第6話

 バク転ができるようになると勢いそのままにバク宙を覚えようとするのは当然だろう。後ろ向きに跳んだあとに着地するまでの間、手を着くか着かないかぐらいしか差が無いのだからこれは何もおかしいことではない。しかし、同じように見えて実は明確に違うところがあるのだ。それがはっきりわからないとバク宙ができない、またはできるようになったとしてもその後バク転を行うとできなくなるという現象に陥るのである。これを技が狂うという。体操選手なら一度技ができるようになった後さらに難しい技に挑戦しようとしたりだとか、同じ技でもさらに完成度を高めようと考えて突き詰めようとすると元々できていたことすらできなくなるようなスランプになってしまうということは多々ある。それの最初のステップがこのバク転とバク宙のところだとも言えよう。さてここでこれから彼らがどうするかが最初の課題だな……。


「えぇー、なんでぇえええええええええええええええ!?」


「おいおい、どうしたんだよ、さっきまであんなに余裕でやってたじゃんか、真面目にやれよー?」


「んなこと言われなくてもわかってるよ、でもできないんだってー……」


そうそう、悩み苦しむが良い、そうやってみんな成長していくのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役令嬢コーチ ニート @pointinline

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る