第17話 交差点

ナオユキとトオルが帰ってこないから今朝から捜索を出した。

俺たちの喪火冠モヒカンチームは仲間を見捨てない。

捜索にはユウジとマサハルを出した。

ゾンビ皮をぶら下げたワゴン車でゾンビよけをしながらだ。

一時間ほどでユウジから無線が入った。


「こちらユウジ、ナオユキたちのトラックを見つけました。どうぞ。」

「こちらリーダー、ナオユキたちは見つかったか?どうぞ。」

「こちらユウジ、2人の姿は見えません。」

「こちらリーダー、応援を送るから待機してスマホで撮りまくれ。」


食糧倉庫からユウジたちの応援にライトバンを出すことにする。

このライトバンにもゾンビ皮をぶらさげて奴らの接近を防ぐ処理がされている。

リーダーである俺と車両に詳しいヨシヒコが行くことにした。

ヨシヒコは修理工場で働いていたから車に強い。


ゾンビ皮が風になびいて、ビタンビタンと哭いている。

こんなヤバイシーンは特典映像にも入らねえよ。

さえねえな。

前世かな。

カルマかな。

呪いだとしたら解けないレベルのエグいやつ。

ゾンビ皮が哭いている。


無線で伝えられた交差点に到着するとナオユキたちのトラックが見えた。

フロントガラスが破られていて中は無人であるとすぐに分かった。

そして車外にゾンビ皮が落ちている。

ゾンビに囲まれたか?

「ユウジ!マサハル!どうだ!」

「トオルだけ見つけました!リーダー、こっちです!」


ピックアップトラックのすぐ後ろにトオルの頭が落ちているのが見えた。

ユウジたちは俺が到着するまで現場を荒らさずにいた。


「写真撮ったらすぐにトオルをこの袋に入れてやれ!」


俺は持ってきた袋にトオルの頭を入れさせてライトバンに積んだ。

ヨシヒコにピックアップトラックの具合を聞くと故障では無いと言う。

事故ではない。

車内にも無線機が残されていた。

トラックをヨシヒコに運転させていったん帰ることにする。

ゾンビ皮が無くなっているとはいえ、走行中はゾンビに襲われにくい。

ヨシヒコを前後から守るように挟んで帰るだけなら大丈夫だ。

もう天気が崩れ始めている。

暗くなってトラブったらどうなるか分からない。

国道沿いに本部まで帰る途中で歩道にモヒカン頭が見えた。

「リーダー!あれナオユキです! ナオユキです!」




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