第14話 モヒカン

ピックアップトラックに近づくとモヒカンが車内からヤリで突いてきた。

ヤリはゾンビスーツの頭部を貫通したらしくベキッと音がした。

またヤリが来る!

俺はダッキングで腰を沈ませて避けようとした。

ヤリの先端は俺の頭のすぐ上に刺さってブチブチと音がした。

先端がゾンビスーツの首を切り裂いたと思った。

俺は倒れる時に三回目のヤリ攻撃を防ぐために車体の下へ潜り込んだ。

ゾンビ・カーの下ならヤリが届きにくいはずだ。

しかしモヒカン族が降りてくるかもしれない。

俺にとどめを刺すなら降りてきて車体の下へ横からヤリを刺せばいいだけだ。

カン、カン、カン、カン。

俺はポケットから包丁を取り出して車体を下から叩いた。

カン、カン、カン、カン。

ゾンビ達がみるみる集まってきた。

これでモヒカンも車外へ出られなくなっただろう。

カン、カン、カン、カン。

もしドアを開ければモヒカンはゾンビに食われてしまう。

俺はゾンビスーツを着ているので安全だ。

カン、カン、カン、カン。


モヒカンの野郎ざまあ見やがれコレで出てこれないだろ何の罪もない可愛いゾンビを急にヤリで突いてくるとはどういう事だ俺の皮狙いか、いや俺はゾンビスーツを着てるからそれがバレたと考えられないかそうなるとヤリでまず頭部を突いてきた説明が矛盾してくる待てよモヒカンは俺のことをゾンビスーツを着た人間かもしれないが風変わりなゾンビかもしれないと判断つかなかった可能性もある、そうならまずゾンビの頭部を刺してゾンビの可能性を消して中の人間を刺す二段構えの攻撃ということはないか中身人間ぽいが普通のゾンビかもしれない攻撃だ。


カン、カン、カン、カン。

ゾンビが100人ほど集まってゾンビカーの周りを取り囲んだ。

すでにモヒカンはゾンビカーのエンジンを切っている。

この場合は車を動かしてゾンビを轢きながら突破する方法がある。

しかしモヒカンがエンジンを切ったということは突破できないということだ。

もし強引に車を動かせば轢かれたゾンビがタイヤにからんで動けなくなる。

カン、カン、カン、カン。

俺は集まったゾンビたちの足の間から抜け出してゾンビカーの上に登った。

やってやる。

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