第20話 果たし状

「リーダー、そうだとすると敵はゾンビの群れの中を動いてますね。」

メンバーの魔叉覇琉マサハルがそう言ってきた。

俺もマサハルと同じ疑問を感じていた。

回収してきたトラックや遺体を確認した結果そういうことになる。

現場にはナオユキとヨシヤ以外に人間がいて、そいつが犯人だ。

まずトラックの下に犯人が入り込み車体をガンガン叩いて音を出した。

音で集まったゾンビに囲まれた時の対応は俺が教えていた通りだ。

車の窓を閉めてロックしていれば数時間でゾンビたちは去って行く。

ゾンビカーなら窓を割られる事もない。

しかし敵はゾンビ皮を固定しているロープを切ってきた。

ゾンビの群れの中で動ける人間がいるのか?

自爆攻撃だとしても六本のロープを切る間にゾンビに襲われる。

そもそも自爆攻撃してくるような狂人はここまで生き残っていないぜ。


初めてさらった女は裸のまま外に逃げてった。

ゾンビに噛まれて今もどこかをウォーキング。

次の女はユウジが惚れて駆け落ち未遂。

モヒカン族に女はいらねえ。

団結していけモヒカン野郎。

花より団子。

花は団子を食べまくる。

泣きわめくガキを作ってどうなるもの。

ゾンビが集まってくるだけだもの。

モヒカンだもの。


今日から市内見回りを再開することにした。

ナオユキたちを襲った敵の正体がまだ分からない。

あぶねえから車両二台で巡回させる。

車両二台で計四人を出す。

この食品倉庫も守るためには見回り四人が限度だ。

無線は常にオープンにしておく。

そして主な交差点に目立つように果たし状を置いておく。

市内を動くにはこの交差点を通らなければ話にならないポイントだ。

果たし状で犯人とのタイマン勝負を申し込むことにした。

味方の人数はこちらが多いはずだから、条件は相手に決めさせる。

譲歩しなけりゃ敵は逃げちまう。


(果たし状

ナオユキとトオルを殺った犯人に告ぐ。

決闘の場所と日時、条件を指定してこい。

こっちはリーダーひとりが戦う。

もしタイマンでお前が勝てばそれ以上の追跡はやめる。

もし勝負を逃げればメンバーが地獄の底まで追うぜ。

モヒカンチーム リーダー)






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