第18話 返事

血の気の引いた七生逝貴ナオユキがゆっくりと歩いていた。

「ナオユキ!」

ナオユキの肩の噛み傷から赤黒い血が流れていた。

ゾンビに噛まれたと見るのが自然だ。

「ナオユキ!  返事しろ!」

俺が呼びかけてもナオユキからの返事は無かった。

ゾンビはしゃべれないからナオユキはすでに・・・。

「お前ら、まわりを見張れ!」

俺は短めのヤリを持って車を降りた。

「ナオユキ!  返事しろ!」

ナオユキは真っ白な顔をコチラに向けたが返事はない。

音に反応してるだけだ。

仕方がねえ。

やるぞ、ナオユキ。

俺はナオユキの頭のこめかみ部分をヤリで貫いた。

ナオユキはガクンと脱力した。

倒れないように俺が抱きかかえると、そのまま動かなくなった。

「ナオユキを連れて帰る! 手を貸せ!」


俺の車両にナオユキを乗せて、もと来た国道を皆で帰り始めた。

国道沿いのビルの窓ガラスが冬の弱い日差しを反射して車内を照らした。

車の走行に合わせてビルの反射光がチカチカとまぶしい。

ルームミラーに映る白い顔のナオユキは後部座席に横たわったまま。

ナオユキの指には少し前に俺が譲ったスカルのリング。

そのシルバーのスカルが一定のリズムで冬の光に返事をしていた。




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