第24話 ヤリ

タバコを吸い終わったリーダーは立ち上がって歩いて距離を取った。

少し離れた場所の金網を越えてくる気だ。

ヤリを金網の網目からこちらゾーンに入れているのが見える。

俺も三本のヤリを持っているので武器を装備することにした。


リーダーのヤリは全て博物館からパクッてきた戦国時代の合戦用だろう。

先端に刃物がついている。

俺のヤリは三種類。

まず固いパイプの先に包丁を固定した自作ヤリ。

次にパイプの先にトゲトゲのバラセンを巻いたヤリ。

ラストはステンレス物干しざおに重りを入れた棒。

この棒は施錠されたドアノブを壊す時に使っている。

遊水池のフェンスのカギを壊すために持ってきた。


さっきタバコを吸っていた時にリーダーの服を観察していた。

リーダーは革ジャンの下に何か着こんでいる。

手にはケプラー繊維の防刃手袋が見える。

なるほどホームセンターだな。

リーダーは刃物を手で防御するために防刃手袋をはめている。

すると革ジャンの下も特殊な防刃服を着ているかもしれない。

もしホームセンターに無ければ大量の防刃手袋を裏地に縫い付ける。

俺ならそうする。


卑怯だぞモヒカンリーダー、防刃服を着ていればヤリの先の刃物で突いてもダメージ入らねえじゃねえか俺も防刃服を着て来れば良かった卑怯だぞモヒカンリーダー、突きと斬りが使えない今、勝てるのか勝つしかないしこの先生き残るには勝つしかないがダメージが与えられそうにない、ナイフでモヒカン頭をブスリいくか、しかしポケットのナイフを出して接近するまでにモヒカンのヤリが俺のボデーにブッスリ刺さってしまう・・モヒカンのヤリってカッコ良い響きだなモヒカンのヤリって・・待て待て待ちたまえよ今そんな事を考えている時か?俺は馬鹿なのか死ぬのか。


モヒカンリーダーが金網を越えてこちらに近づいてきた。

手には戦国のヤリを一本持っているのが見える。

俺も武器を手にしなければ。

パイプの先の刃物もバラセンも無意味ならステンレス物干しざおしかない。

俺は重りを入れた物干しざおを一本、手に持って構えた。

邪魔にならないようにお互いに金網から離れるとリーダーが先に動いた。







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