フェイル15 ミクリオ達の会話
翌日の朝、心眼通りで事務所を構える松岡組事務所の4階にて、松岡や若頭達がいた。松岡は、ソファーで座っていた。
「それにしても、親父。あの阿修羅会の連中、どうして奴らの名前を使ったのでしょうか?」
「そんなのはどうでもいい。あいつらは、ただ単に使いたかったのではないか? それよりも、問題は専属執事のあのガキ共だ」
「大正通りの雀荘で遊んだことですか?」
「そうだ。奴らは、非常に優秀だからな。それに、長男のミクリオと言う奴。あいつは、指揮官的な役割かつトップを補佐する人間だ。それを来易く自分の領土になってないところで話すのは不自然すぎる。奴らの事だ。何かあるはずだ」
松岡がそう言ってると、2人の松岡組組員が事務所に戻って来た。
「親父、只今戻りました」
「お疲れ。で? 例の店に行っていたのか?」
「店員に聞いたところ、確かに奴らが来てました」
「そうか。で? 何かあるか?」
組員は、聞き込みで聞いた内容を話した。
時を遡り、雀荘にてミクリオ達の写真を見せて店員に組員が尋ねる。
「確かに、来ましたね。彼らは、凄く男前だし、上品な仕草と作法で凄く印象に残っていましたよ」
「そいつら、なんか話していたか?」
「そうですね。世間話や芸能界についての話ばかりでしたね。……! それと」
「何かあるのか?」
店員がミクリオの写真を指してこう言った。
「このミクリオという人。英語で誰かと連絡を取っていましたね」
「連絡?」
「そうです。英語は話せないので分かりませんが、「赤坂」とか「龍神」とか言ってたような」
「赤坂? 龍神? それって、都知事と俺らの事か? 龍神は分かるが、赤坂って関係あるのか?」
「あと、赤を基調した燕尾服の青年が彼らに英語で報告していたのも見ましたね」
「なんやて!? それほんまか!?」
「はい。僕が見たのは、これだけです」
そして、時を戻して組員は、店員曰く、その後、普通に麻雀を楽しんだという事だ。
「それを言ったのか?」
「はい、親父」
「「赤坂」? 「龍神」? 奴らは、東京都都知事を使って何か企んでいるのか?」
「親父。赤坂と龍神会とは、何か関係があるのですか?」
「いや、そんな話は聞いたことが無い。政治家と繋がりを持っているが、東京都都知事と組んだ話は、1回も無い」
「親父。もしかしたら、若頭に就任する前とかじゃないですか? もしくは、極道になる前とか」
「……ともかく、この事は、幹部会で会長の耳に入れておく。お前達は、赤坂の周辺や過去の履歴について調べろ」
「分かりました」
時が経ち、夜になった頃、セレス達は、千楽ブロンズ通りにある5階建てのビルにある3階に店を構える焼肉店に向かう事に。
夜の千楽町は、煌びやかな街灯が美しく飾る。トリニティタワーの西側にある千楽広場で数多くの家族が、楽しく遊んでいた。前は、治安が悪くて喧嘩が日常茶飯事だが、フェイルグループが来た事により治安が格段と良くなり、広場には会社の資金で噴水を造った。
「セレス様。この辺りのエリアは、治安が良くなりましたね」
「そうですね。あの汚らわしい龍神会の連中が見かけなくなりましたからね」
「市民の皆様も明るい笑顔でいらしゃることが何より幸せですわ」
「あれ? レベッカ様。どちらへ行かれるのですか?」
すると、レベッカの部下である騎士団員が家族を連れて話しかけた。
「あんた。奥さんと子供2人がそう?」
「はい。私の妻と兄弟です」
「主人がお世話になってます」
「お前ら、この方々に挨拶しなさい」
「「こんばんは!」」
「こんばんは。私、シェリー。よろしくね」
「レベッカよ。いい子ね」
2人が、子どもの視線の高さにしゃがみ、微笑んだ。
「ん?」
「どうしたの? イクス兄さん?」
「なんか、視線を感じたけど」
「視線?」
ルカとシングは、イクスが視線を感じた方向へ見るとネットカフェの看板付近だが、何も不自然なところは、見当たらない。
「何も無いけど?」
「気のせいじゃない? イクス兄ちゃん?」
「……」
すると、イクスが念のために騎士団の携帯無線で指示を出す。
「こちら、騎士団副団長補佐兼執事長、水谷イクス。千楽広場南東のネットカフェ入口付近で不審な気配を感知した。付近の者はすぐに急行して現場調査を行い、不審人物がいないか捜索しろ」
『了解しました。こちら、すぐに現場調査します』
「頼むぞ。何かあれば連絡しろ」
『分かりました』
イクスが、部下に捜索指示を出した後、騎士団員との会話に戻る。
「ところで、レベッカ様達は、何処へ行かれるつもりで?」
「千楽ブロンズ通りにある焼肉屋に行きます」
「セレス様。それって! 高級焼肉店の【シャングリア】ですよね! 前に一回、家族と来たことがあります」
「そうなの? 君も知ってるんだ。あそこは、とても美味しいからね」
「くれぐれも飲みすぎには注意してくださいね」
「お前に言われる筋合いは無いのだが?」
「も、申し訳ありません」
セレスの冷たい視線に彼は少し委縮して詫びた。
「まぁまぁ! そんな言い方しないで、セレス姉ちゃん。これにて失礼するよ。あんまり夜遅く遊ばないようにね」
「はい! かしこまりました」
騎士団員が敬礼をすると、セレス達は、その店へと向かおうとすると
「少し、お待ちを」
「どうかしましたか? 龍神会に動きがありましたか?」
「いえ、それでは無く、実はこの町で不審な集団が出現したのです」
「それは、いつだ?」
「先週からです。最初は千楽メイン大通りで見て何とも思ってなかったのですが、その翌日から人数が増えてきました。今日は千楽北大通りにて数人見かけました」
「変な集団か。そいつらは、マフィアなのかな? 服装は?」
「服装は、紺色のスーツにシルクハットを来た男女です。マフィアにしては、目立ちすぎるし、何せ龍神会の連中は無反応なのです。奴らなら、すぐに排除するはずですが」
それを聞いて、イクスはこんな事を聞いた。
「レベッカ様。さっき、後ろから不審な気配を察知しました」
「それは、本当なの? イクス」
「はい。さっき部下に無線で捜索指示を出しておきました。何かあれば連絡してきます」
「そう」
「とりあえず、皆様。くれぐれも気を付けて。無反応という事から、龍神会の連中と関係があるのは確かです」
「分かりましたわ。貴方も気を付けてくださいね」
セレス達は、彼とその家族と別れ高級焼肉店へと向かった。
フェイルローズ バラの神聖騎士団 サファイア @blue0103
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