第25話 脇腹
さっそくリーダーが戦国のヤリで突いてきた。
あぶねえ、狙いは俺の胴体だ。
俺はゾンビスーツを着ているから手足を狙いにくいんだろう。
もしヤリで足を刺してもゾンビ皮を破いただけなんてことも考えられる。
ゾンビスーツの頭はゾンビヘッドだから突いてもノーダメージ。
だから消去法でリーダーは胴体を突いてくる。
胴体なら的がデカいので当てやすく一突きで内臓までの致命傷が期待できる。
俺は数回、物干しざおで払いのけたがリーダーの突きが正確になってきた。
ビュッ ビュッ ビュッ
ついにリーダーのヤリが俺の脇腹をかすめた。
この時を逃してはならない。
俺は左手でリーダーのヤリをつかんでワキで挟んでつかまえた。
リーダーはグイグイとヤリを引き戻そうとするが絶対に負けられない。
脇腹に冷たい感触があったが痛みは少ない。
俺は左手で相手のヤリをつかんだまま右手の物干しざおを横に振った。
オラぁ!リーダーさんよ!このヤリは絶対に!返さねえぞ!そして右手の物干しざおを!テニスのフォアハンドのように!叩きつけてやる!絶対に逃さねえぞ!オラぁ!オラぁ!リーダーよ!後ろを気にしてんのか!逃げてみろこの野郎!お前が手を放して予備のヤリを取りに後ろに下がった瞬間に!頭に物干しざおを叩き下ろしてやる!逃げてみろモヒカン野郎オラぁ!今度は距離をつめようと前に来たな!オラぁ!腹への!前蹴りで!物理的に!後ろに!下げてやるぞ!オラぁ!
リーダーは前にも後ろにも逃げられなかった。
ヤリを離すこともためらったリーダーは俺のフォアハンドを受け続けた。
このステンレス物干しざおは先端にオモリを入れている。
ドアが施錠されている場合にドアノブごとぶっ壊すためだ。
うまく当たればドアノブがボコっとめり込んで破壊できる。
右手が疲れてきたから物干しざおを右ワキに挟んで体のひねりで何度も叩きこんだ。
すでにリーダーの左腕は物干しざおへの防御でグニャリとしてる。
骨折や脱臼で変な感じで曲がって出血している。
リーダーは頭に物干しざおが当たると失神すると知っている。
だから強引にグニャった左腕をあげてブロックし続けた。
俺は頭部へ叩きこむフェイントを使って足を攻撃した。
ヒザ関節に数回叩きこむとリーダーは苦しそうにあおむけに倒れた。
リーダーはグニャっとした左腕を気合いだけで持ち上げている。
その左腕は肩を支点として赤いゼリーのようにしなっていた。
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