イゼリア嬢とデートなるか!? 今日だけの限定イベント目白押しな文化祭当日編!
315 文化祭当日の朝
「よーし! 今日こそイゼリア嬢の好感度をぎゅぎゅんと上げてみせるぜ……っ! 頑張れ俺っ!」
朝、聖エトワール学園の制服に着替えた俺はハルシエルの部屋でひとり気合いの
今日は文化祭当日の土曜日。
夕べはクラス展示にイゼリア嬢をご案内できるんだと思うと、興奮してなかなか寝つけなかったが、興奮してごろごろしていたのが、いい運動になったのだろう。いつの間にか寝入っていた。幸い、かなり早くベッドに入ったおかげで、寝不足という感じはしない。
目覚めもすっきり起きられたし、体調はばっちりだ。
ここ数日、学校の休み時間や帰宅してから、『ラ・ロマイエル恋愛詩集』も暗記するほど何度も読み返して、復習もばっちりだからな! 案内中、イゼリア嬢にどんな質問をされても華麗に答えてみせるぜ!
大事な今日を乗り越えるためには、まずはしっかり栄養補給をしないとなっ!
マーサさんのおいしい朝ごはんを食べようと廊下に出たところで、ちょうど同じタイミングで自室から出てきたロイウェルと出くわした。
「おはよう、姉様! 今日はついに文化祭だね!」
にこっ、と天使みたいな可愛い笑顔でロイウェルが挨拶してくれる。
「おはよう、ロイウェル。そう! ついに文化祭当日よ! 今日はいろいろ頑張らなくっちゃ!」
イゼリア嬢と一緒に文化祭を回って青春の一ページに残る素敵な思い出を作るとか、イゼリア嬢の好感度を上げるとか、イゼリア嬢のオデット姫をこの目に焼きつけるとかっ!
「こんなに『ラ・ロマイエル恋愛詩集』についておくわしいだなんて、オルレーヌさんを見直しましたわ。今度、わたくしと二人っきりでの朗読会なんていかが?」
なんてイゼリア嬢にお誘いいただいたりしちゃったら、俺……っ! 喜びのあまり、昇天しちゃいそうですっ!
ふだんのイゼリア嬢だったら、そんなことはおっしゃらないだろうけど、今日は文化祭という非日常っ! もしかしたら万に一の可能性がないとも限らないっ!
文化祭なんて、もう、イベントのお祭りといってもいいくらいだもんなっ!
ほんと、今日に俺の全力を賭けるしかないっ!
何より、イゼリア嬢が主役を演じられる『白鳥の湖』の本番があるし!
イゼリア嬢のオデット姫を引き立たせるために、俺は全力で悪役の黒鳥オディールを演じてみせる……っ!
「姉様、すごいやる気だね! 僕も早く『白鳥の湖』を見たいなぁ。姉様のクラスの展示も楽しみなんだ!」
ロイウェルがわくわくしてたまらないと言いたげな表情を浮かべる。
くぅぅっ! ロイウェルってば可愛いなぁ〜っ!
「展示を楽しみにしてくれているのは嬉しいけれど、出店も楽しみにしてね! 一年生は展示だけど、二年生は出店をするの。出店っていっても、一流シェフが腕を振るうらしいから……。たまには
出店と言ってもそこはやっぱりセレブ校。
俺のイメージでは、文化祭の生徒が家庭科室を借りたり携帯コンロを持ち込んだりして、生徒自らが調理をするもんだと思ってたんだけど……。
聖エトワール学園では、プロのシェフを呼んできて調理してもらう。来場者の料金は招待状に各出店の引き換え券が入っているので無料だ。
ロイウェルだけでなく、ランウェルさんとマルティナさん、それにマーサさんも文化祭に来てくれることになっているから、今日はぜひともいろいろ楽しんでもらいたい。
ちなみに、シェフに料理を作ってもらって、生徒は何をするかというと……。
ウェイターやウェイトレスを担当するのはごく一部の生徒で、後は出店のコンセプトを企画したり、予算や集客の算段を考えたりと、主に企画運営に携わるので、二年生になると文化祭当日は比較的暇らしい。出店を機会に、経営の基本などを学ぶというのが、いかにも上流階級の子弟らしいと、初めて聞いた時にはびっくりした。ちなみに、三年生になると、舞台を使っての催しが主になるらしい。
とはいえ、「ふだんの生活では、絶対にしないウェイトレスの仕事をしてみたいですわ! あの制服を一度着てみたかったんですの!」
と、ウェイターやウェイトレス役を喜々としてやる生徒も一定数いるらしいが。
もし、来年、イゼリア嬢がウェイトレスを担当なんてなさったりしたら……っ!
ふだんは決して見られないイゼリア嬢のミニスカート姿が見られちゃうかもっ!?
夏の旅行の時に水着姿でお美しいおみ足は拝見したけど、やっぱりミニスカートからすんなり伸びる白い足は別格だよなっ!
フリル付の白いエプロンをつけたミニスカートイゼリア嬢とか……っ! 超レア! 激レア!
うぉおお! 何としても見てみたい……っ!
もしかしたら、来年は同じクラスになれる可能性もあるかもしれないし……っ! そうなったら俺も一緒にウェイトレスをやるんだ!
ミニスカートはちょっと抵抗があるけど、イゼリア嬢のミニスカート姿を見るためならば、ささいな犠牲っ!
むしろそれをきっかけにイゼリア嬢とさらに仲良く――、
「姉様、どうしたの?」
「え……っ!? あ……っ」
イゼリア嬢のミニスカウェイトレス姿を想像して萌えていた俺は、ロイウェルの不思議そうな声にはっと我に返った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます