第16話 リーダー

俺のチーム内での名前は「理良堕亜リーダー」だ。

男だけのチームには現在、俺を含めると11名のメンバーがいる。

俺たちメンバーは全員固い結束でサバイバルをしている。

その結束の象徴がこの髪型。

俺も含めてメンバー全員がモヒカンにしている。

ゾンビだらけの狂った世界なら当然髪型はモヒカンだろう。


モヒカンの良いのは対人間の実質的な面もある。

まず七三分けのA君とモヒカンのB君が立っているとする。

どちらが強盗に襲われやすいか?

七三分けのA君だ。

モヒカンは遠目にも危ないヤツだから簡単には襲われない。

他にもメリットはたくさんある。

もし敵が俺のチームを偵察に来たとする。

全員モヒカンだから人数が把握しにくい。

チーム全員を並べて数えでもしなければ俺たちの全体数がバレない。

あれ?このモヒカンさっきのモヒカンと同じだっけ?

いやまてよ、似ているが服を着替えただけの同じモヒカンかもしれないぞ。

一体この市内には何人のモヒカンがいるんだ?

という具合に髪型ひとつで敵をかく乱できる。

逆に俺たちメンバー内では顔で見分けられるから遠目でも誰か分かる。

俺たちのチームは市内の食品倉庫を要塞化して暮らしている。


食品倉庫に路線バスを横付けしたオモチャみたいな俺たちの家。

ジッポは増えたがゾンビは減らない、このブループラネット。

絶滅危惧種の俺たち、誰か助けてエイリアン。

ナッツくせえ一日がまたやってくる。

クジ運が悪いぜ。

最初は中国の肺炎だったんdeath変異。


きのう夕方に見回りに出たナオユキとトオルがまだ帰ってきていない。

夜間はさすがにゾンビが見えずらく危ないので捜索できなかった。

今朝、夜明けと同時にナオユキとトオルの行方を探すことにする。

ナオユキ達は市内の決まった巡回ルートを車両でまわるだけだった。

そう遠くには行っていないはずだし探しやすいだろう。

二人のピックアップトラックもゾンビ皮をぶら下げている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る