謎の少女との邂逅

「アリシア様が..アリシア様が眼を覚まされました。」


勢いよく扉が開けられ息を荒げたメイドが駆け込んで来た。その知らせを聞き皆アリシアのもとへと急ぐ。そこには目を覚ましちょうどベッドから体を起こそうとしていたアリシアがいた。


「ご気分はどうですかアリシア様、どこか痛んだりはしませんか? 」

「ええ大丈夫です。心配かけて申し訳ございませんエヴァンス様。エリックの様子は....目をさましましたか?」


アリシアは消え入りそうなそんな小さく弱々しい声でいうのだった。弱り果てたアリシアに皆動揺を隠せない。


「未だ意識は戻らず..ですが今回はうちのエリックを助けていただきありがとうございました」

「礼など不要です。もう少し戻るのが早ければこんな事には..」


いつもの明るいアリシアの見る影もない。顔は暗くひどく憔悴していることがわかる。


「アリシア様今はお休みください。後のことは私達にお任せを」

「....すみませんそうさせていただきます。少し疲れました..」


そう言ってメイドの指示のもと横になるとすぐ寝息を立てるアイリス。アイリスをよく知っているリエールは彼女の変わりように俯いていた。すると扉の向こうから男の声が聞こえた。


「失礼します。エヴァンス様王命です。今回の件を速やかに処理せよとのことです。」


エヴァンスは王命聞きリエールと王命を告げた男をつれすぐさま部屋を出た。


「今回の手の空いてる上級魔導師以上のものは何人いる?」

「今ですと3人しかいません。」

「そうか。中級を合わせた小隊30名を1時間以内に集めよ」


それを聞き中庭に出たエヴァンスとリエールと別れ至急人員を集めに行こうと走りだす男。そんな3人の前が突如光だし1人の老爺が現れる。


「それじゃあ間に合わんのうエヴァンス。わしが出よう」

「アルバード様っ! よろしいのですか!? 」

「事態は一刻を争う今すぐにでも出るべきじゃ。わしと...そうさなそこの『白』とお主のところの次男のエドワードを貸してくれ。それで十分じゃ」

「しかし2人とも実践経験を積んでおりませんそれにエドワードは戦力には..」


エドワードとリエールの子供2人を連れていくというアルバードにエヴァンスは首を縦に触れない。


「なに心配しなくともよい2人には期待しておらん後ろで見て居ればよい。わしが全て片付ける」

「父様私に行かせてください。エドの事も私がしっかりと見ておきます。」


行くという決意の光を見せるリエールの目に真っ直ぐと見られ、エヴァンスは頷くしかなかった。


僕は今リエール姉様とアルバード様と一緒に森林の中を歩いていた。あれからリエール様に連れられわけも分からずアルバード様の転移魔法で飛んできた森林の中を歩いている。

うっそうとしげる木々達あまり屋敷の外を出歩かない僕にはここがどこだか見当もつかなかった。


「エドここはエリック兄様が調査任務で来ていた場所よ」

「そうですか。でも何故僕がここに?」

「それはねアルバード様の指名を受けたのよ。心配いらないわエドは何もしなくていいから」


まるで行く場所が分かってるといったような迷いなく歩くアルバードについていくエドワードとリエール。周りには何も気配を感じなかった。


「お主は後ろで見ておれ。戦いというものをよく目に焼き付けておくんじゃのう。『白』の娘には手を貸して貰うかもしれんいつでも動けるように準備しておれ。」


はい。緊張した声で返事をするリエール姉様軽く話しを聞いたがアルバード様は本当に凄い方のようだ。それにしても本当に何もいない。動物の一匹すらも見かけない。しかし歩くに連れ悪臭が漂ってきた。


「やっほー君たち。ここに何の用かな? 」


そう無邪気に笑う。リエールと同い年ぐらいであろう少女。その少女がひどくそこから浮いていた。なぜなら少女の後ろには死体なのか死骸なのかそんな死肉の山が積み上がっていたのだ。そんな凄惨な光景にリエールとエドワードは固まっていた。


「お主が後ろのやつをやったのかのう。」

「そうだよおじいちゃん。なんか暴れてたから殺したのっ。


楽しそうに話す少女。するとまばたきをすれば少女はその場からいなくなりアルバードの杖と剣を交えていた。


「くっ..」

「すごいすごいおじいちゃんのわりには強いね...それなら黒魔法『隠蔽』イラージ


少女がアルバードの剣をすり抜け後ろにいたリエールに蹴りを出す。反応出来ずにいたリエールは木々を何本もへし折り後ろへ蹴り飛ばされてしまった。


「君もバイバイ。」

「お主はもう終わりじゃ動けまい。」


リエールの次にエドワードに攻撃しようとした少女だがアルバードの言葉通り指の一本すら動かない。エドワードは頭の整理が未だ追いつかずその場で尻もちをついていた。


「土魔法『固土』ロエルじゃ。間接的にでもわしに触れればこの魔法にかかる。剣を交えたのは失敗じゃったのう。」

「ぐっ.....。こんなものすぐに..」

「無理じゃ。この魔法は発動条件が少々厳しいがその分拘束力は強いからのう。小娘の力で振りほどけるほどやわじゃないわい」


少女は言葉を発することすら苦しそうにしていた。アルバードは蹴り飛ばされたリエールのもとまで歩き回復魔法をかけ、リエールと少女を魔法で浮かせた。


「エドワードや。帰ろうか後のことはほかのものに任せるとしようかのう」


「おじいちゃん。エリオットをなめないで欲しいの。炎魔法「青鳥炎」ハルシャート


まさに一瞬の出来事だった。動けなくなり浮かされていた少女はいたはずの場所からいなくなり。アルバードの背後から青く燃え盛る炎

を放つ。すぐさま魔法で対抗するアルバード。だが、軍配は少女に上がるアルバードの腕は焼け焦げていた。


「アルバード様っ! 」

「一体わしの『固土』ロエルからどうやって...それはっ!..」


悠然と佇む少女の剣は青い炎を纏い傍らには青く輝く光があった。


「エドワード。リエールを連れて早く逃げるのじゃ。」


浮かされていたリエール姉様が僕の方に飛んできたのでリエール姉様を抱え。アルバード様が開けた転移魔法の門へと走る。しかし後ろから少女に追いつかれて服を引かれこけた。門にはこけた拍子に僕の腕から離れたリエール姉様だけが通った。リエール姉様が通ると門の光は消えていく。


「1人逃しちゃった。でも君はこれで終わり。」


気づいたら僕の胸から剣が生えていた。痛い...熱い..目の前には僕の命の源がとめどもなく流れ出て止まらない。どんどん体からは熱が出て行き僕はそこで意識を手放した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

退屈な人生に彩りを Soeri @Soeri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ