じんわりと心に染み入る読後感でした。戦争する勇気、それを終結させる勇気。
最初は暗君のお祖父さんだと思っていたレオポルトⅢ世が、こんなに気高い名君であったとは。歴史に埋もれた悲劇の人ですが、少数でも知ってくれている人が居るというのが救いです。そのうち後世の歴史家によって真実が明かされることを祈っています。
そして、テオ~~!
サラマンドラを郵便飛行機に、という言葉を聞いて、ユーリが失笑するシーンがありましたが、実際そうなんですよね。
現代の戦闘機も、役目を終えても誰かに利用されるのは精々、NASAなどの研究機関ぐらいで、極一部。
それ以外は標的無人機にされるか、スクラップか。
ましてや、敗戦国の戦闘機だなんて。
案外、戦闘機というのは儚い乗り物ですよね。
作者からの返信
@flanked1911さん、応援コメントありがとうございます!
お返事が遅れてしまい大変申し訳ありません!
おっしゃるとおり、戦闘機というのは戦うこと以外にはほとんど使い途がないんですね。
大勢の人を乗せることも出来ず、荷物を積むのにも向かず、そのくせ燃費はどんな飛行機よりも劣悪で、整備にも手間がかかるわけですから。
個人的にはこの世で最も用途の限られた、潰しの利かない道具のひとつだろうなと思います。
(もちろん徹底的に無駄を省いたことで生まれる機能美もありますが……)
そして当時のユーリ(ユリアン)も戦うほかに生きる術を知らなかったので、戦闘機と自分自身を重ね合わせていた節はあります。
戦争が終わったら自分も生きる目的を失ってしまうという不安を抱えていた彼にとって、サラマンドラを郵便飛行機にするという荒唐無稽で突拍子もないアイデアは、生きていくための道筋を示してもらえたように感じられたのではないかなあと思います。
次のエピソードはいよいよ最終話となりますので、ぜひぜひお楽しみください!
第一話辺りではなんとなく読み流してしまってましたが、四十ミリ機関砲ってもうA-10神以上のオーバーキル対戦車クソ戦闘爆撃機じゃないですか!(歓喜)
むしろ戦車を撃つべき。
そして、ああ、少女かあ「天才少女」かあ……
でも、テオの中にユーリを通じてレオの意思や願いが引き継がれてるように感じました。名前の響きが似てるのは(偽名でないのなら)いわれなきことではないのだな、と。
作者からの返信
40ミリ機関砲は完全にロマン武装ですね!
大戦中はP-39やホーカー・ハリケーンのように40ミリ前後の大口径砲を搭載した戦闘機もごくわずかながら存在しましたが、今回の話のように対戦車攻撃に使われるとなるとほとんどスツーカかシュトゥルモヴィークか!?といった趣があります。(逆ガル翼もスツーカっぽさに拍車をかけてる気がします…汗)
さすがに40ミリ弾ともなると破壊力も桁外れなので、徹甲弾ならどんな重戦車の上面装甲もアッサリ貫通、炸裂弾(榴弾)なら重爆撃機でも一発で四散させるまさに必殺武器として猛威を振るっただろうと思います。第一話でベルカンプ少尉がサラマンドラに背後を取られてビビり上がったのも無理はないと思っていただければ…。(笑)
そしてテオはここまで性別不詳でしたが、過去編、それも本人の与り知らぬところで明言されてしまいました。ユーリは最初から知ってたので、話し方や服装が女の子らしくなくても「そういう性格なのか」みたいな感じでサラッと流していたんですね。彼はサラマンドラの整備をちゃんとしてくれれば他のことは気にしないというような男なので。(いいか悪いかはさておき…)
レオポルトⅢ世は争いを好まない性格で、前線の兵士が死んでいくことに心を痛める優しい人物でしたが、戦後まもなく若くして亡くなったこともあり、実際の人となりを知られないまま「大竜公国を滅ぼした暗君」というレッテルを貼られてしまっている悲劇の人物だったりします。最強の戦闘機を戦争以外の用途に使うというのはまさに彼の生前の希望そのものなので、レオの遺志はいまもユーリとテオの中に生き続けていると言えるかもしれません。
素晴らしい話でした。
この素晴らしさと特筆すべき良点は、既に先人たる偉大な読者様が、書き記されているので私はあえてココに言及させていただきます。
テオさん、まさかのボクっ娘(大口径モーターカノンの薄殻榴弾による直撃を受けたような衝撃)