ゴルドン軍曹、生きてるだろうなぁ。
海上投下した血清を島に届けた(島までたどり着いた)のが確認できているのなら、彼はそのまま島に残って嵐をやり過ごし、またどこかに飛び立ったか、別の方法で島を離れたか。
きっと、こうだったに違いない、と読み手に考える余地と余韻を残す素晴らしい話でした。ゴルドン氏に敬礼。
作者からの返信
防衛太郎さん、第二話を最後までご高覧いただきありがとうございました!
ゴルドン軍曹の生死はぼかしたまま終劇となりましたが、そのあたりは読者の皆様の解釈に委ねたいと思います。陸上機や艦載機は海への墜落=沈没ですが、いざというときは翼とエンジンつきの船にもなる水上機なら生存の可能性もゼロではない……とお思いいただければさいわいです。逞しい彼のことですから、どこかの無人島に漂着して元気にやっているかもしれません。
今回のエピソードでは個人的に好きな水上機を思う存分描くことが出来て作者としても満足でした。プロローグ・第一話に続いてお楽しみいただけたならなによりの光栄です!
土壇場での見事な主役交代劇、魅せられました。
やはり前に某所でお話した通り、メカ物はそれを動かす「人」と不可分ですね。
それぞれの機体への愛着と信頼、そして相手の技術へのリスペクト。
そして、この話がサラマンドラをめぐるサーガの一挿話であるという比重のちょうどよさも大変絶妙だと思います。続きも楽しませていただきます!
作者からの返信
お読みいただきありがとうございます!
「アヒルたちの栄光」は私も好きな話なので、気に入って頂けたなら大変光栄です!
現実世界でも軍用の小型水上機はWW2の終結から十年ほどで消えてしまったカテゴリなので、このお話にはそんな古きよき時代へのノスタルジーをたっぷり詰め込んでみました。(私が水上機好きということもあります…笑)
超高性能をほこる最新鋭戦闘機サラマンドラと旧式の複葉水上機シードラゴン、そして両機を操るユーリとゴルドンの境遇はまさに対照的で、意地の悪い見方をすれば「月とスッポン」的な表現も出来るんですね。
実際のところユーリも当初はゴルドンと彼の愛機を信用していなかったのですが、嵐の海を飛ぶという困難な任務を通して彼が本当の実力を備えたパイロットであることを理解し、最後には深い尊敬の念を抱くようになりました。ラストシーンのテオとのやり取りでユーリが柄にもなく希望的観測を述べたのは、不器用な彼なりの友情と敬意の表明と解釈することも出来るのではないかなぁと作者としては思っています。
ゴルドン、もしかして一人で任務を遂行出来たのでは。なんてことを思ってしました。そしてその上で上はだれも信用していなくてユーリに依頼したのかなぁとも
作者からの返信
まさにそのとおりです。ゴルドンの技量なら一人で運ぶことも出来たのですが、海軍の上層部は戦時中からの因習で水上機パイロットを下に見ていたのに加えて、「旧式のオンボロ飛行機では…」という不安感からユーリに依頼したんですね。
ユーリは技術的にはベテランで、誰かに教えを請う必要もあまりないのですが、ゴルドンはそんな彼をして畏敬の念を抱かせる稀有なパイロットでした。嵐の中での飛び方を教えてもらっていなければサラマンドラは無事では済まなかったはずなので、ある意味で生命の恩人とも言えますね。
ラストシーンはそんな尊敬出来る飛行機乗りを惜しむ気持ちを、青空に伸びた一筋の飛行機雲に託している…という感じですね。松任谷由実さんの有名な歌っぽくもあり。(笑)
アヒルと揶揄された水上機乗りが花形戦闘機をも凌駕する働きを見せる本作は、泣きそうになるくらいしみじみと感動的で、飛行機乗りのプライドとロマンを満喫できました。
危機を乗り越える方法に唸らされ、尚且つ人間ドラマを堪能できました!