第4話 当日(お通夜)後半
お通夜は滞りなく進んで終わった。
中学で一緒だった友達、高校で一緒だった友達、小中高の教師たち、保護者。
多くの人たちがいて、多くの涙が流れて。
それでも滞りなく進んでしまった。
俺のいた地域は市の中でも一番小さい地域で小学校、中学校とそのまま持ち上がりで進学する。だから9年間同じなのだ。
高校はそれぞれ別のところに進学したが、小中一緒だった俺を含めた参列者と高校が一緒だった人達はその後別室で遺族の方のご厚意により食事会を用意させてもらった。
久しぶりに友達に会うのは少しうれしかったが、こんな形で会うことになるとはなんとも皮肉な話だ。
(まさかこんな形で同窓会になってしまうとは。成人式の時どうしようか)
こんなことをたぶんみんな思っていたと思う。
みんな5年近く会わないうちに変わってしまったものだ。
外見はもちろん、内面も。
俺自身、上京してから変わった部分があるかもしれないが周りの変化したところをみることはそれはそれでなんだかおかしかったように思える。
食事が進む中、遺族の方が来て慶人と会える、最後のお別れをしてくたらうれしいと言った。
そのことを聞き何人かの友達は別室で安置してある彼に会いに行った。
俺も少し離れてついていった。
彼のもとでまた涙が流れる。すすり泣く声がする。悲しみが溢れている。
きっとそれぞれがそれぞれの気持ちをもって最後を視ているのだろう。
みんなと一緒に俺も泣き、そして友人たちがいなくなっても泣き続けた。
悲しみ、後悔、辛い、苦しい、罪悪、無力、孤独。
様々な気持ち、彼に言えなかった言葉。
慶人が死んだことを真正面から突き付けられる。
「ごめん」
ただ一言この言葉が言いたかった。
ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん
生きている時に言えなかった言葉が自分の全てとともに溢れて……しまった。
何分そうしていたのだろう。
このままでは遺族に迷惑。一回離れよう。
理性がそう言った。
身体がそれに従った。
一礼してその場を離れる。
そのあと気持ちが落ち着くまでトイレで泣いてしまった。
涙って止まらないんだなと落ちる滴をみてそう思った。
食事の場所に戻ってご飯を食べてその日は終わった。
明日は葬式だ。大丈夫かな。生きていられる自信がなかった。
帰るとき、慶人を見て泣き続けていた俺を見ていたのだろうか。
「大丈夫?」と言ってくれた女友達の言葉と労わる表情を今でも覚えている。
中途半端に前半、後半分けてしまって申し訳ありません。
区切りの良いところがなかなか見つからなかったです。
君のいない世界が色づくことを願って かくたに @kakutani
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