかっ!
「そうなんですね。私もディオス先輩のほうが嬉しいです」
「ハルシエル……!」
微笑んで伝えると、ディオスの顔がうっすらと赤く染まった。
「俺も、きみをエスコートできて嬉しいよ」
きらめくような甘やかな笑みに、ぱくりと心臓が跳ねる。
い、いやっ! 急にそんな笑顔は反則だからっ!
初めて見るギャルソン姿のせいか、なぜか妙にどきどきする。
ディオスはもともと生徒会メンバーの中で一番身体つきがたくましいし、白いシャツの上からでも鍛えられた体格がよくわかる。モノトーンの服に赤毛と緑の瞳がよく映えて……。
同じ男子高校生の俺でも、思わず見惚れてしまうような男ぶりだ。
それをいうなら、悔しいことにヴェリアスも紅い瞳と焦げ茶の髪にモノトーンという組み合わせがあつらえたようにお洒落だし、
リオンハルトにいたっては、ギャルソン姿をしているにもかかわらず、あふれる高貴さのせいで、むしろもてなされる側にしか見えない。
こんなに気品に満ちあふれるギャルソンがいてたまるかっ!
ウェイターやウェイトレスに扮する生徒がいるとは聞いていたけど、まさかリオンハルト達がするなんて、完全に予想外だったぜ……っ!
準備があると言って先に行ってたのは、着替えるためだったのか……。
っていうか、いくら文化祭とはいえ、第二王子様に給仕なんてさせていいんだろうか……? たぶん、本人が希望したんだろうし、OKなのかな……?
食堂中の視線を集めながら、リオンハルト達がエスコートしてくれたテーブルは食堂の中央にある大きめの円形のテーブルだった。
どう考えても食堂で一番目立つ位置だ。
いや、このメンバーでいたら、どのテーブルについても注目の的だろうから、いっそのこと一番見やすいテーブルに座るのは周りにとってはいいんだろうけど……。
改めてイケメンどもの人気の高さを実感する。
姉貴だって、どう見ても顔が緩んでるもんなっ! 「いつもの学園の制服とはまた違うギャルソンの制服……っ! いいっ! これはいいっ!」とかなんとか、脳内で萌えまくってるに違いない。
ちなみにシノさんは「わたくしが皆様と一緒にお食事なんて恐縮してしまいます」と遠慮したため、食堂の入り口でいったん別れている。
どうせ、どこからか俺達のことを録画してるに違いないけどなっ! 俺のお小遣いを全額賭けたっていいぜっ!
「どうぞ、お嬢様」
テーブルまでエスコートしてくれたディオスが恭しく椅子を引き、柔らかな笑みを俺に向ける。
お、お嬢様って……っ! なんかいつも「ハルシエル」って呼び捨てにしてるディオスに改めて言われると、破壊力がすごいんだけど……っ!
「あ、ありがとうございます……」
椅子を引いてくれるレストランに行った経験なんてほとんどない。
おどおどしながら椅子に腰かける。
ん? 俺の両隣は空席だけど……? どうせなら、イゼリア嬢のお隣が空いてるからそこがよかった……っ!
対面に優雅に座るイゼリア嬢を見ながら、今からでも席替えを願い出られないかと思っていると、一度、厨房へ引っ込んでいたリオンハルト達が銀のお盆を持って現れた。
「申し訳ありません。さすがに食堂の規模でフルコースを振る舞うには場所と時間が足りず、ワンプレートランチなんです」
リオンハルトが申し訳なさそうに姉貴に説明しながらディオス達と一緒に、テーブルに水のグラスや料理の皿をサーブしてくれる。
確かに、リオンハルトが言うとおり、ただでさえ文化祭で来校者も多いのに、フルコースなんて振る舞ってたら、席がいくつあっても足りないよな……。
「わぁ……っ!」
ディオスが目の前に置いてくれた皿を見て、俺は思わず感嘆の声を上げた。
ワンプレートランチって言っても、別でスープとサラダとパンがついてくるし、メインの皿は真ん中にステーキがのってるし、周りに何種類もの料理が配されててメチャクチャ豪華なんだけどっ! さすが、セレブ校……っ!
まるで、白いお皿をキャンパスに、料理で絵画を描いたかのような美しさだ。
芋やきのこ、
まじまじと料理に見惚れていると、かすかな音とともに、俺の両隣にディオスとヴェリアスが座った。イゼリア嬢の隣の空いた席にはリオンハルトが座っている。
あ、なるほど。最初の給仕だけしたら、リオンハルト達も一緒に食べるのか。
さすがに、リオンハルト達に給仕をさせて俺達だけ食べるのは気まずいから一緒に食べるのは全然いいんだけど……。
なんでディオスとヴェリアスに両側を挟まれないといけないんだよっ!?
ディオスはともかくヴェリアス! 絶対に余計なことをして、せっかくの豪華ランチが楽しめなくなりそうなんだけどっ!
こんな豪華なランチ、オルレーヌ家じゃ滅多に食べられないんだから邪魔すんなよっ!?
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