第18話 返事
血の気の引いた
「ナオユキ!」
ナオユキの肩の噛み傷から赤黒い血が流れていた。
ゾンビに噛まれたと見るのが自然だ。
「ナオユキ! 返事しろ!」
俺が呼びかけてもナオユキからの返事は無かった。
ゾンビはしゃべれないからナオユキはすでに・・・。
「お前ら、まわりを見張れ!」
俺は短めのヤリを持って車を降りた。
「ナオユキ! 返事しろ!」
ナオユキは真っ白な顔をコチラに向けたが返事はない。
音に反応してるだけだ。
仕方がねえ。
やるぞ、ナオユキ。
俺はナオユキの頭のこめかみ部分をヤリで貫いた。
ナオユキはガクンと脱力した。
倒れないように俺が抱きかかえると、そのまま動かなくなった。
「ナオユキを連れて帰る! 手を貸せ!」
俺の車両にナオユキを乗せて、もと来た国道を皆で帰り始めた。
国道沿いのビルの窓ガラスが冬の弱い日差しを反射して車内を照らした。
車の走行に合わせてビルの反射光がチカチカとまぶしい。
ルームミラーに映る白い顔のナオユキは後部座席に横たわったまま。
ナオユキの指には少し前に俺が譲ったスカルのリング。
そのシルバーのスカルが一定のリズムで冬の光に返事をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます